【感想・ネタバレ】なぜ人は自分を責めてしまうのかのレビュー

あらすじ

「すべて自分が悪い」というふうに自分の存在を否定することで、世界の合理性を獲得する。この感覚を、自責感といいます。臨床心理学では、自責の問題はほとんど扱われてきませんでした。この本では当事者の言葉を辞書として、自責感だけでなく、母と娘、共依存、育児といったものにまつわる問題を考えていきます。講座の語り口を活かした、やさしい一冊です。

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Posted by ブクログ

とんでもなく読みやすくて面白かった。自己肯定感に対して新視点を得た感じ。家族って難しいな。親になったのでもっと学びたい。この方の他の本も読みたい。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ


著者の考え方、いいと思う。
「母の愛」「あなたのために」という呪いの言葉を否定している。
母と娘の関係。

父と息子のことは西洋の心理学者もよく語るが、母と娘はあまり語られないとも。
女同士の母と娘。
母をそういう位置づけに追いやったのは明治時代。
窮屈な規範に押し込んだ。
その亡霊はいまだ生きていて、母はこうあるべし、家庭はこうあるべし、と縛る。
ミソジニーは男だけのもの、ではなく、女が女を蔑視する。「あんたは女なんだから」と。

工業化時代にはそれが効率が良かった。男が工場で朝から晩まで働き、女は子を育て家庭を守る。
そんな時代はとうに過ぎた。
なのに明治時代の仕組みを懐かしむ輩が多数いる。というか日本の真ん中にいる。
だから世界から取り残される。それに気づかない。

この新書はある意味その警鐘でもあろう。

あげく子は、自分がいるから母が不幸になる、などと思い込む。
自立させなくては!

「自己肯定感」という言葉も著者は嫌う。「人に迷惑をかけない」も。
言葉に責任を持つ、クレバーな方だ。


まえがき

第1章 母はまだ重い
1 「母と娘」の時代の幕開け
精神分析のなかの女/フェミニスト・カウンセリング/アダルト・チルドレン/被害という概念の広がり/『母が重くてたまらない』へ
2 母と娘のいま
母娘問題のはじまり/毒母、毒親という言葉/母の老い/自分の限界は甘く見積もる/亡くなった親
3 母を俯瞰する
定義にこめたもの/母親の三大原因説/謝罪になっていない謝罪/母と娘は和解できない
4 グループの力
解釈を一切しない/母親研究/言いっぱなし・聞きっぱなし/生育歴が母親研究になる/母を俯瞰する/不均衡な力関係の表れ方/母が怖くなくなるような状態を目指す

第2章 共依存を読みとく
1 共依存とシステム家族論
当事者の言葉/アルコール依存症の治療現場から/システム家族論の登場/システム家族論の影響
2 支配としての共依存
共依存の発展/従来の共依存理解の限界/依存ではなく支配/「あなたのために」が不幸のはじまり/言葉が現実をつくる/母の愛のいかがわしさ/被害者権力/パターナリズム
3 母と娘の共依存
母のケアが力を奪う/あなたがいないと生きていけない/女性と共依存/共依存的な人にどう対処するか/共依存的になってしまうとき/被害者は無力化されているのではない/権力は状況の定義権/支配の根幹
4 複雑化したトラウマ
苦しみと鈍感さ/ありふれている共依存/支配性を自覚する

第3章 母への罪悪感と自責感
1 近代と母性愛
母と娘に関する3冊/罪悪感の正体/つくられた家族像/母性愛のふたつの柱
2 母のミソジニー
精神分析にとって女とは何か/阿闍世コンプレックス/受け継がれる母性信仰/ミソジニー
3 母性愛と罪悪感・自責感
反出生主義/虐待の影響としての自責感/母性愛なんてものはない
4 第三者の介入
最良の第三者は、父であるべき/キーワードの整理

