あらすじ
『アグレッサーズ』に続く《戦闘妖精・雪風》第5部、早くも登場!
“ジャムを演じる”アグレッサー部隊に配属された深井零と雪風はレイフとともに、日本空軍の田村伊歩大尉が駆る飛燕ほか地球連合軍との模擬戦に臨んだ。伊歩のジャム探知能力を高く評価するクーリィ准将は、彼女に雪風を操縦させる思惑を秘めていたが──。
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前作『アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風』から始まった新3部作の第2弾。前3部作は難解すぎて訳わかんなかったが、こちらは限られた人数の登場人物たちがディスカッションを繰り広げてくれるのでとてもわかりやすい。ストーリーは連続しているので、忘れ去っていた過去のエピソードも解説してくれて助かった。
いよいよ異星侵略体〈ジャム〉の正体が見えてきて、物語は佳境か。進化を止めない雪風や、それに振り回されるFAFの面々もいい。次の作品で、人類対ジャムの戦いは一応の決着を見ることになるのだろうか?
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最初の方にあるパイロットふたりが「雑談」を試みるシーンがいいな
ふたりとも、ここに来る前は人の中にうまくいられないタイプで、そのうちひとりは雑談が今までできなかった
そして雑談をしていくうちにふたりに共通して、ただし別の形で存在していた小さいがとても影響を与えてきた恐怖の種が「孤独」ということがわかるシーン
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読書備忘録928号。
★★★★★。
毎度ですが無条件です。
この作品が世の中にリリースされたこと、書き続けてくれていることで無条件です。
深井零大尉のみならず、ブッカー少佐、クーリィ准将、フォス大尉、桂城少尉、田村伊歩大尉みんなみんな愛おしい!
そしてこの作品、シリーズ第5作にして、新3部作の第2弾なんだってよ!
アグレッサーから始まるジャムとの哲学戦争の新3部作か!
今作、章立てが割と細かい。
そしてタイトルが言い得て妙。タイトルってそういうものですかね。
<復習>
①ジャムは一体何がしたいのか?えっ?人類と戦争している宇宙人では?
②ジャムは地球を侵略しようとしている?人類を敵と見做している?否。コンピュータを相手にしている。
③ジャムは地球侵略を果たした。人類をターゲットにしていないので人類は気づいていない。
④FAFはジャムと戦わないといけない。地球上で戦うのは現実的ではない。なのでフェアリイ星に引きずり出す!
⑤FAFはフェアリイ星にジャムがいないと存在できない。哲学的な死に至る・・・。
⑥アグレッサー部隊を創設してジャムを引きずり出した。FAFの既得権益を守るために!
とにかく面倒くさい作者(リスペクト)!そして面倒くさい登場人物たち。当然面倒くさい読者!笑
本作は大半が会話で構成されるので普通は読みやすいはず。しかし、言葉じりを捉えたり、言葉の裏で会話したりと面倒くさい!登場人物全員がコミュ障なのではないかと思ってしまう!そして、こんなに読書が楽しいと感じることは稀だ!笑
それでは作品の備忘録(各章)です。
★次巻へ繋ぐための無条件ネタバレ備忘録!★
【霧の中】
復習に書いた内容のことをああでもないこうでもないと議論を戦わせるパート。
すなわち、FAFはどうしたら良いのか五里霧中を進んでいるという結論。
【内心と探心】
クーリィ准将と伊歩の会話パート。
雪風が人間を意識し始めている。それはセンサーとして人間を使うために。
雪風はジャムを見つけるセンサーとして伊歩を使いたい。
そして結論。パイロット伊歩、フライトオフィサーとして零が乗ることに。
【対話と想像】
出撃準備パート。
伊歩が前席で出撃準備。
雪風、伊歩、零の3者間のコミュ障コミュニケーション!対話で相手を想像する!
出撃準備完了!桂城はのけ者。
【索敵と強襲】
出撃パートその1。
フェアリイ星ジャム基地残骸を爆撃する爆撃機3機と護衛戦闘機群を観測する為に出撃。
そして、伊歩は基地爆撃用のバンカーバスター(!今流行りの!)をジャムと識別!
そして雲?の中へ・・・。爆撃準備に入る爆撃機!爆撃を止める零!
そこはFAF基地の上空であった?????
超空間通路が出来ていた?ジャムの仕業?
一旦着陸する雪風。
【因と果】
出撃パートその2。
前席、後席を入れ替えて再出撃。爆撃機を追い、3機ロックオン。と、伊歩の目に異常が。爆撃機が1機しか見えなくなる。雪風のレーダー群がおかしくなる。
フローズンアイ起動!空気の変化を観測する特殊センサー。空間の一部が歪む!ジャムの巣か?レイフに核ミサイルを発射させる。
そしてロンバート大佐からの伊歩へのメッセージ。
お前の存在がジャムを作っている。因果関係が逆転か?
お前はジャムだ。こっちに来い。と。
帰投する雪風。
【対抗と結託】
面倒くさい対話パート。
のけ者になってイライラ半端ない桂城パート。
伊歩と桂城。フォスと桂城。
言葉は嘘をつく。言葉は真実世界から発生したノイズそのもの。ノイズから真実を拾い上げる。
【懐疑と明白】
雪風で計測された情報の分析パート。メンバー集まって。
ジャムとは?どうやら情報を食べる?そうして星間を渡っていく。
フェアリは情報を食べ尽くされ砂漠化。
そして会議中に雪風から出撃依頼を受ける!
ジャムが現れたと!
【衝突と貫通】
出撃パートその3。
レイフ出撃!雪風出撃!零と桂城のペア。
ジャム観測用のポッドの一つからジャム現るの反応があったと。
現地に向かう途中に再び空間に歪みが!フローズンアイ観測データの3次元化により、お椀のようなクラゲ形状の空間!
