あらすじ
「さあ、化物と鉢合わせといこうか」
謎だらけの変人作家×毒舌の少年助手
不揃いだからこそ補い合える二人が、博多の街を騒がす人食い化物の正体を追う大正あやかし事件簿!
時は大正十年。旧制中学に通う優等生・瀬戸春彦は編集者の父のお使いで、偏屈で有名な正体不明の大人気作家・香月蓮の原稿取りに行かされる。
香月は春彦の歯に衣着せぬ物言いや年の割に達観した性格を気に入り、小説のネタ探しの助手にする。
二人はさっそく町で噂になっている、託宣で人の死を予言するという歩き巫女の姉妹、人喰い化け物の仕業と噂される連続バラバラ殺人事件の真相を追いかける。
だが、それは恐ろしくも底知れぬ闇への入口だった。
見えてきた手がかりは、遊廓の遊女たちの怨念から生まれたという曰くつき呪具――太夫の左腕。
民俗学的な要素も満載、大正時代の博多を舞台に繰り広げられる耽美なホラーミステリ!
くすんだ金髪に白い肌、鬼子として生を受けた少年、瀬戸春彦。
己の運命に縛られ屋敷に閉じ籠もり生きてきた謎の小説家、香月蓮。
己ではどうしよもない呪いを背負った者同士の運命的な出会い――
「夜行堂奇譚」「四ツ山鬼談」の著者が放つ新たなバディ小説!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
この作者の書くバディは外れない。
大正の世で怪異にまつわる事件を追う(好奇心)文豪に付き合わされる、学生の春彦。凸凹でありながら相性の良い二人のやり取りは見ていて気持ちがいいものがありました。
いつもながら日本神話に対する解像度が高く、こちらも勉強になるものがありました。
香月の正体は、作者曰く「一人か二人くらいは今作の設定や会話などから看破する読者が現れるかもしれないと思っている。」とのこと。
春彦が「一瞬、三本足の巨大な鴉が、この男の背後に蹲っているように視えた。」となっている。
3本足の鴉といえば八咫烏なので、ちょっと調べたところ賀茂家という陰陽に関係のある家系が出てきた。そのあたりかななどと思ったり。
シリーズになるとのことで、続編が楽しみです。
Posted by ブクログ
嗣人さんの夜行堂奇譚シリーズも大好きだけど、本作もとても好みで良い!!
大正時代と福岡の町がマッチしていて、全体的に雰囲気が良い。
香月先生の得体の知れないのに優しく変人なところと、こちらもなにやらありそう春彦とバディがいい。
香月先生の蘊蓄がまた勉強になり、もっと続きを!と思ってしまう。
怪事件も怖さの中には悲しさがあり、とても良かった。
どうか次作が早く読めますように!