あらすじ
インテリジェンスは人類を救う。
新型コロナウイルスの「発生源」として世界を震え上がらせた武漢は、中国革命の地にして、国共内戦の要衝でもあった。十歳でこの地に流れ着いた李志傑は、己の才覚を頼りに動乱の時代を駆け抜けたが、文革の嵐に見舞われ、家族は国を追われてしまう――。
それから五十年後、李一族の「業」は、MI6の異端児スティーブン・ブラッドレーと相棒マイケル・コリンズを巻きこみ、“謀略の香港”に降り立った。感染爆発は、なぜ武漢から始まったのか?
トランプ再登板で改めて、ウイルス起源が取り沙汰されるなか、米中の最高機密にインテリジェンス小説の巨匠が挑む。
※この作品は過去に単行本として配信されていた『武漢コンフィデンシャル』 の文庫版となります。
(底本 2025年3月発売作品)
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Posted by ブクログ
手嶋龍一『武漢コンフィデンシャル』小学館文庫。
国際インテリジェンス小説。
以前読んだ『宰相のインテリジェンス 9.11から3.11へ』の方が圧倒的に面白かった。
タイトルが『武漢コンフィデンシャル』というだけに新型コロナウイルスを巡る中国の謀略が描かれるのかと期待したのだが、新型コロナウイルス感染症が流行り出す前の2015年で話は終わってしまう。
プロローグは2019年の武漢で感染症の患者が次々と闇医者の治療を受けるところから始まる。となれば、中国の武漢にあるウイルス研究所から流出したとされる新型コロナウイルスの秘密が描かれのではと期待せざるを得ない。
しかし、話は、2014年のアメリカに移る。アメリカ同時多発テロ事件の直後、炭疽菌を使ったテロ事件が起こり、炭疽菌テロ事件と武漢の新型コロナウイルスとがつながっていくかと思えば、そうでもない。1927年の武漢、そして、香港、雲南、上海、ワシントン、ニューヨーク、ロンドン、ブエノスアイレス、オーストラリア、日本、ミャンマーと場面は目まぐるしく変わり、アメリカのインテリジェンスにばかり終始するのだ。
本体価格940円
★★★