あらすじ
二十歳の誕生日を迎え、恋人となった志澤知靖と甘い日々を送る一之宮藍。だが祖父・清嵐の絵に長年固執し、また志澤と藍の関係を知る美術商・福田から脅迫めいた電話を受け、激しく動揺する。そのうえ、いわれのない贋作売買の容疑で志澤は警察に身柄を拘束されてしまい、なすすべもなく追いつめられていく藍に、福田は志澤の無事と引き替えにその身を差し出せと執拗に迫り――!? 大人気『白鷺シリーズ』完結編! ※こちらの電子書籍については、口絵や挿絵は収録しておりません。ご了承ください。
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Posted by ブクログ
「キスは大事にさりげなく」の「白鷺シリーズ」の完結編。
最初は何もわからなくて、ピュアなだけが売り物だったように思われた藍は、実はとんでもなく芯の強いものを持っていて、志澤さんのピンチにその藍らしさを失わない、けれど、それでいて苛烈な一面が前面に出てました。
なんというか、感動する。
物語自体にも感動するけれど、藍の性格自体に一番感動しました。
私と同じ人間の中から、こんなにキレイなものが出てくるんだ……って思ったら、すごいなあ……ってただただ感動する。
物語を作ることってとっても簡単なようで難しくて、結局は自分の経験したこととか、自分の経験から想像したことしかからしか生まれないと思うんですけど。
そしたら、この作者さんの一部にはこういう部分が確かにあって、そういう部分がきちんと凝縮されて、人という形を持って出てきたことが、とにかくすごい!! って素直に感じました。
世の中には悪意はいっぱいあるし、悪意には正義で対抗することもできるけれど、そうではなくて、心で対決しようとした藍は本当にすごいと思いました。
私もこういう強さが欲しいなあ……と思ったんですけど、もう充分にひねくれてしまってるので(笑)、まっすぐさでこけちゃうなあ……と。
でも、気持ちだけでは負けずにいたい。
小説のジャンルとしてはBLなんですが、それ以上に、キレイなキラキラしたものを与えてもらったようで、どうもありがとうございました。
BLにだって、普通の小説を超える作品が時々眠っていることがあるから。
それはすっごい宝物だと思ってる。
それだからこそ、BLを読むのはやめられないです。