第4章 逆算の育児
1 子どもとは何か
アルコール依存症とフェミニズムの合流/年代のはじめの孤立/ACの親のように、じゃない育児/子どもという存在
2 親の言葉による支配
親の暴言/自立という言葉/人に迷惑をかけずに生きることはできない/家族と差別/加害と被害をひっくり返す/普遍的な価値を利用する支配
3 幸せでいる義務
抑圧移譲/強迫的なケア/子どもの前では幸せでいる義務がある/閉ざされた家族/幸せなふりをする
4 とりかえしはつく
子どもの恐怖/子ども以外の存在から支えられること/子どもが許せない気持ち/とりかえしがつかないことはない

第5章 なぜ人は自分を責めてしまうのか
1 自責感と規範の関係
規範を取り込む/規範の一貫性
2 「すべて自分が悪い」という合理性
感情を抱けない/子どもの文脈/たったひとつの合理性
3 根源的受動性
子どもは責任ゼロで生まれてくる/孤独感は高級な感覚/虐待の罪
4 自責感のあらわれ
自傷はサバイバル/アディクション/接触障害/性的な問題/反転する自責感/家族と正義/あなたは悪くない
5 これからの旅へ
グループの意味/ヴィクティム・ジャーニー

あとがき 
索引

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2025年10月30日

Posted by ブクログ

なぜ人は自責思考に陥るのか。その根幹は、自分が悪いと思い込むことで世界を理解しようとする心にある、と著者はいう。

たとえば、虐待される子どもやDVに遭う嫁や旦那が相手を庇うのはなぜか。それは文脈のない攻撃に耐えられないからだ。どうにか理屈をつけなければ、自分を保てない。これは、親と子の関係にも言えるという。

親子というのは、一筋縄ではいかない。昨今では毒親や親ガチャという言葉があるが(この言葉自体ですべてを括るのは私は他者依存すぎるから好きではない)、子は親を許すべきであり、自立して親孝行するのが立派だと言われる一方で、親は子を守るべきであるという世間の"常識"に私たちは、生まれた時から雁字搦めにされている。

つまり、生まれた時から私たちは、自責思考を持つように社会に育てられてきたのだ。

今の時代は、他責思考を勧める投稿がSNSで散見されて、それはそれでどうかと思うが、関係性に囚われて固定された視野から世界を眺めるのではなく、他者との距離はそこそこに世界と自分とのバランスをとっていけたらいいんじゃないだろうか。

ま、それが一番難しいんだけどね。愛というものは尊いけど、それ故に関係性を複雑にするもの。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

自己肯定感という言葉自体を忌み嫌う作者。確かに自己肯定感という言葉に縛られて自分を自分で上げようとするドツボに嵌まって苦しむ人はいると思う。これは目から鱗だった。

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2025年07月23日

Posted by ブクログ

親になったので、どうしたら自分の子が健やかにのびのびと育っていけるかなーと思い、参考にしたくて買いました。ケアすることの危うさなんて考えたことがなかったので驚いた。ケアと支配は表裏一体。子どもに対して支配的な言動を無意識のうちにとっていないか気をつけなければと思った。特に「あなたのために」「あなたのためを思って」は要注意、今のところ言ったことはないけどこれからも言わないように気をつけよう。

子は責任ゼロで我が家に生まれてきてくれたのだ、わたしは幸せでいる(または幸せなふりをする)ことで、親としての義務を全うしたいと思った!

