あらすじ
古道具屋皆塵堂は、小僧の峰吉で回っている。自在な客あしらい、目利きの確かさ、道具の修繕は職人並みの腕前、と釣り好きで店になかなかいない店主の伊平次に代わって、皆塵堂を切り回している。曰くつきの古道具を手に入れても、峰吉は幽霊を見ないから平気だ。向かいの油屋の小僧参太は、峰吉と違い、幽霊が見える。よその店の古道具の憑きものを見ては、いつも震えさせられている。
それが悔しくてたまらない参太は、一度くらい峰吉に幽霊を見せて、震え上がる姿を見てみたいと思う。幽霊話を仕入れては、峰吉に幽霊を見せようとするが、実際に見て怖い思いをするのはいつも参太ばかり。
そんな参太をご隠居の清左衛門たちも応援にまわる。大人の巳之助、茂蔵、円九郎がとっておきの幽霊話を引っさげ、峰吉に怖い思いをさせる刺客としてやってくるのだが……。
参太のまわりに集まってくるのは、夢がらみの幽霊譚。
夢はお告げか、誰かが救いを求める声か?
職人のじいさんが隠した櫛が気になって成仏できないばあさん。隠し先を峰吉は見破ろうとするが?
二階からあるいは草むらから自分の姿も見える夢を見る菊次郎、誰が夢を見せようとしているのか?
幸ちゃんとしか覚えていない幼なじみの夢を見る円九郎。やっと町名を思いだした円九郎は、峰吉と向かうが、蕎麦打ちに行き詰まり、首を吊ろうとしていた男と出くわした。
……などなど。他人の夢の話はつまらない、とうそぶきながらも、峰吉は、夢の謎を解く鍵を見つけていく。
皆が期待する峰吉が震え上がる日は来るのか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今回は峰吉回。
というか、峰吉に怖い思いをさせたい人たちの回か?w
いろんな怪談を聞いて、その現場で他の者たちが怖がっていても平然として古道具の仕入れをどうするかを考えている峰吉。
やっぱりとんでもない大物w
夢つながりの怪談ばかりで、みんな最後はああなっちゃうよねw
中でも猫が救い出されたあの話が好き。で、猫好きの大人、やっぱりあの人w
今回の1番の仕掛人(と言っていいのかな。)参太が最後にご隠居と話すシーンにしっとりした気分になる。
次は、どんなことになるのか、楽しみ。
Posted by ブクログ
レギュラーで出番も多い割に、掴みどころがなくて、良く判らないキャラだった峰吉がメインの1冊
かなりチートっぽくは有るけど、それが分かっただけでも前よりは好きになれる
Posted by ブクログ
今回は峰吉を怖がらせる目的で「夢」が絡む話。
初めの各登場人物の紹介挿絵が好きなんだけど太一郎がなかったので今回は出ないのかぁと寂しく思ってたら、最後の方に登場。第一回目とはかなり変わってたいへんたくましく強く頼り甲斐があってまるで別人!
