あらすじ
文章を書くコツは芸術的な名文を書くことではない。読みにくい「悪文」を書かないことである。では悪文はどのようにすれば防げるのか。本書は日本語文の構造的特徴を分析したうえで、書物・新聞・公的文書などから100を超える実例を取り上げ、「機能的な文章」へと洗練させる技法を紹介する。長文を避ける、結論を先に述べる、必要な主語を省略しない、接続詞を濫用しない、やさしい言葉を使う……。読み手に寄り添った明快な指針とわかりやすい図解で悪文克服への道を示す本書は、時代を超えて通用する文章技術書である。
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Posted by ブクログ
長い文章を書くのは難しい
同時に長い文章を短くするのも難しい
本の文章は校閲を潜り抜けているので、明らかな悪文はないと考えていたが結構あるのね
悪文収集やってみようかなと思った
Posted by ブクログ
100以上の悪文と、その修正文が掲載されている。この具体性が、何よりも有り難かった。作文の分野において、本田勝一氏の『日本語の作文技術』は古典的扱いだ。それに比べて実例が多く、本書の方がしっくりときた。いずれの書籍も、さらに読み込み、参考にしながら、作文をしていこうと思った。
Posted by ブクログ
最近書かれた本だと思って手に取りました。
ただ読んでみると、非常に重厚な内容で体系だった内容であり、読み応えがありました。
・・・あまり他人のレビューを悪く書きたくないのですが、
「体系だった内容が書かれてない」とか「どうやれば文がうまく書けるのか書かれてない」とか言ってる人はこの本読んでいないのでは・・・?と疑っています。
読んでいないなら仕方ないのですが、読んだうえで書いているのであれば、ショーペンハウアーが「多読は禁物」といった意味がよくわかりました。
いくら悪書をたくさん読んでも仕方ないですね。良書を選んで何度も読むほうが良いのだなとわかりました。ありがとうございます
Posted by ブクログ
「分かりやすい文章が上手く書けない!」とお悩みの方に強くオススメしたい!そのくらいとても機能的で実用的な一冊。
私のように行政に携わる者にとって、簡潔で分かりやすい文章の作成力は必須のスキルと言えましょう。
では、分かりやすい文章の書き方とは?それは、その文章が一つの意味でしか解釈できないように書くことです。
名文を書こうとするのではなく、悪文を書かないようにしよう、と言うのが本書の大きなテーマ。
本書の解説に「名文は芸術、悪文は技術」とあるように、悪文は技術で直せるものなのです。
著者は、文章論に工学の原理を応用しながら、悪文を中心とした例文(著名な作家の文章も!)に対する修正例を示し、テクニカルに機能的な文章の書き方を説いていきます。
長文を避ける、「が」の使い方、修飾語の正しい使い方、文章の切れ目の明示…などなど、すぐに使える技術が豊富なので嬉しい。
自分自身、少しボリューム多めのレポートを今まさに作成中であり、本書で示された技術が早速役に立った、と信じています。
Posted by ブクログ
「悪文を語る本に外れなし」と言われて久しいが、本書は特に「文の組み立て方」にフォーカスした一冊である。
著者の主張は、全て「一義的に解釈できる頑強な文を書く」という目的に収束している。日本語の性質を熟知する著者は、文章を枝状に分解し、各語の関係性を視覚化して機能的な文章か分析する。
一般的に、長文は悪文であると解されている。しかし、短文は必ずしも良文ではない。悪文としないためには、機能的な文章である必要がある。機能的な文章とは、明晰に分かる文章である。著者は、工学の理論を用いて悪文を機能的な文章とするアプローチを図っている。
機能的な文章には、①意味が取れる②曖昧でない③誤解されない④読み手に手間をかけない⑤読み手に対する親切心があるという5つの特徴がある。これらに対し、悪文は①主語と述語との対応の悪さ②修飾語と被修飾語の対応の悪さ③語の選択のまずさ④句読点の打ち方の不明瞭さ⑤文脈の混同⑥無用の表現⑦バランス悪さの7つの特徴がある。
本書には様々なchipsがあり、読む度に新たな発見があるだろう。今回、私は2つの発見を得た。