もっと理解を深めたいので他の本も読んでみたい。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

まさかアダルトチルドレンや娘母問題が出発点の新書とは思わなかった。
タイトルにもなっている最後の自責感の章素晴らしかった。「すべて自分が悪いと責める」ことは理不尽な世の中(本書では家族)を合理的に捉えるために生み出されたものだと言われた。
188ページの「自分を徹底して否定することで、世の中が説明できる。世の中はそれなりに合理的なんだ、なぜなら自分が悪いから。」という文章に衝撃を受けた。
自分自身物事に論理性を求める。しかし世の中は不合理で論理的ではない。これは仕方ないことだと思う。これを認めない限りは自分を卑下し続けることになるのではないかと気付かされた。

すぐ自分を責めることを「自己肯定感が低い」ことを原因と考える節があるが、著者のあとがきにはそんな問題の立て方では「出口がない」と言われる。自分だけを見て、自分で自分を操作することは不可能で他者との関わりあいの中で解決するしかない。ハッとした。
恐らく自分の自己肯定感が低いのは中学のあの合理性のない生活のせいだろう。
読んで良かった。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

自責感があるなと思ってこの本を手に取った。母を重いと思ったこともあるし、母からの呪縛は今も続いているように思う。自分では気づかなかった「生きづらさ」があったんだなということに気づかされた。他者がいたことで、幸いにも私は自分が好きだ。言葉にならない感覚をこれからも大事にしていきたいと思う。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分に必要な本だ、と思って読んだ。
本書は、
第1章 母はまだ重い
第2章 共依存を読みとく
第3章 母への罪悪感と自責感
第4章 逆算の育児
第5章 なぜ人は自分を責めてしまうのか
の全5章で構成されている。
カウンセリングセミナーの講座の内容を文字にしたもので、話し言葉寄りの文章で書かれている。

思っていたよりも「母と娘」にフォーカスした話が多かったが、「第5章 なぜ人は自分を責めてしまうのか」に至るまでの章を読み、第5章を読み進めると、これまで書かれていたことと繋がり、理解が深まったような気がした。

「すべて自分が悪い」という思考は、虐待的環境で生きるために自分の存在を否定し、合理性を獲得することだ、という言葉に衝撃を受けた。
それと同時に納得した。
何か理不尽なことが起きたとき、自分を徹底的に否定してしまえば、説明できるようになる。
世の中は合理的なんだ、間違っていない、なぜなら自分が悪いから、と。
こう思わなければ生きていけない状況になってしまうのは、家庭環境によるものが大きいということも分かった。

もくじを見て気になる箇所がある方は、ぜひ読んでみてほしい。

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親が「あなたのために」と言ったとき、言われた本人は抵抗できなくなるんです。「あなたのことを思ってやってるのよ」という言葉がいかに脅迫的か。拒むという選択肢が奪われているからです。選択肢が奪われれば、強制になります。だから、使わないほうがいい。
言われるほうは、反論と抵抗が封じられてしまう。よそから見て問題のない家族でも、そこで育つ子どもたちがすごく苦しいというときに、やっぱり親から「あなたのためにやってるのよ、これが親の愛なのよ」というふうに言われていることがあるんですね。
(P79〜80)

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自責感というのは自分を責めることなんだけど、自分に責任があると感じることも同じです。自分にすべての責任があるという感覚。
家族の中でもっとも小さく弱い存在の子どもが、ひそかに「自分の責任なんだ」「自分は悪い子だからなんだ」と思って、その家族の中を生きてる。それがいかに残酷なことか、もっと多くの大人は気づくべきではないかと思います。
(P189)

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

母子関係をテーマに描かれているが、父親や友人といった関係においても似た状況を起きていると思う。
身近な人間との関係に疲れている人にはおすすめ。
親切にしてもらっているのに、思ったことを言いづらい相手との間には、本書で指摘しているようなことがあるのかもしれない。

