あらすじ
社長は“経営”に集中せよ
ぶれない理念と行動指針の策定で「自走型組織」は実現できる!
歴史的な円安やそれに伴う物価高、人口減少による市場の縮小など日本企業にとっては先の見通せない厳しい経営環境が続いています。そのような中にあっても経営者は時代の先を読み、会社を成長へと導いていかなければなりませんが、現実には社長がプレイヤーとして日々実務に追われ、中長期的な経営戦略に集中できていないことも少なくありません。特に「現場主義」が根強い製造業などでは、社長自らが現場で判断を下すことが当たり前とされることが多く、その習慣を簡単に変えられないのが実情です。
しかし、機械装置やプラント設備の開発設計を手掛ける会社を経営している著者は、経営者と従業員の間で会社が進むべき方向の共有さえできていれば、社長が現場に足を運ばなくても経営の安定と成長は可能だと述べています。
もともと大手IT企業のプログラマーとして働いていた著者は、製造業の現場経験が全くない状態で父の会社を引き継ぎました。当時の会社は常に指示待ち状態の社員が大半で、製造業に関しては素人である著者に逐一判断を仰いでくるような状況だったといいます。
「この状況を改めなければ会社も社員も成長できない。しかも製造業の素人である自分が現場に出ても仕方がない――。」そう考えた著者は、社員が自主的に判断するための基準として経営理念を刷新します。また、現場での具体的な行動指針をつくることで、社員一人ひとりが会社の方向性を理解し自ら考え行動できる体制を整えました。さらに、社員の「指示待ち体質」を改めるため、社長と社員の距離を物理的に置く「社長のフルリモート」という思い切った策に打って出ます。当初は社員から戸惑いの声も上がりましたが、数年にわたる地道な取り組みの結果、現場主義が当たり前の製造業であるにもかかわらず社長が現場に全く足を運ばない自走型組織を作り上げました。
本書では、「社長のフルリモート」による組織の自走化について、経営理念の作り方や社員への浸透方法、現場での具体的な判断基準の設け方まで、著者の手法を交えながら詳しく解説しています。さらに、社長がフルリモートで働くことによって得られた効果や、直面した課題とその解決策についても包括的に解説しています。
社員一人ひとりが自ら考え、判断し行動できる組織づくりを目指す経営者にとって、具体的なヒントが詰まった一冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自走型組織を作るための試行錯誤をまとめてくれた本。ティール組織やホラクラシーという言葉は特に出てこないが、結果的に似ているところもある。
戦略や事業領域が割と固定されている子会社、メーカーという前提の中でとても有効に働く経営改革を行なった事例について書いた本。
父親や社員に向けてのメッセージかな?と思うところもある。
システム会社を経て管理部長、子会社社長となっただけあって、とてもシステマチックな考えが本人の中で一貫しているように読める。
リモートワークは若手より中堅以上から広まったのは納得。家庭ができて、育児や介護がある方がリモートワークの意味は大きい。仕事だけしてられるうちは出勤でも問題ないし、他人と話せる方が楽だという人も多い。
リモートワークは働く側に自律性がなければ成立しないし、評価指標としても、アウトプットやアウトカムを見られるものがなければ機能しづらいからだ。