【感想・ネタバレ】ゲーム実況者AKILAのレビュー

あらすじ

学校では友達がおらず孤独な周助は、底辺ゲーム実況者・AKILAとして活動している。
視聴者はほぼゼロ。そんなあるとき、SNS上で初めて見つけた自身のファンアート。その投稿主は【チトセ】というアカウントだった。彼女に長くAKILAファンで居てもらいたい一心から、周助はある“卑怯な嘘”をついて彼女に近づく――。二人の関係は変容し、一度はすれ違っていくが、数年後のとある配信企画で歪な再会を果たし…。(『ファン・アート』)“覗(のぞ)き見“から始まる、青年二人の最悪な邂逅の物語。(『ヲチ』)二つの心ヒリつく青春小説

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Posted by ブクログ

ネタバレ

二木先生の著者、夏木志朋さんの作品。
ふたつのお話が入っている。

ひとつ目。

ゲーム実況をする非モテ?な男子高校生。
AKILAこと周助。
ある日、自分のアカウントに
ファンアートを描いてくれた
漫画化志望の女の子チトセ。
AKILAは、彼なりの方法で
チトセにアプローチをしつづける。

目的意識がしっかりした主人公は
着々と活動を続け、フォロワーを増やし
インターンという形で就職も果たす。

チトセも別の形で夢を叶えつつあり、
AKILAと対談することになるのだか…。

ネット、SNSの使い方や
そこに付随する感情の描写がうまい。
自尊心、承認欲求、他人からどうみられるか。
そういった人間臭いところが
読み手のこころもくすぐってくる。

この話はラストが、んー。
二木先生と同様、ダークヒーロー的かも。


ふたつ目。

通常のコミュニケーションは問題ないが
友だちとなんとなく楽しむ
だらだら過ごすという
フワッとした時間に苦手意識をもつ
成人男性のお話。

相手が楽しくないのでは?と
意識しすぎるあまり
自分も楽しめなくなる。
この感覚は、ちょっと異常な感じもするが
気詰まり感は少しだけわかる気もする。

こちらの話にもSNSが登場。
SNSで自己顕示する人を観察するスレ。
主人公をはじめ、他人の言動を面白がる
若干屈折した人間の心持ちが描かれている。

こちらはなんとなくほっこりラスト。



 

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ミッチョさん?」
 話しかけられる前から、たぶんそうだと思っていた。遠目に目があったことでこちらが待ち合わせの相手だと確信したらしいチトセが、オレンジ色のキャリーケースの車輪をゴロゴロ鳴らして近づいてきた。
 現実感がないまま互いに相手が間違いないかを確認して、近くにあるチェーンのコーヒー店へ向かった。
「オタク同士でオフ会する時は、結構、カラオケルームとか使う時もあるんですけど」
 道中でチトセはずっと喋りつづけていた。その間を周助のか細い相槌の声が縫う。
「ちょっと歩くんですけど、すみません」
「はい」
「ミッチョさん背高いですねぇ! 一七五くらい?」
「はい」
「羨ましいっす。しかし暑いですね!」
「はい、めっちゃ、暑い」
「オフ会マジで初めてなんですかですか?」
「はい」
「もしかして緊張してます?」
「はい」
「私もです! てか、」
歩きながら、チトセが宙を嗅ぐような仕草をした。
「この辺めっちゃ、海の匂いしません? いや海なんですけど、ビッグサイトのあたりよりも、なんか独特の匂いがするっていうか」
「汽水なのかも」
周助は言った。
「キスイ?」
「海と川が合流して、海水と淡水が混じってる状態のことを汽水って言うんです。ここら辺は汽水域で、だから独特の匂いがするのかも」
「そうなんですか?」
「わかりませんが」
「わからんのかい」
チトセが笑った。急に言葉尻を変えた突っ込みに少し面食らったが、気さくさに救われた気持ちになる。彼女の鼻が検知したのは潮の匂いではなく自分の臭いではないだろうかという不安を頭の隅に追いやりながら、少し前を歩く彼女のコンバースを眺めた。
初めて会ったチトセは、事前に知っていた通り小柄で、想像していたよりも、快活だった。でもその明るい声のトーンには、クラスの一軍と呼ばれる女子たちの声にはない濁りのようなものがあって、ああ、オタクなんだな、と安心した。

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2026年03月18日

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