怖さはいつもより無かったなー。
Posted by ブクログ
シリーズ第十四弾。
古道具屋〈皆塵堂〉の向かいの油屋の小僧・参太は、曰く付きの古道具に囲まれながらも平然としている峰吉に、幽霊を見せて震え上がる姿を見てみたいと思います。
そこで幽霊話を仕入れては、峰吉に幽霊を見せようと奮闘しますが・・。
ということで、今回は「峰吉に幽霊を見せて怖がらせよう!」プロジェクト(?)の回でございます。
参太をはじめ、巳之助(の、猫好き仲間・徳右衛門さん)、茂蔵、円九郎と次々と幽霊譚を持ってくるものの、語る話が図らずも全部夢ネタになってしまうという、お約束のおまぬけ展開です。
で、勿論ターゲットの峰吉が怖がるわけもなく、赴いた幽霊スポット(?)で、ちゃっかり古道具の仕入れをしたり、夢に暗示されていた謎を解いたりと、改めて彼の有能ぶりを思い知らされることになるという・・いや、ホンマ末恐ろしい小僧やで~。(とはいえ、何気にもう15歳らしいですが)
私も何事にも動じない“峰吉マインド”を見習いたいところですが、個人的にはそんな峰吉にコンプレックス的なものを感じてしまう参太の方が可愛げがあって好感がもてますけどね。
そう、峰吉に足りないのは“可愛げ(お客の前では別ですが)”ってことで、いつか峰吉が追い詰められてアタフタする場面も見てみたいもんですな。
というわけで、今回も「峰吉はやっぱり峰吉」でございました。
あとがきで著者の輪渡さんがちょっと触れていた“鮪助回”もぜひ実現してほしいので、期待して待っております~。
Posted by ブクログ
集まる古道具も、店の者も、そこに集うものもみんな癖が強い〈古道具屋皆塵堂〉。
あとがきによると、シリーズ第14作とのこと。
シリーズ初期に比べるとホラー色は薄れてきたが、相変わらず面白い。
今回は小僧・峰吉を怖がらせたい作戦の巻。
霊が集まる皆塵堂で長いこと寝起きしながらも、全く幽霊を見たことがないし、その手の話を全く怖がらない峰吉を何とか震え上がらせたいと、向かいの油屋の小僧・参太は様々な幽霊話を集めては、現場に峰吉を連れて行くが、思った通り上手くは行かず…という予想通りの話。
何れの話も夢が出てきて、夢の中で暗示があったり怖い場面があったりして、それが実際の現場や人とリンクしていく。
前半は参太主導で峰吉怖がらせる作戦を遂行するのだが、後半は巳之助、茂蔵、円九郎とリレーされていく。なのに何故か皆、聞き込んで来る話は夢絡みのため、だんだん峰吉は勿論、途中参加の清左衛門もウンザリしてきて最後の円九郎に至っては舌打ちされる始末というお約束展開。
本作を読んでみて、峰吉は皮肉屋だし一人で店を切り盛りするほど出来る商売人だし、少しも可愛げがないのだけれど、話を聞いていないようで聞いているし、人のことを見ていないようで見ているし、困っている人を助けているし、悪い子ではないなという印象。
清左衛門が言う、〈皆塵堂〉に集まる『変わった連中』も皆『悪い人間ではない』。怠け癖があったり、ずるいところがあったり、すぐに手が出たり、強烈な弱味があったり、延々と好きなことについて語ったり。
だがそういう人たちをみんな受け入れる懐の深さが〈皆塵堂〉らしさだと思うし、それぞれのあしらい方も面白くて楽しい。
今回は最初の登場人物欄に巳之助が、老人の幽霊に鍛えられて蕎麦打ちの腕を上げると紹介されて笑ってしまった。太一郎が紹介されていなかったので、出番なしかと思ったら結構活躍してくれていた。むしろ伊平次の方がワンシーンくらいしか登場してなくて、びっくり。
これも参太目線の物語だからか?
太一郎が苦手な猫に追いかけられるシーンも無くて少し寂しい。
※シリーズ作品が増えてきたので、ここに挙げるのは割愛します。
Posted by ブクログ
おなじみ古道具屋皆塵堂シリーズ。前作のあとがきにもあったように今回は峰吉回です。いわくつきの古道具にかこまれていても一向に怖がることのない峰吉をどうにか怖がらせようと向かいの油屋の小僧参太が幽霊譚を仕入れてみるが・・・
前作もたいがいホラー色がなくなってきてはいましたが今作は輪をかけて・・・まああとがきにもあったように峰吉回だしなあ。相手が悪い。ホラーにしようがない。別に怖いものを求めてこのシリーズを読んでる人ももはやそうはいないと思うのでまあいいんですけども。あと短期集中の新聞連載的なものを含んでいるせいかいつもとなんかテイストが違う。最初の一話が分割されて・・・という話ですが、どちらかというと細かい話がたくさんという印象。そして伊平次さんがなかなかでてこない・・これは最後においしいところだけ持っていく感じの・・・と思ったら、シリーズ初の、え?これだけ?鮪助よりももはや見せ場も出番がなくないですか?