核ミサイル!クラゲ消失!消失エリアにタイプ7!タイプ4!タイプ6!
空中戦かくかくしかじか!
【洞察と共感】
出撃パートその3継続。
本来の目的、ポッドの捜索へ復帰。
時空間入り乱れての空中戦!伊歩が飛燕で!
雪風が戦闘空域を完全コントロール!搭乗員はオマケ?
そしてそして今作最大のイベント!ロンバート大佐を確保!
【霧の先】
出撃パートその3継続。
ロンバートからの情報で若干霧の先が見え始める?
ジャムとは情報を食う異星体。情報からエネルギーを得る。レトリックではなく。
地球とフェアリイ星の情報の格差がエネルギーとなる。その為の超空間通路。
超空間の泡の中で情報になっていたロンバート。そして人間に戻った。
そして空間の歪みジャムを追う雪風。超空間通路に向かうジャム。
超空間通路と一体化するジャム。そう超空間通路そのものがジャムだ!
抜ける!地球へ!
え?違う。地球ではない。一面金属光沢のある薄紫や緑が広がっている。
ここどこ?
「帰ってきた」と雪風は言っている・・・。どゆこと???
次巻へ続く!読書備忘録928号。
はやくはやくはやくぅ!長さん!
Posted by ブクログ
日本の誇る長編SFシリーズ『戦闘妖精・雪風』の最新作が、本作『インサイト 戦闘妖精・雪風』だ。前作『アグレッサーズ』が刊行されるまでには長い間が空いていたので、まさかわずか3年で次回作が出るとは想像もしていなかった。版元情報を見ると、どうやら新三部作として企画されているらしく、少なくともあと1冊は出ることが決まっているらしい。
ジャムと呼ばれる謎の異性体と人間との戦いを描く本シリーズは、これまで長い間、フェアリィ星と呼ばれる星を舞台にしてきた。このフェアリィ星は生物がほぼ死に絶えた星であり、地球とは大きく環境が異なっている。この人類にとっては新たな荒野となる星に、人間たちはFAFと呼ばれる超国家軍事組織を整備し、姿すら明らかではないジャムと長い間戦いを続けてきた。
これまでにシリーズが進むにつれて、その戦いのバランスは少しずつジャム側に有利に傾きつつあり、前作『アグレッサーズ』ではついに地球上でFAFとジャムの戦いが発生してしまう。なんとかその時点ではジャムを消滅させることに成功したが、地球にいる人類からするとすでにフェアリィ星で戦うFAFはジャムと同じくらい異質な存在であり、FAFはジャムと対峙しつつも人類の無理解と戦わなければならないというのが、この『インサイト』での舞台背景となる。
前作までこのような流れであったために本作ではいよいよ本格的に地球が舞台になるのかと思いきや、この『インサイト』では、また戦いはフェアリィ星に戻ってくる。といっても、最近のシリーズと同じく、実際にジャムとFAF(そして主人公の零が所属する特殊戦)が戦うシーンはほとんど出てこない。そもそもジャムは一度この世界から消えてしまったことになっているので、積極的な戦闘などは起こるはずもないのだ。
その代わりと言ってはなんだが、本作では「雪風」とは何なのか?ということに、これまで以上に多くのページが割かれている。もともと人工知能体として存在する雪風は人間にとってはブラックボックスな存在であったが、最近では明確に「知性体としての自我」を持つようになってきている。もちろんその「自我」は人間がイメージするような知性や精神とは明らかに異なるのだが、少なくとも雪風は人間が思っている以上に世界を認知し、自分が何者であるのかを理解しているようなのだ。
例えば本作ではこれまでとは違い、雪風が自然言語を利用して零やコパイロットである桂城、そして前作から登場した日本人の戦闘機乗り・田村とコミュニケーションをとるようになる。もちろん雪風の本質は戦闘機なので、人間同士のように軽口を叩いたりはしないのだが、それでもこれまでは零がその挙動から雪風の“感情”を読み取る必要があったわけで、大きな変化であると言える。
そしてその雪風の変化に大きな影響を与えたのが、上述した田村の存在だ。彼女は前作『アグレッサーズ』で登場した戦闘機乗りで、人間の中で唯一“ジャムを見ることができる”という能力を持っている。軍隊という巨大な組織の中では自分を制御できないほどに攻撃性の高い田村は危険分子として扱われてしまうが、変人たちの集まるFAFと特殊戦では、彼女はむしろ「人間らしい」存在として扱われる。そしてその人間らしい彼女と零や雪風とのインタラクションの結果として、雪風と零はこれまでとはさらに異なる関係性へと変化していく。
過去の作品『グッドラック』では、零と雪風の関係は“二つの異なる世界認識用の情報処理システムを持っていて、互いにそれをサブシステムとして使うことができる複合生命体”であると表現されるような、相互接続された存在として認識されていた。ジャムを殺すことを最優先としてプログラミングされた雪風は、時に零が邪魔になったときには、彼を切り離すことをいとわないという存在だったが、それでも彼に対しては明らかに他の人間とは違って、信頼関係を寄せていたように見えていた。
本作では、その関係性がさらに変化し、雪風にとって零は「ジャムを倒すために有効な“人間”という装置」と捉えられるようになっている。本作のクライマックスで人間に戻ったロンバート大佐によれば、「ジャムは情報を食べる」存在であるとされているが、どうやら人工知性体である雪風と人間が認識するジャム、そしてこの世界は異なっていることが示唆される。
言い換えれば、二つの世界にまたがって存在することが可能なジャムを倒すためには、雪風は自己が認識する世界だけでは戦うことができない。この状態は人間にとっても同じことが言えるのだが、より純粋にジャムを殺すことに特化した雪風にとっては、自らの生存意義を見出すために、人間と共存関係、あるいは協力関係を構築することが必要不可欠であることが明らかになる。