★★★
「あなたがいないと私は生きていけない」と言われたほうは、もう無上の喜びなんです。「たいしたことがない私」が、一人の人間にとってかけがいのない存在になる。

★★★
権力は状況の定義権

★★★★★
罪悪感は、自分の外部にある規範にそむいていることから生じる

★★★★★
自分を責めるとは、自分にすべての責任があるという感覚で、裏返せば「みんな自分のせい」という、非合理的万能感にも通じるもの

★★★★★
虐待的環境を生きるということは、自分の存在を否定することで、世界の合理性を獲得すること

★★★★★
「自分には何の責任もない」それが承認されることで、はじめて「自分の人生は自分が主体なんだ」と、そういう自分を受け入れられるようになる

★★★★
孤独とは高級な感覚

★★★★
自傷はある意味でマインドフルネス。いま・ここを感じられる

★★★★
自分を責めてきた人たちは、正義に敏感。間違ったことを許せない。あなたを責めるのは間違っているから、となりやすい

★★★★★
ごみ溜めみたいな自分の経験が、グループの人たちの涙になる

★★★★★
この世でもっとも悲惨で、もっとも残酷な話が、仲間の希望になる

★★★★
自分と類似した経験をもつ他者が必要

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2025年05月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今年1番響いた。自分の危うさはなんとなく自覚していたが、言語化してくれてとても良い気付きになったと思う。
•自身にACの気があるのは、自覚はあるが、それにより若干の成功体験をしてしまったのは厄介だと思う。「被害者権力」なる言葉の説明があったが、自身の加害性についてはもっと自覚すべきと感じた。
•「ケアをする」ということは「支配する」近いというのあまり自覚がなかった。「良いことをしている」感覚に陥ることはあるので、本当に気をつけるべきと感じた。

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2025年05月02日

Posted by ブクログ

依存症臨床から共依存に論究し、母と娘の関係について、早くから論考してきた著者の考えにようやく時代が追いついてきた。アルコール依存問題に戦争トラウマが絡んでいることがどうどうと言えるようになったり、精神分析とフェミニズムの関係やなど、世界では2.30年前から言われている事が、わが国では、当たり前になってきた、私自身の中ではあるが。最後に著者は講演の方が本より面白いと言われているそうだが、確かに講演は脱線だらけで面白いが、本も熱い思いがこもり面白い。本書は両方をミックスした書である。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

臨床心理、とくに精神医学、精神分析を専門とする著者である。しかし分析よりも仲間との語り合い(言いっ放し)が治療に効果があるとしている。DVや他のものがあり、共依存については意味を間違っていると手厳しい。
 あとがきで、自己肯定感は嫌いであると書いてあったので、本文でもそれを解説する部分があるかと期待を持って読んだが、自己肯定感に言及した部分はなかった。

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

あなたのためを思っていっている
母ではない人に言われたことがあるが、ものすごく違和感を感じていた。
支配したかったからだったんだな、と腑に落ちました。

迷惑をかけたらいけない
子供を育てることがあったとしてもこの言葉を使わないようにしようと思いました。

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わたし自身が、母への憎しみをもつことへの罪悪感を抱えてきた。母へ尊敬の念をもつことができないのは、私が精神的に成長せず、いつまでも幼稚なせいだ。
同じ状況でも親に激しく怒鳴られることもあれば、何も起きないこともある…というような因果の見えない精神的な危険にさらされた子どもが、その状況をまるっと呑み込める呪文が「わたしが悪い」なのだという。「わたしが怖い思いをするのは、わたしが悪いから」と、自分の存在を悪だと定義すれば、どんな状況で困難が起きたとしても必ず適用することができる魔法の呪文だと。
安全安心に生きていくための規範を教えることが躾などだとすると、一定の規範がない状況でも生きざるを得ない子どもが自責という呪文でそれを乗り越えるのだと。
親との関わりで負った傷は、口にすることを許さないのが規範だが、口にすることでしか受け入れていくことができないのだという。
自分自身でそこに言葉を充てることで、自分自身の傷を初めて客観的に見つめることができるようになるのだろう。

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2025年07月13日

Posted by ブクログ

信田さんのやってこられていることは、他の臨床家とは異なっており、まるで常に緊急支援をやっているかのようです。
だからか、キレイな整理された言葉ではなく現場よりの生々しい言葉が湧き出てる。母と娘の関係に関しての知見が溢れている