1つ目は「文章はひとりよがりになりやすい」ことである。このため、多くの人々が1晩文章を置いて、翌日改めて文章を見直している。この作業をしないと、自分が言いたかったことは違うのに文章がひとり歩きをはじめる恐れがある。著者は、「書いたものは、一度客観の底に落とし、読者の立場に立って、冷静に読み直すのがよい。表現力の欠如は、そういう努力でたいがいは補えるものである。言い換えれば、表現力の欠如の大部分は作者の怠慢による」と厳しい記載がある。よく言われることだが、改めて自戒したい。
2つ目は「接続の論理」である。特に「が」は接続詞として使い勝手が良いものの、多用は「反対の反対」等を引き起こし、安易に使ってはならない。気軽に使う「つまり」は本当に因果関係になっているのか?接着剤になっていない接続詞を使っていないか?改めて、文と文のつながりを落ち着いて考える必要性を感じた。
著者は国立国語研究所の関係者である。悪文の例に法律本文を用いることもあるが、あくまで「精微すぎて本旨が伝わりにくい」例としている。一見すると悪文の例を批判する厳しい口調に思えるが、全ては「一義的に解釈できる頑強な文を書く」という目的のためである。文章の組み立て方にフォーカスした結果であり、悪意がない点には留意されたい。
Posted by ブクログ
読むのにかなり時間がかかった……
悪文を工学的に分析する本。豊富な悪文の例に、その悪文を伝わるように修正した文を載せている。
芸術的な文を書くことよりも、悪文を書かないことの方が、ようは大事だと。
Posted by ブクログ
良い文章を書くために、
悪い文章を教えてくれる本。
良い文章は時代や読み手に依って変わる、
しかし悪い文章は明白である。
悪い文章であることを説明するために著者は
文章を区切って、主語述語の関係を矢印で引いて、文章の構造を可視化する。
可視化した文章に対して構造の欠陥を指摘する。(主語と述語が遠いとか。主語が変わってるとか。)
悪い文章の見本は
公式の出版物や名著と呼ばれるものを引用している。
これらは世間では有り難がられている文章だが、実際は駄文だぞ。と
昔の本過ぎで悪い見本が古く読みづらかった。
しかし、参考になる部分も多かった。
終盤には良い文章になる条件にも少し触れられており、リズムという観点があった。
普段文章を書く時、正確さや簡潔さは多少意識するが、リズム(韻を踏み読み心地を良くする等)はあまり意識していない。
参考にしたい。
Posted by ブクログ
「悪文」について実例を挙げ、どの点において拙いかを構造的に明らかにする。
この文なんか読み辛いんだよね、スッと頭に入ってこないんだよね、と感じる経験はよくあるけど、たいていは読み飛ばしたり何となく分かった気になったりして、素通りすることが多い。この本では、腰を据えて文章一つ一つに取り組んで、どこがまずいかをひたすら検証する。これを読んで上手い文章が書けるわけでないけど、まずは最低限「避けるべきポイント」を掴めるので有用かと思う。
主述、修飾、並列、接続の関係などの文の構造は、お堅い文法用語じゃなくて簡単な四角や矢印で表されるので視覚的にも分かりやすかった。
例文として取り上げられる「悪文」がなんとまあ酷い有様で、読み進めるのは結構体力をつかう。小説、法律文、新聞、詩や手紙など引用されるジャンルは多岐にわたる。実例で学べるという意義はあると思うけど、初見の名詞が多すぎると文構造の解読にはノイズになるので、もっと簡略化した例で説明してもらえると有り難かった……。まあ古い本なので仕方ないか。
Posted by ブクログ
巻末の解説文で「本書は『文の組み立て方』についてしか書いていない」とある。そのため、本書の論旨は明快である。間違いようもない。
タイトルの通り、本書は悪文について書かれたもの、悪文を避けるための文章読本であり、これを読めば名文が書けるようになるわけではない。さまざまな文章が例題として挙げられる。著名な作家もいる。
著者は文芸活動も行なっていたらしいが、あまり知られているとはいえないだろう。国語学者というわけでもない。だからというわけでもないが、小難しさはない。そのかわり、驚くようなことも書いていない。書いていることは、ふつうのことといえば、ふつうのことでしかない。
文章を書くうえで、参考にして悪い本ではない。ただ、なぜいまさら書評などで取り上げられたのかはわからない。本屋でも平積みされていた。だからぼくも買ったわけだけれども、なぜそうなっていたのかは読んでもわからなかった。SNSなどで誰でも文章を書く時代だからだろうか。それにしてもいまさらだが。