【感想・ネタバレ】どうせそろそろ死ぬんだしのレビュー

あらすじ

2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作
余命宣告された人々が集まる山荘で起きた、ある一人の突然死。
自然死か殺人か――。超新星の二度読み必至「館」ミステリー!

「最初から最後までずっと罠ばかり。最大の罠は作風そのものかも」麻耶雄嵩(作家)

(あらすじ)
探偵業を営む七隈は、余命宣告された人々が集う交流会のゲストとして、助手の律と共に山奥の別荘に招かれた。
二人は交流会の参加者と食事をし、親交を深める。しかし翌朝、参加者の一人が不審な死を遂げる。
自然死か殺人か。殺人であれば、余命わずかな人間をなぜわざわざ殺したのか。七隈たちは死因の調査を始め――。
やがて明かされる驚愕の真相とは?


【著者について】
香坂鮪(こうさか・まぐろ)
1990年、熊本県生まれ。大阪府在住。現在、循環器を専門とする特定機能病院に勤務。第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、本作でデビュー。

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匿名

ネタバレ 購入済み

余命わずかな人の集まりで事件が起こる。そもそも殺人事件なのか、余命わずかにもかかわらず、わざわざ殺す理由は何なのか。
序盤は語り手に違和感を感じて、なんだか読みにくいと感じたり、探偵役は誰なのか分からず混乱したりもあったが、文章自体はスラスラ読めて、読み進めていくうちにその違和感も含めて伏線だったのかと脱帽。何度か戻って確認しちゃいました。

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2025年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者初読。パイセン本。

香坂鮪著『どうせそろそろ死ぬんだし』は、一見すれば軽妙なタイトルに反して、深い人間理解と存在への洞察に満ちた一冊である。物語は「死」を軸に据えながらも、決して暗く沈むことはない。むしろ、その背後に潜む「生きるとは何か」という問いが、読む者の心を静かに揺さぶり続ける。

本作の魅力は、巧妙に張り巡らされた構成と、読者の思い込みを見事に裏切る仕掛けにある。何気ない描写や台詞のひとつひとつが、終盤で鮮やかに意味を持ちはじめる瞬間には、まるで霧が晴れるような快感がある。特に後半の展開は圧巻で、伏線が収束していくさまは、論理の美と感情の衝突が同時に訪れるような読書体験を与えてくれる。

また、香坂氏の筆致には、若さや軽やかさの中に確かな冷静さがある。登場人物たちは皆、それぞれに「死」を意識することで初めて「生」を見つめ直す。その姿は痛ましくも美しく、読後には、誰もが自らの時間の尊さを改めて思い知らされるだろう。

タイトルの「どうせそろそろ死ぬんだし」という言葉は、皮肉でも投げやりでもなく、むしろ“だからこそ生きる”という決意に近い響きを持つ。
この作品は、死を恐れず、むしろその不可避性を見つめることで、人生の輪郭をよりくっきりと描き出す――そんな力を秘めている。

ミステリーでありながら人生小説でもある本作は、読後に静かな余韻を残す。軽さと重さ、虚無と希望、そのあわいにこそ人間の真実があるのだと、香坂鮪は語りかけてくる。
ページを閉じたあともなお、心のどこかで“生きる理由”を問い続けたくなる――そんな、重厚で静謐な傑作である。

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2025年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

叙述トリックは歌野晶午を思い出した。
七隈が皆んなが自己紹介する前に橋本って書いてる部分も意味があったんだな。

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2025年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーん…
東野圭吾の仮面山荘殺人事件を読んだ後だったので、けっこう似てしまってるな、と。
登場人物の会話?セリフ?がいまいち区別されずに書かれているので、誰が話しているのかわかりにくかったかな。
可もなく不可もなく、みたいな作品でした。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

3日目になるまでのダラダラ感がしんどかった。
3日目になってやっとスピード感が出て
そこからはイッキ読み。
結末を踏まえもう一度読み返してもいいかもしれない。

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2025年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

評価がとても低いがこのミス大賞をとっただけあって、私は面白いと感じた

いろいろと無理あるだろうというところはあるが、アクロイド殺しに通ずるどんでん返しがあってそこは好み

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2025年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

東野圭吾『仮面山荘殺人事件』の登場人物設定をちょこっと変えただけでは……?

