あらすじ
東京芸術大学の前身,東京美術学校の波乱の歴史をたどりながら,明治維新以後の日本美術の,西洋との出会いと葛藤を描く.フェノロサ,岡倉天心,黒田清輝,横山大観…….国粋と国際派の勢力争いの中,戦争へと突き進む時代にもまれながら,日本美術はいかに模索され,戦後の近代美術へ展開していったのだろうか.
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Posted by ブクログ
<目次>
まえがき ~『東京美術学校物語』の基礎としての『東京芸術大学100年史』の存在について
第1章 日本はいつ西洋と出会ったか~キーワードは遠近法
第2章 ジャポニズムの誕生~慶応三年パリ万国博覧会への参加
第3章 欧化を急げ~明治初年の国際主義的文化政策
第4章 反動としての国粋主義の台頭
第5章 美術学校設立の内定とフェノロサ、岡倉の欧米視察旅行
第6章 国粋的美術学校の理念の確立にむけて
第7章 開校された美術学校~フェノロサ、岡倉の教育プログラム
第8章 図案科、西洋画科の開設と岡倉の失脚
第9章 1900年パリ万国博覧会への参加
第10章 正木直彦校長時代の三十年と七ヶ月
第11章 和田英作校長時代の四年間
第12章 戦時下の東京美術学校とその終焉
<内容>
東京芸術大学の美術学部の前身、東京美術学校の歴史を紐解いたもの。なかなか刺激的。工部美術学校からフェノロサらが乗り込み、国粋化(つまり日本画優先)になっていく過程、政治的な思惑と岡倉天心の失脚…。なかでも学校イメージアップのため、西郷隆盛像や楠木正成像を、学校全体で作り上げていった話とか面白かった。