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

“母性愛なんてものはありません。
人間ってそういうものでしょうとか、母性愛がないのかなどと言っちゃいけないんですよ。それがどう時間をかけて、歴史的に私たちに埋め込まれてきたのか考えないといけない。”(p.131)


“娘もしくは息子から母への罪悪感の背後には、父がまったく機能しないということも、私は付け加えなければいけないんじゃないかと思う。
「娘には娘の人生がある。言いたいことがあれば、夫である僕が聞くよ」と正面から妻と向かい合っていれば、娘から母への、もしくは息子から母への罪悪感は、すこしは軽減されたはずです。”(p.134)



“子どもに腹を立てることもあるし、母と同じようにひどいことを言ってしまうこともある。そういう自分を認めなきゃいけない。
大事なのは、そのあとです。そのあとどうするかで、私は決まってくるような気がするんですね。”(p.175)

信田先生はいつも「とりかえしのつかないことなんてない」って言ってくれて元気が出る。「とりかえしがつかない、もうだめだ」と思って割り切ってしまうのは楽だが、それでも自分がやったことを謝って、フォローして、償っていけばいいと。大変だけど、そうしていけば絶望しなくても大丈夫だと。わたしは子育て間違えてばかりだけどすこし気持ちが軽くなった。
自分の親との関係についても「あれはこういうことだったのか」と伏線回収するのを手伝ってくれる。今だから思えることや、今になっても解消されないままものをどうしていくか、いろいろ気づかせてもらえた。


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2025年06月10日

Posted by ブクログ

2025/04/01予約 22
ACの定義
現在の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人
わかってもらおうという気持ちを捨てることはできなくても、距離を取り、生育歴を語り、お母さんを研究し、10cm高いところから見る

物理的距離をとることが効果的なのは身にしみているので次は10cm高いところからみてみよう、なかなか言うは易しではあるけど。

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2025年06月01日

Posted by ブクログ

母親三部作を既読なので、目新しいとは感じなかった。罪悪感は外部の規範に反することで生じる葛藤。自責感は、全て自分が悪いと思わされることで生じる、自己献身からの反応。認知行動療法と相性がいいのかも。

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2025年04月22日

Posted by ブクログ

依存症・嗜癖、AC(アダルトチルドレン)、DV、虐待、性加害、母親と娘の問題などについて積極的に発言されてきた信田さよ子氏によるオンラインセミナーを書籍化したもの。
読みやすかった。
信田氏をよく知らない人の入門書としてもおすすめできると思う。

⭐︎印象に残ったところ
p190 「子どもは責任ゼロで生まれてくるんですよ。」
子育てにおいて子どもは、「解決の見通しがない世の中に生まれさせられたんですよ、あなたは」ということを誰かに承認されなきゃいけないんです。
p191 「愛着とは、本来はこの根源的受動性の承認を意味してるんじゃないかと思います。」
(愛着障害について)「ぴったりくっついたり、スキンシップしたり、そうすることで子どもは安定する」みたいに誤解されている。

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2025年04月13日

Posted by ブクログ

個人的にこの本から受け取った一番印象に残った言葉は「非合理的万能感」。

これがあると自分を責めることにつながってしまう。

一回しか用いられていない言葉だけど、この本の主題である自責感の背景を、端的に、そして親子関係に限られない広範囲の文脈で示すのは、非合理的万能感だと思う。

読んだというより、眺めたという感覚で向き合った本だった。ここでの内容を鵜呑みにし過ぎて現実に当てはめることは、それこそ少し現実的ではないと思う。現実は想像以上に複雑だし、個々によって置かれてる環境は異なる。だから、この本の内容を鵜呑みにせずに、自分にとって印象的な部分をつまんでいけばいいし、それを無理に実践しようとせず心の片隅に留めればいいのだと思う。