こちらを先に読んだので展開を新鮮に楽しんだけれど、後で『仮面山荘』の方を読んであまりに酷似していたので驚愕してしまった。先に『仮面山荘』を読めばよかった。

見たことのないトリックを期待してミステリを読み漁っているので、これは正直残念。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山奥の別荘に集まった終末期の患者たちの交流会で死者が発生し、居合わせた探偵と助手が事件性を探る――そんな導入から始まるが、物語は予想を裏切るように二転三転していく。前半は一見すると違和感のある表現が続き、そのたびに「これは伏線なのか?」と読み手に引っかかりを残す。そして後半では、その違和感をすべて回収しながら解決編へとなだれ込む構成だ。途中で何度か「えっ、そうくるの?」と驚かされる仕掛けも効いていて、ラストの伏線回収は鮮やか。ただし、個人的には作品世界に没入しきれなかったのが正直なところ。スマホが登場するまで時代背景が曖昧で、そこが読み味を少し損ねていたように感じる。

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2025年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語の舞台は、山奥にある別荘「夜鳴荘(やめいそう)」。
ここでは、余命宣告を受けた人々だけで構成される交流会「かげろうの会」が開催されている。
この会にゲストとして招待されたのは、元刑事で現在は私立探偵を営む七隈昴(ななくま・すばる)と、その助手である元研修医の薬院律(やくいん・りつ)。
七隈自身も1型糖尿病を患っている。
交流会は、6人の会員たちとともに始まる。
初日の夜、参加者たちは食事を共にして親交を深め、和やかな雰囲気で時間が過ぎていく。
しかし、翌朝、衝撃的な事件が起こる。
参加者の一人が自室で死亡しているのが発見されたのだ。
死因ははっきりせず、持病による自然死なのか、それとも殺人なのか、判断がつかない状況だ。
この不審な死をきっかけに、七隈と律は死因の調査を始める。
参加者の中には医者もいるため、遺体の検案が行われるが、事件性がないように見える一方で、奇妙な点も浮かび上がる。
もし殺人だとしたら、なぜ余命わずかな人間をわざわざ殺す必要があったのか? 
この疑問が、物語の核心に迫る鍵となる。
物語は、交流会のメンバーたちの背景や関係性が徐々に明らかになりながら、さらなる出来事が発生。
山奥の別荘という閉鎖的な環境(ただし完全なクローズド・サークルではなく、警察が2時間程度で到着可能な場所)で、七隈と律は真相を追い求める。
物語が進むにつれ、参加者たちの過去や動機、さらには予想外の事実が次々と明らかになり、読者を驚かせる展開が待ち受ける。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに惹かれ読み始めた館ミステリー。
途中まで探偵の人物像が想像しづらく、読み飛ばしたのかとページを戻ってみたりモヤモヤしていたが終盤になり、あえてそうしていたのだと納得。
前半と後半で探偵助手のイメージが大きく変わり、小説の面白いところだと感じた。
所々で持った違和感がクライマックスに紐解かれていく感覚が気持ちよかった。
ありがちな手法だとは思うが、最後の1文は良い余韻になった。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

総合的に、ん?となるような描写がなく、綺麗な物語だったように思えた。七隈昴が実は車椅子生活を強いられていた老婆出会ったというミスリードや、最後の一文のタイトル回収の流れなど、粋な文章表現が印象的な作品だった。しかし、自分が個人的に推理小説に求めるスリルやゾクゾク感をあまり感じなかった。それさえ満たせていればこの作品は星5つにしていた。

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2025年08月26日

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