【感想・ネタバレ】咒(まじない)の脳科学のレビュー

あらすじ

なぜ、私たちは、周りの言葉にこんなに苦しんだりするのでしょう?
人を息苦しくさせる――SNSにあふれる呪いの言葉、病気にもしてしまう暗示。刷り込まれる負けグセ。
脳を中毒にする――イケニエを裁く快楽、罰を見たい本能や正義という快感。ウソつきの遺伝子がモテる。
知りたくなかった現実――男のほうが見た目で出世、女はここまで見た目で損をする。脳に備わっていたルッキズム。

私たち人間の社会は咒(まじない)でできていると言って過言ではないのです。
なぜなら言葉が、意識的と無意識的とにかかわらず人間の行動パターンを大きく変えてしまう力があるから。
人間関係や仕事、人生の幸不幸も、あなたを取り巻く社会の空気さえ。
そして今SNSがひとりひとりを孤立させ、言葉はいっそう先鋭化しています。
正義や快楽に中毒する脳そのものが、そもそも人間社会を息苦しくする装置です。
本書の役割は、脳にかけられた咒がどのようなものかを知らせ、解放することにあります。

【著者より】
本書では、ネガティブなイメージだけを扱うのではなく、ポジティブな想念を含む言葉の力についても光を当てたいと考え、あえて「まじない」に「咒」という文字を使用することにした。
私たちは物理世界に存在している生物ではあるが、認知という観点から見れば、言語の海の中に生きる存在である。
私たちは、誰かの発する音声に左右され、他者が何気なく書いた言葉を目にして一喜一憂する。励まされて生きる活力を得ることもあれば、死を選ぼうという気持ちにさせられることもある。これらは言葉の力である。現代特有の現象などではなく、古来より洋の東西を問わず、言語を用いる技術に長けた者が、意図的にその力を運用してきた歴史がある。
脳科学を中心とした知見をもとに、その力の一端を繙いていこうという本書の試みが、読者の向後に資することがあれば望外の喜びである。

【本書の内容】
序章 咒―言葉の隠された力
第1章 呪い―悪意の影響力
第2章 快楽―脳が制御できない中毒
第3章 ルッキズム―例外なく脳は美醜に囚われる
第4章 社会がかける咒―安寧のための代償
終章 咒がかなうとはどういうことか

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

我々は言葉に縛られているし、脳は全部を処理するとコストがかかるので省略するために騙されやすい。結局人は信じたいものを信じる。有限実行より不言実行の方が努力が続くという研究結果は心強い。「外見の変化が行動の変化につながる」は、ジョジョ4部のシンデレラの回みたい。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

❝願意を音声として発するということはそれだけで願望の実現に向けた一歩たり得る行為となる。❞

目標を書き出すだけでなく「口から言葉として発して耳で聞く」ことも脳科学的に効果的です。

毎朝目標を復唱する時間を取り入れてみます。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

思考は言語でできてる。
・虐待をする神経回路がある※ネズミ実験
・脳は快楽を制御できない
 →正義中毒、制裁願望などの攻撃的な快楽
確かに現代は、SNSや動画など(いい意味でも悪い意味でも)様々な快楽に触れられる機会が多すぎる。言葉の受け取り方と使い方が生き方になるとは言え、何が正しいかは分からない

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 栄養学の本で、昔人間は小動物だった頃、基本的に飢えていて肉食だったのでアミノ酸を体内合成できず今でもタンパク質を摂らないといけない。という話を聞いた。本著では、人間の感情も同じように辛さに耐えられるように変化し辛いことを快楽に感じるようになったが、今の人類は快楽を次から次へ与えられることで、それにどう対応していいかわからなくなっている。
 他人に対する呪い(この字は咒と同じ起源、と)は言語化しないと呪えない、という指摘はその通り。
 ルッキズムや、ラットのユートピア実験を取り上げ、人間の思い込みがどのように行動に投影されるかを述べる。人はそもそも、いろいろなものに咒を掛けられているのだ。
 最後、著者が出雲大社で友人が強く生き続けるための咒を行い、それが効果を表したという紹介をして終わる。
 