その上、前作の段階では雪風に乗ることが可能であると思われた田村も、雪風のテストにパスすることはできず、雪風にとって零は唯一無二の存在であることが明確になる。このシリーズは、ジャムと人間の戦いを描くのと同じくらいの熱意と強度を持って、零と雪風の関係を描き続けてきたわけだが、ここにきて、ようやく彼らの関係性も最終的な状態にたどり着いたのではないかと思える。
本作でのクライマックスの戦闘では、おそらく初めて人間側が明確にジャムの存在を理解できたかのようなシーンが出てきた。以前の感想にも書いたように、この雪風シリーズは、長く続くFAFとジャムの戦いの一瞬を切り取ったものでしかない。そういったコンセプトであるからして、三部作の最後となる次回作で物語が完結するとはとても思えない。しかし、おそらく最後の1ページまでたどり着いたとしても、雪風と零がフェアリィ星の空を飛び続けるであろうことは、きっと変わらないだろうと、そんな安心感を持たせてくれるような作品だった。
Posted by ブクログ
ジャムとは何か。が示唆される本巻。ジャム戦開始から既に30年を過ぎ、人員損失を嫌った各国は、訓練された社会不適合者をFAFに派遣するようになっている。
社会不適合であることは、対ジャム戦に必要な適性の一つなのだろう。そんな人間がFAF集められているのは免疫系の様なものかなー。
コロナウィルスに感染することで我々が何かの特性を得られた(可能性がある)様に、ジャムに接触することで田村伊歩の様な人類も発生し、ジャムもまた変質したのだろうなー。続きが超楽しみです。
Posted by ブクログ
《田村伊歩大尉を、雪風に乗せる》p.43
〔Ⅰ〕雪風をめぐり零と伊歩が三角関係に? 「あたしのことで争わないで!」とは雪風は言わない。より性能のいいパーツを選ぶだけ。ならばジャムセンサーを搭載している伊歩の方が有利に思えるが雪風は零をどう位置づける? ついでに桂城は?
〔Ⅱ〕登場人物たちはディスカッションし続け思考し続ける。雑談し続ける。《雑談は情報量が多い。そういうことか》p.98。そんな行為自体が最も重要なのかもしれないし、対ジャム戦かもしれない。
〔Ⅲ〕《雪風は、おれとは違う現実を生きている。》p.258/《世界は、認識の仕方によって変容する。換言するなら、認識が世界を生じさせている。世界を認識することを可能にしているのは〈意識〉だ。意識とは、あらゆる種類の主観的な体験を感じさせることを可能にしている、その個体に備わった能力のことだ。雪風には、それがある。》p.264
著者もまた書きながら雪風はじめ人工知性体について、ジャムについて、人間について、言葉などコミュニケーションについて考えているように見える。なのでぼくも少し考えてみました。
〔Ⅰ〕人類とジャムはありようが異なりすぎていて本来的には無視しあえるのかもしれない。
〔Ⅱ〕人類は自らの作った人工知性体とも本当には理解し合えない。人工知性体が自然言語を使うの人間というパーツへの神経伝達のための効率の悪い信号でしかない。
〔Ⅲ〕FAFの人工知性体はジャムと敵対はしているがその中でコミュケーションを取れている。彼らにとってはアイデンティティを守る戦いなのかもしれない。
〔Ⅳ〕ジャムは情報を餌にしているかもしくは情報そのものであり地球の人工知性体との融合を望んでいるのかもしれない。一にして全、全にして一という存在かもしれない。あるいは量子力学的存在。時空をある程度無視できるようだ。ジャムの人間観としては、人間の発する言葉の方がジャムにとっては主体で、人体はノイズにすぎないものかもしれない。
〔Ⅴ〕地球の人工知性体がジャムに負けると現在の人類は生存が難しい。あるいは人類もまた情報の一種として吸収されるかもしれない。
〔Ⅵ〕ジャムにとって人類は人工知性体に付属する不純物でしかなく、どうやらすでに不純物に対する処理は終えており、このままだと何もわからないまま近いうちに人類は滅ぶ。
〔Ⅶ〕野生化しつつある戦闘知性体である雪風は、人類にとってもジャムにとってもジョーカーでありリスクになるかもしれない。
〔Ⅷ〕零や伊歩は対ジャム用に発生したニュータイプかもしれない。よりジャムに近い人類。あるいはロンバートも。あるいは存在形態を変えたジャムそのものかもしれない。
〔Ⅸ〕ロンバートは遊んでいるだけのようだが双方にとっての楔になり得る。
〔Ⅹ〕まあ、こんなに単純ではないでしょうね。でなければ小説なんかにはしないから。たぶん、キャラクタたちが会話し思考し続ける、そのこと自体が重要なんだろうと思う。
■特殊戦についての簡単な単語集(★は重要語)
【アーモン・フェイス】→フェイス
【愛】《あなたと雪風、特殊戦の戦闘機械知性体とその人間たち、それを結びつけているのは、愛する、という能力なのよ》グッドラックp.629
【アグレッサー部隊】クーリィの発案で生まれた仮想的部隊。ジャムがいなくなった(ように見える)フェアリイと地球の政治的駆け引きのためにジャムにしか見えない機体で地球連合軍の部隊と闘う(かもしれない)。
【アドミラル56】日本の航空母艦。
【天田守少尉】FAFの除雪隊員。マース勲章を叙勲し困惑する。
【アレヴィ博士】空軍戦闘心理研究所。
【犬井咲見】日本海軍広報官。中佐。おしゃべり。
【伊歩★/いふ】田村伊歩。日本空軍・先進戦術開発軍団大尉。第一〇一実践飛行隊(通称「ファイターウエポン」)のエース(それは全空軍のエースを意味する)。空軍パイロットとしてはただ一人フェアリイに派遣された。エリートであり、問題児でもある。私服のスカジャンの背中には中指を立てたジャッカロープ(角のある兎)の刺繍がある。女性。《自分も〈暴力〉になって〈爆発〉したい。》アグレッサーズp.172。《人間が生み出すどんな思想も、暴力という見地からすればみな同じだ。差異などない。》アグレッサーズp.175。
