あらすじ
多民族・多宗教の大帝国はいかに栄え、そして滅びたか?
600年にわたる興亡を、小説家にして気鋭のトルコ文学者が描ききる!
渾身の「オスマン帝国史」が幕をあけるーー!!
「文明の発祥地であり東西南北の人とモノが目まぐるしく行きかう西ユーラシアにあって、しかもイスラーム教と正教、ユダヤ教、カトリック教を奉ずる異教徒同士が混住する東地中海と中東の只中に産声をあげ、従って富とともに常なる外寇と内訌(ルビ:ないこう)に晒(ルビ:さら)されるはずの地域に成立しながら、かほどの遐齢(ルビ:かれい)を見た国家は世に類を見ない。
本書は、現代から見れば、到底一つの政体が統合できるとは思われないこの世界を、実際に統治してみせたオスマン帝国の歴史を、最新の研究成果に拠りつつ辿る通史として編まれた(「はじめに」より)」
歴史のダイナミズムをとことん味わう、野心的な歴史大作!
【本書の構成】
はじめにーー崇高なる国家、あるいはオスマン世界
第一章 辺境の君侯
第二章 海峡をまたぐ王朝
第三章 大征服時代、世界帝国の誕生
第四章 壮麗王の帝国
第五章 成熟の帝国
第六章 改革の世紀
第七章 専制と革命
第八章 帝国の終焉
終章 オスマン語が語る世界
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
多民族・他宗教が混在する国の統治の難しさ
オスマン語の成り立ちと、トルコ国での位置付け
王国における軍隊の扱いの難しさ
現在の中東、東欧の紛争、課題の根の一部が理解できた気がする。知ることができてよかった。
Posted by ブクログ
最新の研究成果を踏まえて、西アジア、ヨーロッパ、アフリカにまたがる広大かつ多様な地域を統治した、600年余りにわたるオスマン帝国の歴史をたどる。様々な民族的出自を有する王朝への仕官者をつなぐために形成された「オスマン語」の盛衰への着目も、本書の特色である。
様々な転変を経て13世紀から20世紀までの長きにわたり継続したオスマン帝国について、政治史を中心に、丁寧にその軌跡を明らかにする500頁を超える労作であり、高校で勉強した世界史のよい復習になるとともに、知識がアップデートされた。
広大な領域で多種多様な宗教や言語を持つ諸民族が曲がりなりにも共存していたオスマン帝国が、近代に入り、汎イスラーム主義や民族主義の台頭、欧化の失敗等により、没落の一途をたどり、現代の様々な民族・地域紛争を引き起こすことになったことがよく理解できた。
また、多民族がある意味平和に共存していたというイメージもあったオスマン帝国だが、毎度のごとく皇帝の家族間での血みどろの争いや粛清があったことをはじめ、かなり流血にいろどられていたということも認識した。
著者は、歴史学者ではなく文学者ということで、読む前はオスマン帝国の通史の執筆者として大丈夫なのかなという気も若干していたのだが、文体は文学者らしく格調高いものであるものの、脚色等は感じられず、内容は歴史学的研究成果も十分に反映された信頼に足るものだと感じた。
Posted by ブクログ
600年に及ぶオスマン帝国の誕生から滅法まで。
現在の中東情勢やヨーロッパとの関わりなど。
イスラム教徒を優位としながらも、イスラム教やキリスト教、ユダヤ教など、様々な宗教を包括してきた強権国家
兄弟であっても、帝国を維持するために殺し合うと言った非道な一面や、どんなに高位な立場でも、失政したら処刑されるという側面は、今の中東諸国にも通じるものがある。
栄枯盛衰。ヨーロッパ諸国を圧倒した中世の様な時代から、ヨーロッパの列強諸国に蹂躙され、滅亡に向かうことまで考えると、切ないものを感じます。