あらすじ
「コーポレート・ファイナンス」というビジネスパーソンに必須の学問を専門とする大学教授は、どのように物事を考えているのか? 野村證券の営業マンを経て、50歳にして経営学博士になった著者が、ファイナンス理論をモチーフに、プロの学者が身につけている「科学的な思考法」の概要とその身につけ方を解説する。
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Posted by ブクログ
とても良い本。というか本書の著者の宮川先生の間がかたや人生の捉え方が好き。授業を受けたいなあと思うけど、大阪公立大学の教授ということで、ちょっと距離的に現実的でなさそう。
元々現場のビジネスマンであったが、理論に興味を持ち、現実に立ち向かうために理論が重要であると認識しているところが私の心情とも重なり、とても勉強になる。
Posted by ブクログ
非常に面白かった。まずファイナンス学者の本だが、小難しいファイナンス理論の話はほぼ出てこない。著者は野村證券(投資銀行)から外資金融サービス会社(コンサル)から野村証券に出戻り、その後大学教授になった異色の経歴の持ち主。
個人的に理論だけ語ってる学者の言う事は信用できず、一般企業でサラリーマンをして実践的な事をやってから理論を語れ!と思うので著者の経歴はまさに理想といえる。
著者は周囲の条件を見ことから考え始める発想を「セールを張る」、根本的なところから考え始める発想を「オールを握る」と表現し、両方の側面からどの様に世の中で起きている事を考えていくか?を解説してくれる。
理論は数式の世界で再現性がないと科学とは呼べず、バシッと方程式が当てはまればなんとも便利なツールだが、結局局所的で前提条件がないとなかなかそんな理論は築き上げる事は出来ない。特に自然科学ではなくファイナンス理論の様な人の思惑や社会活動が大いに関与する事象については。でも行き当たりばったりで「セールを張る」考え方だけではなんとも心もとない。ある程度の理論をもとに、こうすれば高い確率で成功するみたいな指針が欲しい。そして最後は「意気と度胸と勘」で物事を進めていく。この本はその為の科学的な理論とは何か、どう考えていけばいいのかを教えてくれる。
エピローグの以下の一言が秀逸。
「目の前の現象を自分なりに真摯な態度で観察し、ひたすら自分で考え、判断したあとは勇気を奮ってオールを握るのみ」
すべての社会人にお薦め。