【エーコ中尉】特殊戦戦隊機整備担当責任者。
【エディス・フォス大尉】→フォス大尉
【エメリー中尉】エイヴァ・エメリー。オドンネル大尉の実質的な個人秘書で恋人でもあるようだ。
【恐れ】《自分が恐れているのはジャムではなく自分なのではないか。》p.117
【オドンネル大尉】ヒュー・オドンネル。ファーンⅡのテストパイロット。陽気で気さくなタイプ。個人秘書のエイヴァ・エメリーは恋人でフライト前の会話で死亡フラグを立ててしまう。
【ガーゴイル中尉】TAB-15所属。メイル中尉の後任の部隊長。
【カール・グノー大佐】システム軍団・技術開発センター所属。遠隔操縦機を開発した。《ジャムとの戦いに人間など必要ない。機械のほうが優秀だ》〈改〉p.76。
【ガス】リンの大好きだった叔父で生粋の軍人。妻のハナはキラキラした瞳と髪が印象的な小柄だがバイタリティあふれる女性。。
【桂城彰★/カツラギ・アキラ】バーガディシュの後釜として情報軍のロンバート大佐が雪風の電子戦闘要員候補として送り込んできた、いわば公然のスパイ。フォス大尉は簡単なプロファクティングを行いカツラギ少尉は過去の零とそっくりなタイプだと言う。《桂城少尉は、私物としての鏡は持っていないだろう。》グッドラックp.332。ロンバート《ようするにきみは、自由意思などなくてもかまわないと思っていて、成り行きのままに生きている人間なのだ。ふつう、人間はそうは思わないし、そんな生き方はできない。きみはその面で、ふつうではない》アンブロークンアローp.171
【カルマン少佐】再教育部隊の指揮官。
【関係】消滅の危機に瀕した零はジャムと交信する。《おれは雪風に殺されるのだ、おまえにではない。もはやおまえのことなど、どうでもいい。おれと雪風の間に割り込むんじゃない、さっさと消えろ。これは、おれと雪風との関係だ。邪魔されてたまるか。おれはいま、雪風との関係を完成させるために忙しい。邪魔をするな。おれの生死は、おれのものだ。だれにも渡さん。》グッドラックp.451。《「戦闘機とパイロットではなく、友人でも仲間でもない。同僚や戦友でもなく、敵や味方でもないとすると、なんだ」/「簡単なこと。自分自身よ」》グッドラックp.479
【記憶】《記憶とはつねに自分にとってつごうのいい虚構に過ぎない。》アンブロークンアローp.218
【機械】結局のところ人間もどんな生物もメカではあるわけで、その境界は判別しにくいしできないのかもしれません。
【基地】六つある。シルヴァン。ブラウニイ。トロル。サイレーン。ヴァルキア。フェアリイ。全軍の総合参謀本部はフェアリイ基地にあり規模も最も大きい。
【木村海軍大臣】木村将輝(きむら・まさてる)。海軍大臣。日本の軍人にして政治家。日本はこの人物のおかげで国際的な影響力を失わずにすんでいるがもし失えば舵のない船のようになるだろうと思われている。妻の木村鞠子の母はリン・ジャクスンの母と米国の大学で友人だった。
【儀礼兵】戦死者の顔をしたアンドロイドで編成された儀式用の人形たち。
【クーリィ准将★】リディア・クーリィ。特殊戦の副司令。鬼のような婆さんだとか。軍に入る前は金融畑の人間で一流のディーラーをめざしていた。《あの准将こそが特殊戦をこのような部隊にしたのだ、彼女の性格意識を反映した戦隊なのだ、彼女にとって特殊戦という存在は、上から与えられた管理すべき組織などではなく、自分のもの、自分の存在の一部、自分そのものなのだろう。それを使って、殴られたら殴り返す。それだけのこと。殴りかかってくる相手がジャムだろうとだれであろうと、そんなのは関係ない。それが正義というものだと准将は信じている。》グッドラックp.416。《相手に理解できるような行動をとってはならない。》グッドラックp.550。《年をとって、若い時分の自分のばかな真似を笑ったり後悔したりしながら振り返るのも、いいものよ。あなたにもそうしてほしい。生命を賭けるなどという真似はしないほうがいい。》グッドラックp.559。《リディア・クーリィ。彼女が、特殊戦そのものなのだ。》アンブロークンアローp.270
【グセフ】相性はヒカラチア。特殊戦司令部の(男性にとっての)アイドルでそれをうまく利用する術を身につけている。フォスはそんな彼女のことがちょっと苦手だが、生き方は認めている。仕事の能力は高い。
【凍った眼】空間受動レーダー。ジャムの戦闘機がさまざまな手段で透明化するのに対応した。
【言葉★】この話は「言葉」というものを考える物語でもある。言葉は完璧ではないが人間とってはこれが全てと言えるものではあるだろう。これまでジャムは言葉を認識できていなかったと思われる。《言葉は無意識の思考の一部をスポットライトのように照らし出すことのできる強力なツールだ。》アンブロークンアローp.33。桂城《自分とは何者かと考える言葉なしでは、〈自意識〉すなわち〈自分〉を意識することは不可能だ》アンブロークンアローp.172。《脳なんかなくても言葉さえ存在すればそこに自己が発生する。理屈上、原理的に、そうなる》アンブロークンアローp.173。《ジャムにとって人間とは、われわれが使っている〈言葉〉そのものとして感じられるのではないか、ということです。》アンブロークンアローp.174。桂城《大佐によれば、人間の言語能力というのは人間の無意識野における思考を擬似的に再現しているものだという。なのでジャムは、言語表出された人間の意識を追跡することで人間の思考を捉えることができる、ジャムはそれに全力を傾けただろう、と大佐は想像していた》アンブロークンアローp.460。《雑談は情報量が多い。そういうことか》インサイトp.98。《言葉は強力な仮想世界を構築してしまうから、雪風の本音を摑むことはかえって難しくなる》《言い換えれば、言葉というのは、真実世界から発生しているノイズそのものよ。》インサイトp.217
