【感想・ネタバレ】なぜ風が吹くと電車は止まるのか 鉄道と自然災害のレビュー

あらすじ

「今日は風が強いから電車が止まるかも……」と心配して早めに帰ろうとすると、案の定、駅に着いたら電車は止まっている。「いつも、この路線ばっかり!」とイライラした経験は誰にでもあるはず。一体、鉄道会社はどのようにして電車の運休を決めているのか?本書は、2011年3月の東日本大震災以後、首都圏でも発生が危惧されている地震を筆頭に、ゲリラ豪雨、強風、落雷といった自然災害に対する鉄道の備えと、意外な弱点を解説していく。「地震のとき『地下鉄のほうが安全』は本当か?――直ちに地上へ避難すべき」「電力不足になると、なぜ『各駅停車』の列車ばかりになるのか?」「老朽化する鉄道インフラ――明治時代の建造物が今でも列車の走行を支える」など、いざという時に役立つ“安全知識”も豊富に収録。さらには停電、火災、人身事故などの問題にも触れることで、「いつも正常に動いて当たり前」と思っていた鉄道への認識が変わる一冊だ。

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Posted by ブクログ

タイトルだけ見ると「風」に限定した内容に思えるが。実は風、雨、雷といった天災から火災まで扱い、電車の弱点とその対策についてわかりやすく解説している。電車自体だけでなく、架線、線路、鉄橋。駅舎、踏切、信号にも言及し、鉄道災害に対する現在の対策状況も知ることができる良書である。
ちなみに、車内に閉じ込められた時に液晶画面に時間が掲示されていると助かるが。。。という文章があったが、本書で度々登場するJRのE233系車内液晶画面には、時刻が明示されますよ。

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2013年08月30日

Posted by ブクログ

東日本大震災を受けて,災害による鉄道事故とその対策をまとめてる。雑学本だけど意外に体系だってて良い。地震,大雨,強風,落雷,そして過密な都会での運行トラブル。自然の猛威には参るけど,被害が出る度に技術や制度の変遷で切り抜けていたんだなと感心。
風による徐行,運転停止などちょっと抑制が効きすぎのとこもあるような気はするけど,この本にはそういった批判はなく,鉄道会社に全面的に理解を示している。そこは賛否両論かな。

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2013年01月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 電車を利用していて遭遇する場面がある。それは、電車の運転間隔を調整する、あるいは運転を止める。人身事故で調査中、安全確認後に運転再開というアナウンスや、強風や地震で一時運転停止と言ったことを聞く機会がある。

 利用者も止まると困るが、運航している側も困る。享年のNHKで放送されていた「ブラタモリ」の中で、東京メトロの基地を訪れていたタモリと久保田アナウンサー。突然、事故か何かで、運航時間変更に追われていた職員の姿を映し出していた。見ていて大変だなあと思ったのを覚えている。

 著者は、地震が発生すると、なぜ運転再開までに長い時間を要するのか?として次の6つの手順を挙げている。

1.列車を止め、続いて運転士は列車の運行を一括して管理する
2.指令所の指令員、あるいは駅と連絡を取って被害の状況を報告する
3.駅と駅との間に停車した列車の利用客の避難や誘導を行う
4.線路や施設の点検と復旧を実施する
5.運転を再開するに当たっての運行計画の策定や乗務員、車両の手配を行う
6.運転再開前に、行政など関係機関や他の鉄道会社との連絡や調整を実施する

 いろいろやることがあって、地震が止まったらすぐに出発進行とはいかないようだ。特に私鉄と東京メトロがつながっている路線ではそうなる。たとえば、東急田園都市線と東京メトロ半蔵門線、東武東上線と東京メトロ副都心線あるいは有楽町線がいい例だ。(東京の事例ばかりで申し訳ないが、モクモク羊の生活圏内が東京近辺なのでどうしてもそうなってしまう) 

 いくつもの路線がつながると便利なことは、乗り換えなしで目的地まですいすいと行けることだ。その反面、途中で事故が起きてしまうと一見関係のない路線でも被害にあい、運航見合わせという結果になることがある。その理由として、折り返し運転する余裕がないことがある。折り返し運転をするためには、場所と人員を確保する必要がある。しかし、民営化以来、折り返し用の人員削減を行った。さらに、運航管理をCTC( Centralized Traffic Control device 列車集中制御装置)が担うようになり、折り返し運転をこまめにするのが難しくなったとある。

 安全と言えば、ホームドアの設置が気になる。ホームドアがつけば安全性が高まっていいと思うが、付けるには多額の費用が掛かるとある。さらに著者によれは、飛び込みが多いのは通過駅だそうだ。東京駅だと人がいて仮に飛び込もうとしたら誰かが止めることが大いにありうる。それに、最近目に付くのが、停止位置の変更のために列車をちょっと動かすことに遭遇したことが何回かある。なかなか停止位置に止まるのが難しいのかなと思う。

 普段お世話になっているインフラだけに、運行がどうして止まるか気になって今回の本を読んだ。安全の確保には細心の注意を払ってほしいと思う。

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2012年12月03日

Posted by ブクログ

平素何気に利用している電車の災害対策などに興味があり、手にとった。

筆者の専門知識が存分に活かされているので、時には難解な箇所もあるが、全体としてはためになった。

例えは、大震災のときに計画停電があり、その時には全線で各駅停車しかなかった。疑問には思わなかったのですが、急行とかの通過電車の運転よりも消費電力が少ないことがよく分かった。自動車と同様に、カーブでの加減速が多いと電力が多くいり、各駅停車の場合は惰性運転が出来るので、省エネになるとのこと。

色々と参考になる一冊と思います。

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2012年09月05日

Posted by ブクログ

東日本大震災後、福島第一原発の事故で電力の供給が危うくなった
(東電と政府曰く…だが)。そこで始まったのが計画停電という
名ばかりの無計画停電だ。

病院や自宅で酸素吸入をしている病人の方も大変だったろうが、
混乱を極めたのが公共交通機関として他には比べるものがない
くらいの大量輸送量を誇る各鉄道会社だ。

間引き運転ならまだいい方で、鉄道会社によっては運休区間が
あった。私が利用している地元駅も運休区間に当たっていた。

始発駅となったふたつ先の駅は人で溢れていたという。私は
「電車、動いてません」と会社へ連絡して休んだんだけどね。

先の震災の時に限らず、台風や強風で遅れが出たり、運休したり
する鉄道だが、これもみな、利用客の安全の為なんだよね。

移動手段として非常に便利な鉄道。利用客は「動いて当たり前」と
思っているから、遅延や運休になると駅員さんに食ってかかっている
人を時折見かける。

動いているはずの電車が動かない。確かに不便だけれど、自然がもた
らすものなのだから駅員さんに喚いてもどうにもなるもんじゃないの
になぁ。

だって、台風や突風での事故って結構あるじゃないか。脱線・転覆
なんてことになったら約束に送れるどころか、直に命に関わっちゃう
のだぞ。

本書はどうして電車が止まるのかを、過去の事故の例を引き合いに
して解説している。

雨でも、風でも、電車は止まる。その基準はどこにあるのか等、分かり
やすく書かれているので今度、駅で駅員さんを脅している人を見掛け
たら本書を渡してあげようか。笑。

世界を見渡しても安全性が格段に高いと言われる日本の鉄道だけれど、
まだまだリスクはあるんだね。日々、安全に運行出来るよう対策して
くれている鉄道会社に感謝☆

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2017年08月18日

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