ただ、事あるごとに参照したいと思う内容だから、手元に置いてあるといいかもしれないとは思う。

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

母から娘へのケアによる暴力性。生殺与奪を握っている母の全能感と、娘の自責感罪悪感。そして父の不在。親の人生を背負わされる子供の構図ってやっぱグロテスクよなと。

“産んでしまった”ことを認めること=子供自身には何の責任もないと分からせること が、子供の主体性を育むみたいな話がめちゃくちゃ面白かった。

自責感も自己肯定感も、自分の中でぐるぐる回るだけでは何も解決しない。それはあくまで他者との関係性の中でトライされるべきだし、他者にそもそも原因がある場合がたくさんあるってこと。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

母の影響力を改めて思い知った。正しく影響力を使わないと。この本を読んで、母と分離できていることに気付かされた。

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

人が自責の感情を意識するのは2歳半から始まる。そうして、心理的にも身体的にも自分と外の世界との対話と体験を通じて自分の心や意識と向き合い、「ごめんなさい」と心から言えるようになる。
さて、本著では、自分を責めてしまうことについて問いと視点を与えてくれる良書である。私たちは人間であればどんな者であれ、自責することはある。それは決して悪いことではなく「今いる環境と状況に適応する状態」と本著では示唆している。自責から学べることは多い。問題の根幹や本質は、本当に自分でコントロールできる範囲内での出来事や状況なのか、自分ではコントロールできないことなのかを分けることでより生きやすくなるだろう。だが、自責もそうだが、他責に走ってはいけない。その区別をつけることも自身の感情や状況や環境と照らし合わせて深く考える必要があるだろう。
本著で述べているように、育児や親子関係、共依存、虐待などの状況もある。これらは一例であり、人の数だけの状況や課題がある。だが、本著では自責することは世界と繋ぎとめるための合理性と説く。
自責は環境の適応や人間関係で必須な状態であり、それは単に心が弱いとかの話ではなく、人間が人間たらしめる感情の機能である。
しかし、度が過ぎれば、それは毒となる。もし、今、あなたがおかれている状況や環境が劣悪で追い詰められる状態になっているのであれば、ほとんどの場合に、専門としている団体があり、守ってくれる相談窓口もあることを知らなければならない。
自責だけの適応だけでは限界があり、本著はそれらも教え、視点を広げる良書であるといえよう。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

母が自責感を感じている本だと思って手に取ったけど、書かれていたのは主に子どもが感じる自責感だった。
そして、子どもにそう思わせているのは、主に母親なのだそう。
例えば…とあげられている例に思い当たることがあり過ぎて、とってもショック。
多くの親が言ってしまうセリフだと思うけど、これって私だけだったんだろうか?私は毒親認定だな…と悲しくなってしまった。
親の立場でこの本を読んだ他の方の意見を聞いてみたいなぁ。
ダメ出し部分が多かったので、どうしたらいいかということももっと書いて欲しかった。

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2025年05月25日

Posted by ブクログ

正確には専門書ではなく、
一般向け講座を書き起こしたものだが、
信田さよ子先生が積み上げてきた経験があるからこその、
深い洞察についてとてもわかりやすく書かれている。

私の患者さんに読んでもらいたい。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに興味を惹かれて購入。

著者の信田氏の講演をまとめたもの。どちらかというと女性向けの本で、母と娘間の人間関係からここ最近話題になっている概念「きょう依存」や「アダルトチルドレン」「自責感」などを紐解く1冊。
前述の通り、母と娘の関わりに焦点を当てているため、男性に対しては当てはまるのかよくわからない。
また、講演をまとめたものなので口語体で著したとまえがきにある。私にはどうも馴染めず、理論や結論がなかなか読み取れなかった(これは私の読解力が低いこともあるので読み返すうちに理解できるかもしれない)。

印象に残ったのは第2章「ケアすることで相手が弱体化する」という一文。
実質的に相手を支配する、という観点は興味深かった。親切心から申し出たあるいは実行したことが逆に相手の自由を奪ってはいないか、と一歩引いて考える視点を常に持っていたい。

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2025年04月15日

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