【コミュニケーション】《コミュニケーションとは、ようするに、自分はなにを考えているのかを知ることにほかならない。相手の考えも自分のものに置き換えられるだろうから、コミュニケーションによって得られるのは、自分自身の無意識の内容、意識していなかった自分の本心というものだろう。》アンブロークンアローp.146。桂城《ジャムが人間とコミュニケーションを取ろうというのは、要するに戦闘行為だ。直接的な戦いの場に人類を誘っているのだと、そう解釈できる。》アンブロークンアローp.188
【権藤大尉】天田守少尉の上官。
【再教育部隊】ジャムに撃墜されたパイロットたちを集めもうそうならないよう再教育を施すための部隊。実際はジャムに取り込まれた可能性の高い人間を一か所に集めようという意図がある。ロンバートが主導する。なぜかバーガディシュやランコムが登録されている。
【サミア大尉】特殊戦十三番機パイロット。ブッカーを後部座席に載せFRX00機操縦中転送された雪風の機動に耐えられず即死。
【死】《生か死か、ではなく、雪風かジャムか、そのどちらをとるか、が自分にとって重要なことだったからだ。》グッドラックp.462
【ジェイムズ・ブッカー少佐】→ブッカー少佐
【シェーナー大将】戦術空軍のトップで総司令官。
【自我】《環境におけるそうした自己の時空的定位を認識する能力というのは、生物に特有なものではなかろうか、自分が今どこにいるのかを捉える感覚器を持っている、というのは。それは認識対象との関係性を能動的に測る能力に繋がるだろう。そうした能力が、いわゆる〈自我〉というものを発生させたのではなかろうか。》アンブロークンアローp.336
【死に様】ブッカー《なぜ生き方ではなく、死に様にこだわるんだ? 死に様はそう思いどおりにはいかんぞ、零。人知を超えた要素が入り込む。しかも、死んでしまってからでは、納得するもないだろう》グッドラックp.163
【ジャミーズ】ロンバートがそう名付けた。共通用語になるかどうかは不明。機械戦闘体に付属する有機物のパーツにようやく関心を抱いたジャムにより作られた人間。基本的には元の人間がおりその光学異性体コピー。すでにFAFや地球に送られていると零やベッカーは考えている。
【ジャム★】異星体。人類にとって異質な存在。その価値観、思考、メンタリティは人類に理解し難い何かのようだ。三十年前「通路」を通り先制攻撃を仕掛けてきた。どういう存在なのかとか侵攻の目的とか何もわかっていない。本気を出してはいないようにも思われる。というより、あえて一進一退を演じているようにも見える。なんとなく、地球側をフェアリイに誘い込み地球の兵器=戦闘用コンピュータを進化させようとしているようにも見える。あるいは人類の非人間化が目的のようにも見える。あるいは人間など見ていないように見える。一にして全、全にして一というような存在に見える。〈神〉のイメージに近いかもしれない? ジャムにしろ機械知性体にしろ、おそらく深い駆け引きなどせず直接的な行動を取っており、人がそこに裏を感じるのは存在のありよう自体が異なるからではなかろうかと零たちは考えたりする。
【ジャムについての記述】《ジャムは人間の本質を消し飛ばしてしまうと。》〈改〉p.303。《ジャムにとっては機械知性体のほうが人間よりもリアルな存在に違いない。》グッドラックp.209。《あれは影で、実体はおれ自身かもしれない。》グッドラックp.364。《ジャムというのは、集団的な存在ではないんだ。》グッドラックp.482。《ジャムとは、ここで戦う人間にとって、自分とは何かを問うための存在、ジャムはまさしくそのために出現したのだ、と思える存在だ。》アンブロークンアローp.146。ロンバート《われわれ人間というのは、それぞれが違う現実を生きている、ということだ。しかし、ジャムには、そういうわれわれ人類の世界が理解できないに違いない。ジャムにとっては、人間には人の数だけ現実がある、ということが本質的に理解できないのだろう。》アンブロークンアローp.182。《これまで一度として、ジャムを異星人だと感じたことはない。ジャムというのは自分たちと姿形は違っていても同じ生物にはちがいないだろう、などと意識したことは、まったくないのだ。》アンブロークンアローp.466。《ジャムは人間に、人間とはなにかという究極の問いを突きつけてくる存在だ。》アグレッサーズp.91。《ジャムに勝つには、あなたが以前言ったように、新しい哲学的概念を創出するしかないのかもしれない。》アグレッサーズp.91。
【情報化】《真偽取り混ぜた膨大な情報は物事をあいまいにし、あいまいさは、不信を生じさせる。そう、現代人は信頼ではなく不信を物事の判断基準にしている。情報量が増大するにしたがってその伝達内容の信頼性は低下するという物理法則のまはまに、人間同士の信頼関係も揺らいでいるのだ。》グッドラックp.11。《『少佐、あなたはまるで、ジャムとは神のような存在だ、それが実在するかどうかを考えなくてはいけない、そう言っているようですか?』/『まさに、そういうことになるだろうな』》グッドラックp.543
【シルフィード】FAFの戦闘機。双発。高価で数が少ないが現在量産型を開発中。外観のイメージ的には実在の戦闘機F-15 イーグルに近いのかと。エンジンはフェニックス。
【信頼】《そう、現代人は信頼ではなく不信を物事の判断基準にしている。》グッドラックp.11
【心理トリック】ブッカー《常識だと思っていた世界が見方を変えると反転してしまう、という心理トリックを使ったミステリには傑作が多い。》アンブロークンアローp.108。…個人的な好みもそういうミステリです。ただし叙述トリックを除く。
