あらすじ
母さんを殺したのは、俺だ――。
許せなかった。自分自身も、父の再婚も、大好きだった音楽も。
高校2年生の羽山陽介は母を亡くした幼少期の記憶に今も囚われていた。
男手一つで育ててくれた父と、突然紹介された父の恋人に懐く無邪気な妹。
あの人が家に来るたび作ってくれるカレーは、母の得意料理だった。
「俺、絶対認めないから」。
気持ちの整理がつかない日々の中、学校で不可解な事件が起こる。
切り刻まれた幼馴染のイヤホン、階段から突き落とされた友達。
突然部活を辞めたエース、誰とも長続きしない人気者、善意の押し売りに苦しむクラスメイト――。
それぞれの無言の叫びは渦となり、やがて溢れ出していく。
本当は誰かに叱ってほしい。お前を許すと言ってほしい。
誰も本当の意味では分かり合えない、それでも分かり合いたい。
僕たちは、必死にもがいて手を伸ばしている。
デビュー作で青春の「痛み」を暴いた若き才能が掬い上げるのは、
「痛み」の先にある一筋の「救い」。
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Posted by ブクログ
ちょこっと真面目に。
久しぶりに小説らしい小説だった。
文学っていってもいいと思うけど、なんか守備範囲が広がりそうで、あえて小説。
だって本来の小説って人間の「ココロ」をさまざまに、しつこいくらい洞察して、それに比喩を筆頭に色々脚色をつけた物語のことでしょう⁇
それがこの作品は素晴らしかった!
でも人間の「ココロ」って何?
心臓?まさか。いやいや突き詰めたら意外とそうかもしれないよ。
じゃあ脳?それっぽいけど、心臓とは比較にならないくらい解明されてないよ。
きっと、作家さんたちはずっとそのことを考えて考えて次の世代にバトンを渡しているんじゃないかなぁ。
だから小説は読み継がれて来たんだと、オイラは思う。
オイラがラッキーだったのは、朝霧咲さんという2004年生まれの作家さんの小説に生で出会えたこと。
夏目漱石さんも太宰治さんも川端康成さんも、もっといえば紫式部さんだってもちろん読み継がれているよね。
ただ残念ながら同じ空気は吸えない。
残された小説から読み取って想像するしかない。
朝霧咲さんだって百人が読んだら百通りの解釈があるはずだし、フィクションだから今この時を切り取って書いたわけじゃないよね。
でも朝霧咲さんは、今オイラと同じ世界に生きている。
オイラと同じ空気を吸っている。
そういう作家さんが書いた小説に間に合った!
そのことにちょっと得した気がして。
なーんて、長々書いちゃった。
これ寝て起きて読み返したら恥ずかしいヤツだ笑。
一読をお勧めします。
Posted by ブクログ
タイトルと表紙の絵に魅かれて読み始めた。
高校2年生が主人公。
高校生活を謳歌しているような日常が綴られている、と最初の頃は思った。
が、主人公陽介の母を失った悲しみ、自分のせいだと思う後悔の念、再婚しようとする父親へ反発・・・など、
思春期真っただ中の心模様が、ビシビシ胸を打つ。
著者は高校生の時に新人賞をとって、現役の大学生らしい。
もろにリアルな青春物語だと思う。
誰しも「欠けている」部分がある。
完璧な人などいない。
ラストは温かい友情に、陽介がどんなに慰められただろう。
とてもいい小説だった。
高校生にお勧め、かつての高校生にも、ぜひお薦め!
Posted by ブクログ
思春期の少年の人間関係の機微に過剰に反応し相手に対して、先生、そして親に自分なりの対応を葛藤しながら成長していく。
自分も経験した事ある大人の対応を当時はモヤモヤしていたけど言葉にできなかった。それを今こんな気持ちだったとやっと言葉にできて少し楽になる。がんじからめで気持ちの整理ができてなく当時に読んでいたらすごく共感して読んでいたと思う。
Posted by ブクログ
子どもの頃の後悔って、大人になってもそう薄れる事なく、いつまでも残ってるもので。
うまく言葉にできなくて、なんとなくそう思う、と表現するしかない複雑な気持ちを、整理するのは自分自身でも大変で。
多感な年齢の頃のそんな心情に、取り憑かれるように一気読み。サイレントスクリームに、自分でも気がつけるか。そうでなければ、周りが気付けるかどうか。
Posted by ブクログ
高校生たちの話。
イヤフォンを切り刻んだのと女子生徒が突き落とされたのは、誰がやったのかすぐに分かった。
でも赤ちゃん誘拐は分からなかった。
告白されてはフラれる何かが欠落しているモテ男や、なんとなく自殺した女の子。
からっぽなようで、混沌がつまってる。
Posted by ブクログ
主人公の周りでつるんでる友達がすてきだった。
主人公の苦悩とか葛藤とかを知りながら、あえて何も言わず気づかせようとする感じ。
現代にもこんな友情があると良いなと思った。
Posted by ブクログ
言葉の難しさ、他者理解の難しさを感じた
理解はできないけど関わらないこともできない、、
一言で表現できないなんとも言えない感情や人間の行動を表現されている作品