あらすじ
2023年ピュリッツァー賞一般ノンフィクション部門 最終候補作品
2023年PEN/EOウィルソン文学科学執筆賞 最終候補ト作品
2023年アメリカ音響学会科学コミュニケーション賞 受賞作品
きらめく散文によって世界の音の聴き方が変わる本。
歴史、生態学、生理学、哲学、生物学をシームレスに融合させながら、鳥や昆虫、風や海、人の声や楽器が作り出す美しい音を紹介。
同時に、人間を孤立させ、生態系を断片化し、進化の創造性を弱める「自然破壊による生態系の沈黙」について、説得力ある警告を発する。
音は目に見えず、はかないものであり、失うには貴重すぎるのだ。
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Posted by ブクログ
世界と音の関係を、音と世界と人間の関係を鮮やかな言葉で紐解く。風や波、地面の響きしかなかった世界に原初の生き物が音を出しはじめる。やがてそれは語りかける言葉として何かを伝える道具になって地球を駆け巡る。捕食者を恐れながらもコオロギの奏でる音やカエルの鳴き声に込められた求婚のアピール。深海の鯨の声は海水のチャネルを通って何千キロも先の仲間たちに届く。
第3部までの動物たちの音についての文章は珠玉。第4部以降の人間が関わる音の世界に関する文章(人間が豊かな音の世界をズタズタにしている)は著者の熱い気持ちは理解するしその通りだろうけど前半の詩的な美しさには当然のことながら欠ける。