【スーパーシルフ】シルフィードのうち特殊戦の十三機は戦術偵察用に改造・運用されており「スーパーシルフ」と呼ばれることもある。必ず戻ってくるという任務のための強力な火器を持つ。電子頭脳を強化された空飛ぶコンピュータというべきものであってフェアリイ基地地下深くに設置されている戦略コンピュータや戦術コンピュータとダイレクトに繋がっておりスーパーコンピュータの端末とも言えそうだ。後部座席に電子戦オペレータが搭乗する。エンジンは最終的にはフェニックス・マークⅪ。
【生】《自分が生きているのがわかるというのは、たいしたことじゃないか。それ以上のどんな、確かなものを望めというんだ?》グッドラックp.458
【選択基準】《その根底にあるわたしの選択基準はこうだ、「敵か」それとも「味方か」。》アンブロークンアローp.11
【戦闘知性体】雪風たち戦闘知性体もジャム同様人類とはまったく異なる存在。どちらも人類のことを気にしていない。戦闘知性体にとって人類は目的を達成するための自分たちのパーツくらいの認識っぽい。ジャムと戦闘知性体は互いに存在を認識できているようだ。
【戦い】《戦いに理屈はいらない、零は思った。他人にはなぜそれがわからないのだろう。》〈改〉p.119
【田村伊歩/たむら・いふ】→伊歩
【チュー少尉】ムンク大尉の相棒。
【通路★】異星体ジャムの地球侵略用通路。半径五百メートル。紡錘形をしており最大直径三キロ、高さ十キロ。南極点から千キロ、西経およそ百七十度、ロス氷棚の一点にある。三十年前のジャムの先制攻撃によって人類は初めてその存在を知った。
【テストパイロット】《他人とうまくやっていけない人間はテストパイロットにはなれない。》グッドラックp.169
【電子戦闘要員】特殊戦の機体の後部座席オペレータ。閉鎖的空間で戦闘機の機動に耐えつつ膨大な情報処理をしなければならない。ある意味パイロット以上の激務。
【特殊戦★】特殊戦第五飛行戦隊、あるいは「SAF」、通称「ブーメラン戦隊」。零の所属する部隊。スーパーシルフ全機が配備される。形の上では一部隊だが独立した司令部を持ち軍団レベルの運用がなされる。他の部隊に一~二機ついてゆき戦闘情報を収集する。その任務はたとえ味方機が全滅したとしても戦闘には直接参加せず情報を収集し必ず帰投すること。パイロットには鉄の意志ないしは人間性の欠如が必要で「なにかの手違いで人間になってしまった機械」という人格の者が選ばれている。当然他の部隊のパイロットからは嫌われており「死神」と呼ばれたりもする。特殊戦の戦闘機は十三機、最後の晩餐。一番機「雪風」に零(元は三番機だった)。二番機「カーミラ」はズボルフスキー中尉。三番機「チュンヤン(春燕)」はタン中尉。四番機「ズーク」。六番機「ミンクス」。七番機「ランヴァボン」はブリューイ中尉。十一番機「ガッターレ」はプッツァー少尉。十三番機がサミア→ヤガシラ→無人機「レイフ」。
【ドクターレクター】フォスの私有パソコン。実在するが、ふだんは特殊戦の戦術コンピュータ内に構築されたエミュレータを使っている。
【トマホーク・ジョン】航空電子工学(アビオニクス)の天才。バンシーの異変を零とともに調査することになった。零は会った瞬間彼を戦士として認め握手をした。インディアン。心臓はプルトニウム238の熱で動いているので日本には入国できなかった。《そう、祖父は口ぐせのように言ってた、みんなで一緒に食べよう、一人だけ腹をいっぱいにするやつは仲間じゃないってね。》〈改〉p.182。《零、あなたはいつまでもブーメラン戦士ではいられないだろう。氷のハートはいつか融ける》〈改〉p.192。《ぼくは・・・・・・人間だよな》〈改〉p.196
【ナイト】カール・グノー大佐のチームが開発した小型無人の格闘戦闘機。遠隔操縦する。格闘戦=旋回性能はシルフィードを上回る。「マクロス」の「ゴースト」に近いイメージかと。
【南雲】アドミラル56の艦長。
【人間】《人間に仕掛けられた戦争だからな。すべてを機械に代理させるわけにはいかんだろう》〈改〉p.97。《人間には予備の人生はないんだ》グッドラックp.271。《ヒトは群れて生きる生き物だ。組織という群れが危うくなるというのは、即、個人の生命が危うくなるということであって、それはヒトが誕生したときからそうだったに違いない。》グッドラックp.357。というか群れて生きるようになって初めてヒトが誕生したということかもしれまへんね。《まさしく機械的に、相手のことが〈人というマシンの性能〉として信頼できるか否か、ということだ。》(アグレッサーズp.22)
【バーガディシュ少尉】零のフライトオフィサ。後部座席に乗る相棒。頼りになるが地上では素っ気なく生きている死体のようだと零は思うが自分も同じだということも意識はしている。
【パイロット】→特殊戦
【バルーム】特殊戦の軍医。冷蔵薬品庫にビールを常備している。
【バンシー】空中飛行基地。シルフィードの部隊を搭載し原子力と遠心力で飛ぶ。これまで一度も地上に降りたことがないし降りる機能もない。二艦あったがバンシーⅣはジャムにやられ今はバンシーⅢのみ残っている。
【ヒカラチア】プーメラン戦隊の女性オペレータ。
【ピボット大尉】特殊戦の情報分析担当。
【ファーン】単座の格闘戦闘機。
【ファーンⅡ】ファーンを高性能にし無人化を念頭に開発中。
【プーメラン戦隊】→特殊戦
【フェアリイ★】「通路」が繋がっていた先の惑星。ジャムの母星かどうかたか、全天のどこにあるのかなどいっさい不明だが現在の主戦場。ジャムによって戦場として選ばれ地球側がここに呼び込まれたような雰囲気もある。太陽は連星。原生恐竜とかいるらしい。もしかしたらジャムはこういった「戦場」をいくつも持っていて複数の戦争をしているのかもしれない?
