あらすじ
戦後の新憲法で「国政に関する権能を有しない」と規定されたにもかかわらず、天皇が今なお権力の主体であり続けているのは一体なぜか。儒学・国学・超国家主義・民主主義など従来の思想史に加えて、新たに「空間」と「時間」という補助線を取り入れ、これまで言説化されてこなかった日本固有の政治思想の本質を明らかにする。
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Posted by ブクログ
日本の政治思想の通底にある政治体制を支える思想は言語化されていないとして、個々の思想家を追うのではなく、天皇制を柱の一つとして政治思想を戦後まで記述する。街道、鉄道、宮城前広場、公園、銭湯等の公共空間、儀礼による視覚化、団地と共産党など面白い視点があるが羅列的・断片的。
・「まつりごと」は、本来奉仕事=政事。儒教の政治構造は、天命を受けた天子が礼楽を主、刑政を従として民をみちびくもの。天皇制の政治構造は、臣民が万歳等により天皇をまつり、天皇はアマテラスをまつる構造。
・「国体」は、万世一系の天皇を統治の主体とする概念ではあっても、言語化されず定義されず、君民一体の空間を通じ視覚化されることで身体ごと実感されるもの。それゆえ、あらゆる思想と両立し無限に抱擁できる可能性。
・輿論public opnion は公共圏で形成され、世論(せいろん)popular opnion は公共空間(銭湯)で形成された。