【感想・ネタバレ】月下の棋士 1のレビュー

あらすじ

第51期名人戦、名人・大原巌と挑戦者・滝川幸治が熱海で第7局を戦っている時、東京・将棋会館に氷室将介という青年が現れる。プロ棋士になりたいという将介が手にしていたのは、伝説の棋士・御神三吉の推薦状だった。その推薦状を見たプロ棋士・虎丸は二段の坂東と将介を戦わせる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こういう漫画は、数年に一度読み返すだけでいい。あんまり強烈なので、本棚に置くのには向かない。数年ごと古本屋で買い求め、読み返すほうが、常に新鮮な感覚を持って迎えられる。
棋士とはなんなのかと考えると、作中での刈田幸三はエンターテイナーであるし、大原巌は戦士であるし、滝川幸次は神である。主人公の氷室は将棋盤に打ち込まれた彼らの駒の声が聞こえる。捻くれた、頭脳の傑出した、ただびとではない棋士たちの打ち筋を、氷室は駒を通して読む。氷室将介という棋士は、棋士たちのカウンセラーである。
棋士たちは打ち筋、つまり彼らにとっての人生を読まれたくないと思っている。あるいは、読まれたいと思っている。打ち筋を読まれる、その裏をかかれるということは、自身の人生を看破されるのと似ている。氷室に敗北した棋士は彼らの生き方をも破壊される。古い生き方を奪われて、しがらみのない、新鮮な心持ちとともに人生をやり直す事ができる。
対局中、氷室が帽子の鍔を回して、ニヤッと笑う。彼にとって将棋に定石はない。不敵な笑みに棋士は慄き、自分が救われるのを予感する。

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2014年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

全巻通しての感想をここに書く。
能條純一先生の絵は本当に素晴らしい。線が本当に色っぽくて、美しい。また、台詞回しも独特で、だんだんと中毒のようになる。
キャラクターも個性豊かで、最初嫌でたまらなかったようなキャラクターもふと好きになっている。これが能條先生のすごいところだと思う。
この作品のキャラクターの中で「前はそうでもなかったが、後になって好きになった」代表は佐伯宗光である。はじめどうも気味が悪くて、佐伯戦は読み飛ばしたいような気もしていたが、鈴本が"将棋の神様"に氷室と佐伯の無事(?)を祈りに行ったところくらいから、佐伯のことが無視できなくなり、もう一度佐伯初登場から読み返した。
しかし、世界広しと言えど漫画家の中で、男性の裸体を描かせたら能條先生の右に出る者はいないのではないだろうか? もちろん、先生の描く女性の裸体も非常に美しいが。

……大和天空も同じく、後になって自分の中での評価が変わった人物である。最初のうちは正直嫌な奴でしかなかったような気がするが、最後佐伯を負かしたところは驚くほど格好良かった。佐伯を本当に負かしたのは、天空だ、と言うような記述を何処かで見かけたような気がするが(正確でないかも)確かにそうかもしれない。

またいつか必ず読み返す漫画。

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2014年07月24日

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