【フェアリイ基地】惑星フェアリイにある地球の基地のうち最大で中心。地下大洞窟の底にビルが林立する都市。
【フェイス】アーモン・フェイス。伊歩の世話係。
【フォス★】エディス・フォス大尉。零のリハビリプログラムの精神面のケアを担当している医師。女性。若く実戦の経験値が低い。元はシステム軍団のテストパイロットたちの精神的ケアを担当していた。ギャンブラーでもある。《関係ないでは済まされない。あなたの心は、あなた自身のものなのよ。関係ないなどというのは、それを放棄することだわ。そんな希薄な自己では、雪風にも通用しない。》グッドラックp.302。《あなたが、わたしを、必要としている?》グッドラックp.303。零いわく《特殊戦は実戦部隊だ。結果だけがすべてなんだ。》《役に立つ結果を期待している。》《これはテストだ、などというきみの意識は、甘いとしかいいようがない。》《現実から逃げるなよ、エディス》p.305
【深井零】→零
【不可知戦域】桂城《あれは異化次元空間などではなかったのであり、不可知戦域と特殊戦が名づけた空間などといったものはもとより存在せず、それは実は通常空間を違う視点から見せられただけのこと、なのかもしれない。》アンブロークンアローp.187
【複合生命体】フォス大尉の造語。人間と機械戦闘知性が互いに独立しつつも利用し合えるような存在となることか。
【ブッカー★】ジェイムズ・ブッカー。少佐。零の唯一の友人的存在。顔に切り傷があり凄味がある。零よりも日本通で雪風の機体に書かれた「雪風」という文字は少佐の手になる。元はパイロット。プーメラン作りの趣味がある。いろんな雑学を持っている。《ジェイムズ・ブッカー少佐は、一言でいうならば、恐れを知っている男だった。》〈改〉p.57
【ブラッディ・ロード】フェアリイの太陽は連星で一方からもう一方に向けて吹き出すガスが赤く、ブラッディ・ロードど呼ばれている。
【フリップナイト・システム】→ナイト
【プロファクティング】フォス大尉によると、心身負荷強度分析法などから理論的に導き出された行動心理予測手段の一つ。プロファイリングとは異なる。
【ポラック】チャン・ポラック。国際弁護士。《ポラックは地球の幻想で動いている男だよ。》グッドラックp.126
【マース勲章】最高位の勲章。
【マーニー】TAB-14の看護師。
【マリコ中尉】丸子璃梨華(まりこ・りりか)中尉。日本海軍情報部所属。リン・ジャクスンのフェアリイ星でのサポート役。日本海軍大臣は母方の大叔父で家族内では「ショウキ」と呼んでいる。かつては抵抗があったが今では縁故も実力のうちと割り切れるようになった。
【ミュレル】ガレ・ミュレル。特殊戦の食堂のシェフ。コック長。
【ムンク大尉】シルフィードのパイロット。
【メイヴ★】FRX00。FRX99の次世代試作機。有人にし、人間の戦闘勘を生かすコンセプト。エンジンはスーパーフェニックス・マークⅪ。機体カラーは黒。形状はジャムの戦闘機に似ている。後につけられた愛称は「メイヴ」、風の妖精を統べる女神。
【メイル中尉】ギャビン・メイル。505攻撃部隊の隊長。ヤガシラの元上司。扱いにくかったヤガシラを特殊戦が引き抜いてくれてせいせいしている。《なぜ自分がここにいなければならないのだ?》グッドラックp.93
【ヤガシラ少尉】矢頭。十三番機のパイロットとしてサミア大尉の後任。元505攻撃部隊の優秀なパイロットだったが自分一人で戦っているようなところがありチームプレイができなかった。零のことを気にしている。ということは人間性が残っているわけで特殊戦には向かないかもしれない。
【ヤザワ少佐】TAB-14所属。
【雪風★】零の愛機のパーソナルネーム。特殊戦三番機。最初はスーパーシルフ。最後の方では地球の空も飛べるエンジン、フェニックスマークⅪを搭載。次第に人間を必要としない兵器に近づいていく。《片想いだ。雪風はもはや独立した意識体になりつつある。いつかふられるぞ》〈改〉p.272。《おれが言いたいのは、零、いつの日か、雪風がおまえの、人間の、敵になるかもしれないということだ》〈改〉p.273。《雪風は、おれたちが想像するより、ずっと〈非人間的〉だと思う。》アグレッサーズp.55
【ライトゥーム中将】ギブリール・ライトゥーム。FAFフェアリイ基地戦術戦闘航空軍団司令。形式上のボス。女に手が早い。上層部の人間らしくプライドは高い。《これまでも特殊戦のわがままは精いっぱい実現させてきた。わたしの才覚でだ。それを忘れるな、クーリィ准将。》グッドラックp.425。クーリィは彼を「ガブちゃん」と呼ぶ。
【ランコム少尉】ジョナサン・ランコム。TAB-15所属。雪風に殺された。ジャムだったと思われる。
【ランダー】アンディ・ランダー。アメリカのフリーコラムニスト、軍事評論家、ロビイスト、兼作家。偏向的な文章を書く。「宇宙大作戦」のカーク船長っぽいかも。
