あらすじ
高橋博之、岩手県花巻市出身。「都市と地方をかきまぜる」を旗印に、食べ物付き情報誌『東北食べる通信』を創刊し、産直アプリ『ポケットマルシェ』を手がけ、ついには東証グロース市場に上場を果たした男。「関係人口」という、いまや地方創生の象徴となる言葉を初めて世に広めたのもこの高橋である。地方だけでなく都市も限界を迎えつつある日本にとって、この「関係人口」は救いの哲学となり得るのか――?
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Posted by ブクログ
著者が広めた言葉でもある「関係人口」を切り口に、東北、能登の震災復興での経験も通じて、二地域居住という解決策を展開。
現場経験を通した理想論や熱意で終わるのではなく、税制の問題のようなシビアな部分にも切り込んでおり、全体を通して非常に説得力があり、共感できた。
地方在住者としては二地域居住については他の論者の意見や見解についても掘り下げてみたいと思えた。
Posted by ブクログ
「関係人口」
恥ずかしながらこの言葉を知らなかった。
この新書が手元に届いた時も、何の本だか見当がつかなかった。
例によってラジオのpodcastで著者の話を聴いて興味を持って予約し、
その後忘れる、というパターン。
果たして読み始めて、その重要さにしびれた。
まず定義。
地域や、その地域の人々とさまざまな形でかかわる人々。
移住した人々を指す「定住人口」や、
観光に来た人々を指す「交流人口」とは異なり、
あくまで拠点は地域外に置きながら地域と継続的にかかわる。
地域づくりに必要不可欠な流動化人材として
地域活動の維持や地域経済の活性化、
内発的発展につながることが期待されている。
だそうだ。
「関係人口」という言葉の響きとはだいぶ違う、
ものすごく意義のある言葉だ。私はそう感じる。
石破内閣の地方創生第二期総合戦略でもこの「関係人口」が
取り上げられているということ。知らなかった、、、
「地方」については私も非常に関心を持っている。
私自身は東京生まれだが、両親は新潟の佐渡島生まれ。
父が大学から東京に出てきてそのまま居ついて私は生まれた、
典型的な東京二世ということになる。
今までその自覚はなかったが、、
最近マラソンで47都道府県制覇を目指し地方遠征をするようになって、
「地方」が身近になってきている。
開催地は福井だったり徳島だったり仙台だったり県庁所在地で大きい都市だが、
前泊はあえてその手前の鯖江、鳴門、福島県相馬郡の新地などの小都市にしている。
そこで地方の小都市の頑張りを見たり、寂れを見たり、感じるものがある。
・・・娘2人が成人して身軽になってできるようになった贅沢ではある。
マラソンといえば親の故郷の佐渡でも走った。
その寂れぶりは悲しいほどだった。何とかしたい、という思いがある。
父方の親戚は先日伯母が亡くなりひとりもいなくなった。
母方はひとり店を開いて頑張っていたが、コロナで店は閉じ、弁当だけを売っている。
何とかしたいと思う。
そういう思いがある中、あと1年半で定年を迎える。
そうなったら、さて、どうするか。
子育ても終わった今の家は大きすぎる。
都心の小さな家に住み替えて刺激を求めるか、
田舎で、妻のあこがれの薪ストーブのある暮らしをするか、、
でもその時収入はどうするか、年金だけで生きるのか?
まだまだ世の中の役に立てるという思いは強く、、、
なんて思っているところにこの新書に出会った。
関係人口。
選択肢になるのではないか。
妻の実家の群馬でも、私の両親の故郷の佐渡でも、
はたまたマラソンを通じて知り合った酒造会社の社長のいる富山県黒部でも、、、
行ったり来たりの移動の交通費を考えると佐渡ってどうなの?
と思ったりもするが、いずれにしてもこの関係人口、
考慮せずにはおれない。
これからの人生を考えるうえで重要な新書になった。
第一章 社会性と経済性を両立させるのはキレイゴトか?
第二章 関係人口の定義
第三章 能登半島地震の被災地に飛び込む
第四章 住民票を複数持てる社会を
第五章 関係人口を「見える化」せよ
第六章 都市と地方をかきまぜ続ける
Posted by ブクログ
関係人口という概念は以前より知っていた。だが具体的にどのような取り組みがあるのか分からずにいたため本書を購入するに至った。
地方を活かすにも人と人の内面的で自発的な動きが大切であることはもちろんであるが、地方を「小さい東京」にしようとした瞬間に、人は帰る場所を失う(ホームレス)になるといった指摘にドキッとさせられた。地方の活性化とは単純に経済力の強化に他ならないと考えていたためだ。
本書には他にも著者の様々な経験に基づく新鮮な指摘が多く、驚かされることが多い。一方で、やや著名人の太いパイプを持つ自分、という記述も多く少し辟易としてしまった。
とはいえ、それらを吹き飛ばすほどの情熱溢れる書であることは間違いなく、地方活性化にヒントを得たい時は、改めて読み返したいと思う一冊である。
Posted by ブクログ
☆☆☆2025年6月☆☆☆
いつだったかは忘れたが『都市と地方をかきまぜる』という本をかつて読んで感銘を受けた。その本の著者である高橋氏の最新作。都市か地方か、という二者択一ではなく、「関係人口」という新たな概念を筆者は提唱する。
「移住」というとハードルが高いが、継続してある地域と関係を持ち続けるというのであれば、納税や投票といった課題を抱えつつも、現代の都市と地方のもつ問題を解決する糸口がつかめるのでは?という話。
そいいう意味では、僕はゆかりのある和歌山や鳥取を第二の居住地として登録したい。拠点は東京に置きつつも、和歌山や鳥取のためにできる事はしたいと思う。
養老猛司氏は以前から「参勤交代」を提唱している。その考えに近いのかな?
「関係人口」という考えには非常に共感するが、問題はお金と時間。
そこを人々がどう捻出するのか。自主性に任せていては何も動かない。
コロナの時にテレワークが進んだように、何らかの強制力がないと難しいのかもしれない。