あらすじ
「被害に遭っても仕方ない人」なんて、いない。
山内マリコさん推薦!
「新時代のヒロインは女子を分断するシステムからも、理知的に脱却してみせるのだ!」
「着飾ってばかりの女子大生」が、性被害に遭った。
「おしゃれに興味のない理系女子」が考えた復讐方法とは。
名門大の理工学部に通う順子は、大学二年の春、高校の同級生で女子大に通う紗奈と再会する。高校生の時は「上」の人間だった紗奈と、「下」の人間だった順子は話したこともなかったが、不思議と二人の間には友情が芽生える。インカレサークルで「高学歴」男子と交流する紗奈が、ある日性被害に遭い――。
せめて私たちだけは、ずっとお互いの味方でいよう。
注目の作家が描く、ボーダー超越系友情小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
破滅みたいな終わり方じゃなくてよかった。
先が気になって気になってしかたがなかった一気に読んだ。
最近読んだこの作者さんのかごいっぱいに詰め込んでのほのぼのした感じはまったくなかった、どちらも面白くて新しい作品が出るのが楽しみ!
Posted by ブクログ
あらすじとかは見ずに読んだ。真下さんの作品はちょっと不穏なものが多い印象なんだけど、それは多分一番最初に読んだ作品のせい。
今作は理系大学に通う順子と女子大に通う紗奈の二人の物語。実は同じ高校出身の二人だが、可愛くて所謂一軍女子の紗奈とメイクもせずおしゃれに興味のない順子は同じクラスながら話したこともなかった。そんな二人が大学生になり、紗奈はインカレサークルで順子の通う大学にやってきて二人は知り合うようになる。最初はあまりに考えが違うし、同じ理系大学の男子学生がインカレサークルの女子は頭が悪いと話しており、順子もそれを鵜呑みにしていた。彼女がどんなことを学んで何を考えているかも知らずに。そんな折、紗奈がインカレサークルの先輩から性被害を受ける。順子は被害にあった紗奈を支えながら、お互いが第三者から仲良くならないように印象操作されていることを知る。紗奈と同様の被害を起こさないため、順子は復讐を始める。
と言っても復讐は過激なものではなく、順子にできる精一杯だと思うし、これで良い。何よりも第三者から勝手にこの子はこんな子だと印象を植え付けられるのはよくあることで、でもやっぱり自分で判断しなければわからないなと思った。順子と紗奈は一見正反対で仲良くなれなさそうだけど、そんなことはなかった。二人の関係性がすごく良かった。違うからこそ気づけることもきっとあるし、この二人の関係がずっと続いてほしいなと思った。
Posted by ブクログ
地方国立大学出身の身としては、この作品の大学生活はあまりイメージが湧かないのだが、男性から女性、女性から男性、男同士、女同士、それぞれの思考過程は想像でき、おぞましさも感じる。自分自身がその立場になっていたら、どう行動できたのか。そんなことも考えさせる作品である。
Posted by ブクログ
なんだか一気に読んじゃいました。結局、みんなお互いをバカにしあっってるというか。そんな中でも、一時的にも味方になってくれる存在がいたら助かるよね。
Posted by ブクログ
面白かった〜〜〜。
性被害にあっても泣き寝入りしてしまう人は、実際にも多いのではないかと思う。
辛くて悲しくても、誰にも相談できずにひとりで抱えてしまう人がいるのだろう。
「春はまた来る。生きていれば。」
事件が気持ちよく解決されたわけではないけど、
順子が言ってたこの言葉素敵。
順子さん、メイクしてお洒落して恋愛して!!!!!т т
Posted by ブクログ
名門大学の理工学部に通う地味な主人公の順子と、それとは対照的に、スクールカーストの上位にいておしゃれでもてるが勉強はあまりできない紗奈。同級生だった高校時代には交流がない2人だったが、大学で東京に出て再会し、友情を培う。そんな中、紗奈がインカレサークルの宅飲みで性被害に遭う。そういう筋書きの中で、2人の友情と連帯を描く。
(本人たちはそんなつもりはなくとも)女性を「モノ」扱いする男たち、その結果としての性暴力、そして性被害に遭った側の自責、周囲からの無理解・非難、苦悩といったことが、とてもリアリティを持って描かれており、身につまされるものがあった。自分は男だが、男が女性を容姿で品評したり、本書で出てくるようなインカレサークルの仕組みなんかに違和感を持ちつつ、傍観してきたような身なので、自分が本書に出てくるその他男子学生の立場だったら、何ができたかな、宮田くんほどの動きもできただろうかと自問した。
ただ、本書から、女性=性善、男性=性悪のような図式が見え隠れするのは、ちょっと気になった。男性が女性を意図的に「分断」しているというのは実感に合わなく、分断というのなら、女性も含め、相乗的にいろんな線引きで行われているのではないだろうか。また、W大理工学部の男子学生が一斉に順子を無視するという場面があるが、そんなに男子学生というだけで一枚岩になるものなのかという疑問がある。宮田くんという自身の行為を反省して順子たちに協力する男性も描かれてはいるが、男性も決して一枚岩ではなく、多様性があるということにもう少し目を向けてほしいという気がした。
Posted by ブクログ
ものすごく実話に近い。作者が早稲田大学卒のこともあるのかもしれないが、インカレサークルの実態がよく分かる。いわゆる飲みサーと言われるサークルの闇と性被害に遭った人が泣き寝入りしなければならない恐ろしさを強く感じた。終盤のシーンは少し無理があったような気がするが、とにかくサークルの話がリアルな話過ぎて怖かった。高学歴男子は女子大に対してこのような感情を抱いているのだろうか。本当なら怖いなと思った。