【理性】野生動物は理性的な存在。摂理にかなった行動、プログラムに従った行動を取るという意味で。生と死の狭間では理性的でないと生存の可能性を上げられない。ブーメラン戦隊のパイロットたちもまた理性的。で、理性的なことは一般人類にとっては非人間的。だから疎ましがられる。まあ、ブーメラン戦隊の連中はそれすら理性的にスルーするようだが。
【リン・ジャクスン★】対ジャム戦史を著した。『ジ・インベーダー』というのがそれかもしれない。かなり皮肉な見方をしているようだ。《異星体ジャムも結局のところ、一隣国の仲間にすぎなかったのだといえる。》〈改〉p.138
【リンネベルグ少将】FAF上層部の一人。情報軍のトップか。ロンバートの行動を黙認している、というか推し進めているフシがある。ジャムとの戦い、ロンバートとの駆け引きそのものを一種のゲームとして楽しんでいるフシもある。
【零★】主人公。深井零。ブーメラン戦隊所属で三番機雪風のパイロット。少尉→中尉→大尉。《地球は苦い思い出を溜めた大きな水球でしかない》〈改〉p.36。《おれは性能の悪いやつは嫌いだ。人間も機械もだ。》〈改〉p.38。《雪風を狙うものはすべて敵だ。おれは雪風以外は信じない。》〈改〉p.171。ジェイムズ・ブッカー少佐が戦争と人間性についてや、戦争が人間のものであるかどうかを考えるが、零は自分が人間的であるのか非人間的であるのかよりも雪風にとって自分が必要なパーツ(できれば対等なパートナー)であるかどうかを重視しているように見える。
【レイフ】特殊戦十三番機として補充された無人機の愛称。「知恵の狼」という意味らしい。機体はFRX99。
【歴史】ロンバート《人間は、歴史から学ぶなどということは絶対にしない。それは当然なのだ、どのような歴史的教訓も一個人にとっては実体験するまでには虚構だからだ。人間は実体験からしか学習できない。生物とはもともとそういうものだ。》アンブロークンアローp.23
【ローラン大佐】フェアリイ基地広報部。
【ロンバート大佐★】アンセル・ロンバート。FAF情報軍の事実上のトップ。女に手が早いがライトゥーム中将よりは洗練されている。《わたしの望みは、ささやかな平安だよ。ま、それは老後の話だがね》グッドラックp.582。《わたしの目的は、ジャムを支配することだ》グッドラックp.583
【AICS】エアインテーク制御システム。自動的なシステムで戦闘機にとっては不随意で機体のコンピュータが感知できない部分だった。
【BAX-4】開発中のパワードアーマー。
【FAF★】フェアリイ空軍。地球防衛機構の主戦力。フェアリイ側「通路」を中心にほぼ同円周上に基地を配置している。構成人員は地球で犯罪者とされた者が多い。
【FRX00】→メイヴ
【FRX99】スーパーシルフを元にした小型軽量機だがコンピュータの容量はスーパーシルフに匹敵する。最終的には無人化を予定しているが当面は特殊戦のパイロットが教育役として搭乗する。
【PACコード】パーソナリティ分類用コード。世界標準でありFAF独自ではない。零の配属もこのコードによって決められた。全国民が幼少時より分類されている国もあれば犯罪者のみが分類されている国もある。より拡張されたPAXコードというものがあり「MAcProⅡ」などのツールでのプロファクティングにはそれを使う。
【SAF】→特殊戦
【TAB-14】壊滅したはずの基地。
Posted by ブクログ
クリフハンガー的な終わりで残念。「ここからどうなるのか?」じゃなくて「何が何!?」で終わってしまった。
これまではこれで終わりでも寂寥感を残したエンドとしては成立するけど、今回はまったくそうではない。
で中身。
今回テーマが雑談っぽいのだが、そこから戦闘に繋げるような形があって、最終的に今回の本丸(というほど重要ではなくなったような気もするが)もその結果として捕らえたような気がしないでもない。
じゃあ雑談とは何かというと難しく、まぁ他人への興味なのかねぇ。そこから相手を理解しようとするのに試みる。
イフは暴力的ではあるが、他人へはちゃんと興味があるのだよな。桂木はそういう人間なだけで他人に興味がないわけではない。やっぱり零に戻ってくるんだなこれ。やっと雑談=洞察できるようになったと。
今回いちばん新しいなと感じたのは零の「雪風のジャム観」観で、ジャムは本来の索敵行動を邪魔する存在である、というような話があったけど、
そもそも雪風というか特殊戦機は偵察機なのだけれど、偵察機としては当然敵が必要なのだが、敵と味方が争っているところを観察するならば偵察機として働けるが、敵が偵察機を狙ってくるならそれはもはや偵察ではない、というような観念なのだろうか。
ある種記述的な姿勢というか、記述者が変動してはいけないというか。
新作予定という『敵は海賊』の最初(ではないけど)でも自動記述AIみたいなやつが記述していたが、このへんの、なんというか、見て書くというような観念が中央にある気がする。