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2025年10月01日

Posted by ブクログ

私たちの脳には、苦痛に耐えて生き延びるための仕組みが数多く用意されている。苦痛を感じれば、それをできるだけ弱め、無視して生きられる様に様々な機構が動く。けれどもやはり、快楽に耐える仕組みはこの脆弱な意思の力以外には存在しない。快楽は、身体的、認知的と、異なるレイヤーにおいて、あればあるほどよいと脳が錯覚するように仕組まれてしまっている。

苦痛の多い場合には副音とも言うべき仕組みだが、現代社会のように多くの人が快楽を追い求めることが可能なインフラが整ってきてしまうと、途端に様相が変わってくる。抑制の機能が脆弱なのに、大量の快楽にまみれさせられてしまうという現象が起こりだす。すると、先人が後世に人間の幸福の源とも思い、よかれと思って苦労して築いてきたであろうはずの技術も社会基盤も、今度は依存症を生みだす元凶となっていまう。

そもそも人間には快楽に抗える仕組みがない。

快楽を自ら制限しなければ、快楽に殺される。人間はそんな時代を、自ら作り上げてしまったという皮肉な構造だ。少しでも瑕疵があれば、寄ってたかって快楽をむさぼられてしまう。攻撃の的になる。
人は貧しいから攻撃するのではなく、快楽のために攻撃する。コンプライアンス中毒は、各人の私的な、あるいは明文化されもせず公的でもないコミュニティの基準をルールとして、誰かをイケニエとして祭り上げたときにおこる。炎上でも、差別でも、いじめでも、偏見でも、あらゆる社会的排除と関係づけられるものはこれで説明がつくだろう。

今世の中で起こっている問題の原因が腑に落ちた。更に自らを律することを意識した。

他に、人は容姿で人を判断してしまうことに抗えない。
   人間はルールに反する行為をした者には罰が執行されるべき。など
世界の研究結果をもとに考察していて理解しやすい。

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2025年08月17日

Posted by ブクログ

確かに指摘されているように、人は意識的または無意識的に 多くの見方、考え方に縛られているのだろうと思う。だからこそ それがあるのを意識しながら より良い方向に修正?修整?していこうとするのが、知性というものだろうか。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

中野信子さんの話は面白いし、彼女のラジオも楽しく聴いているが、どうも著書との相性は悪い。だから何?と毎回思ってしまう。タイトルとリンクしていないといつも思うのは私だけか?

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2025年10月16日

Posted by ブクログ

健康的な楽しみを見つけよう。地味でゆっくりを味わおう。
フラクタルな世界は生まれ直し続けている。願いを口にすることで自分の好きな世界に変えてしまおう。生きていることに正直飽きているが、寿命が来るまで遊んで過ごそう。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

んー、途中は退屈でした。

ルッキズムとか、容姿がよい方ではなかった者からすると、当たり前に感じてることばかり。え、それで何?
そんな社会を潜り抜けて生きてきた者からすると、読んでいてあまり楽しく感じられなかった。

という、人間社会のいろいろな面を突き付けられる本でした。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

人を追い詰めるノーシーボ効果、制裁の快楽を貪る中毒、ウソつく脳を持つ人恋愛強者、容姿の良さを無意識で評価する脳、そしてユートピア実験。何年も前から流行っている脳科学を、現代起きていることに落とし込んだ論調は、いつ読んでも興味深いし、示唆があるように感じる。書籍を通じて多くの気づきと考えを与えてくれる中野さんの書籍は、言葉に気をつけ断定しないまでも可能性を示してくれる。
分かりやすいのはやはりユートピア実験からくる少子化だ。十分に検討すべき実験のように思えるよだが、、、どうなのだろうか。

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2025年07月14日

Posted by ブクログ

脳科学者の著者がその知見をもとに、言葉の力が人生や社会に与える影響を分析している。快楽とルッキズムの章が特に面白かった。

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2025年03月31日

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