Posted by ブクログ
タイプの違う女子二人が事件をきっかけに手をつなぎ… 心情を解像度高く描いた青春小説 #春はまた来る
■あらすじ
東京の上位大学に通う理系女子の順子は、高校時代の同級生だった紗奈と出会う。順子は明るく華やかな紗奈を煙たく感じていたが、お互い女友達が少ない環境の中、少しずつ心を開いていく。ある日、紗奈がインカレサークルのイベントで乱暴されてしまう。紗奈は順子に助けを求めるのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
地方から上京してきた女性たちの友情と成長、そして性被害の醜さと恐ろしさを描いた青春&社会派小説。ストーリーとしてはシンプルながらも、登場人物ひとりひとりの心情を解像度高く描いた力強い物語でした。
まずなんといっても、まるでタイプの違う女子ふたりが読みどころ。
・勉強ばっかりで人との交流が苦手、女性としての身なりにも全く疎い順子
・勉強は二の次、元気で可愛くコミュニケーションをとるのが上手な紗奈
性格が真逆で合うわけない二人なんですが、紗奈の力技で少しずつ距離が近づいてくるです。
一見、紗奈は面倒くさい奴やなーって思うんですが、甘えるってことが彼女にとってのコミュニケーションの取り方なんです。計算高く近づいてくる奴なんかよりずっといい、素直で可愛いじゃないですか。
順子もちゃんと受け止めてあげるところが偉いよ。まぁ最初はイヤイヤなんだけど、突き放すのではなくて積み上げて考えてあげられるんです。優しさと頭脳があってこその、お人柄ですね。順子もいい奴なんです。
二人以外の登場人物もリアリティがあってよかったな~。宮田くんの優しさだったり、サークル内での人間関係に悩んでいるところなんて、すげーよく描けているわ。
私も若かりし頃、いつの間にか自身が望まない環境に身を置いていることがよくあったよ。なんとなく居心地が悪いんだけど、そこにいないと社会からはみ出しちゃいそうな恐怖感もあってさ。自分の居場所を確保するのって難しいんだよね、うんうん。
本作は総じてまだ二十歳そこそこの面々が頑張ってるところがいいんですよ。親世代の私としては読んでると泣けてきちゃう。
さて物語が中盤に入ると紗奈に事件が発生。物語の後半に入ってくると、さらに順子と紗奈の魅力が躍動することになる。特に推したいのは順子ですよ。友人のために自身がニシアチブをとって行動していくのです。彼女がこんなにも勇気にある行動をするなんて感涙ですよ…
そして勉強なんかに興味がなかった紗奈も、自身のつらい体験や友人との交流で成長。さらに大学での学ぶことによって、自身の価値をアップデートしていく。若い頃は少しくらいはみ出したり、人に迷惑かけてもいいんですよ、経験を繰り返してながら進化していけばいい。
真下みこと先生らしく、青春ど真ん中の人物像を美しくも華やかに描けていましたね。10~20代だけじゃなく、40~50代のみなさんにも読んで欲しい作品でした。
■ぜっさん推しポイント
かつては大学のサークル、最近では芸能界、おそらくこれまで様々な組織体で献上システムはあったんでしょう。前々から思っているんですが、後輩のような自身より下の立場の人に遊ぶ女性を世話してもらうなんて、恥ずかしくないんですかね。自分のシモの世話くらい後輩に頼らないでほしい、ダサすぎ。
そしてこんな青少年の物語を読むと、ノスタルジックな気分になるとともに、自分もこれからだと思わせてくれるんすよね。まだまだ素敵な出会いや人生を楽しみたい! 新しいことを始めたくなる一冊でした。
Posted by ブクログ
実際に起きた事件
東京大学誕生日研究会レイプ事件
をもとにしたのかな?
でもきっと、あまりにも酷くて表に出たのが
この事件なだけであって。
世の中の大学では、同じような被害はたくさん出ていると思う。
そして、本作でもあったように
被害者側が泣き寝入りすれば、事件は表沙汰にはならない。
それにしても
登場してくる人物が、みんなみんな気持ち悪い。
多田グループは勿論だけど、順子の周りの男子も
いい年してあっさり集団無視を行ったり。
紗奈の大学の女の子も無視をしたり。
状況を聞いたにも関わらず、同じ女という立場であるにも関わらず
ビッチ呼ばわりして、集団無視?うえーー、女ってこわいー。笑
全体的に胸糞悪い感じでした。
「春はまた来る」とは、比較的前向きに捉えられる言葉だと思うし
最後の方の紗奈は、明るく春を待っていたけれど。
中盤の"春"という言葉は、あまり明るい解釈はできませんでした。
春になれば、また新しいターゲットが入学してくる。
春になれば、また同じような飲み会が開催される。
「春がまた来る」
明るくも、重くも捉えられてしまう作品でした。
Posted by ブクログ
名門大の理工学部に通う順子は、おしゃれに興味もなく勉学に励んでいるが、女子大に通う紗奈はおしゃれに着飾りインカレサークルに入り遊んでいた。
同じ高校だったときは、「上」の人間だった紗奈と「下」の人間だった順子は、話をすることもなく真逆の世界で生きていた。
「高学歴の男子」と交流する紗奈が、ある日性被害に遭い…助けを求めたのは順子だった。
全く関わりのなかった二人がだったが、ひとつの事件により頼り、頼られるようになる。
被害に遭った側と何もしないことより声を挙げろという側に同じ立場でないと気持ちはわからず、結局はどうすることもできなくて。
ただひとりにはできない、ひとりにしたらだめだと気づくのも本気で心配しているからで。
必ずも思い通りの楽しい大学生活だけではないが、苦しさや悲しさや絶望も誰かがいるだけでなんとかなるのだと気づくことができた。