あらすじ
ワンオペ育児中の亜希、マタハラを訴えられ絶望している茗子、そして二児のシングルマザーの三津子。三人は匿名でコメントしていたあるブログの炎上をきっかけに、偶然出雲で出会う。「私みたいにいい歳して子供のいない女性を、見下していませんか」茗子の切実な問いへの二人の答えは? 女同士本音のバトルが始まり、息をのむ傑作長編。
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Posted by ブクログ
育休中に読んだので、どうしても亜希に感情移入してしまったが、茗子のような思いをしている人も職場に必ずいるだろうし、自分が妊娠中に迷惑をかけていなかったか思い返して、なんだか勝手に少し反省もしてしまうほどリアルだった。
女性に産まれてきた以上、誰しもが直面する可能性の高い内容だけに、読者の共感を呼ぶのだろう。
実際には本作のように自分の心を全て打ち明けることはきっとないし、タブーとされているようなところもあるので、そういう意味では3人の居酒屋の場面は現実には起こり得ないのではと思うが、きっと同じような感情が渦巻いている人って日本全国に多々いるんだろうな、と。
最後はスッキリした終わり方だが、もっと生きやすい社会になればいいのに、と前半はずっしりくる作品。
Posted by ブクログ
環境も住む場所も異なる3人の女性のお話し。
ワンオペ育児をしつつ、
過去に派遣切りを経験した亜希。
夫とふたりで暮らし、
仕事に奮闘する中でマタハラを訴えかけられている茗子。
この2人はある一人の女性のブログを読んでいて
ある投稿からその人物に会いに行こうとする。
前半部分は両者ともに気持ちがとてもよくわかる
重ためなお話で、
育児をしていると思わぬ場面で休まなければ
ならなくなることがあるのもわかるし、
でもその休んだ分の仕事は誰がやるのか
という誰かが負担になることもとても分かる…
そして『子育てしている人は』『妊娠している人は』
などとその人のこと、本当は何も知らないのに
一括りに考えたり思うことがあるというのも
事実…。でも良くないよなと、この作品を読んで
改めて気をつけようと思った。
女性同士のお話は共感できる部分も多いので
この作品もとても読みやすかったし、面白かった!
Posted by ブクログ
主人公は3人の女性。ワンオペ育児中の女性、マタニティハラスメントを訴えられ絶望している子供のいない女性、そして二児のシングルマザー。この3人はあるブログで繋がっているのだ。
この三人はそれぞれ匿名でブログ上で交流していたが、偶然出雲で出会うことになる。
3名のうちの1人はブログでいつも管理人の意見を否定するようなコメントを書いており、周りからも嫌われていた人物。そして1人は子供が幼くてこのブログの管理人に救いを求めていた人物。そしてもう1人はそのブログを書いている管理人。
ネット上での人格と、リアルで会った時のギャップに戸惑いつつも、やがて本音で語り合うようになる…。
話は変わるが、僕のパソコン生活は、ニフティのフォーラムへ参加するところから始まり、その後に個人ホームページやブログ掲示板でのやり取りを顔も知らない人たちと頻繁にしていた。今はfacebookで本名をさらしているが、当時はハンドルネーム(HN)でのやり取りが当たり前で、かなり密接にメッセージのやり取りをしていた人たちでもネット上のHNだけで本名とか仕事とか全く知らない人もいた。今にして思えば男性⇄女性ということもあったかもしれない。
とある掲示板で交流する方々のオフ会というのにも、一度だけ出席したことがあるが、『まんぼうさん』という方が小柄だったり、『ぶたまん』という方がすごく綺麗な女性だったりするので、何とも不思議な世界だったなあ。
SNSに依存する人の多い時代。ひとつ間違うと闇落ちしてしまうから、あまりいい印象を持たない人も多いに違いない。『見つけたいのは、光。』というタイトルの通り、この小説の3人の女性は暗闇の中から、光を見つけて歩み出す…そこが救いでした。
匿名
ブログを通じて繋がってゆく女性達。人との繋がり方についてとことん追求している。人の言葉を聞き、自分の言葉を相手に伝える。すごく誠実な言葉のやり取り。簡単なようだけど、嘘のない本当の気持ちを伝えるって難しいです。まずは相手の言葉をちゃんと受け止めてみたいと思いました。
Posted by ブクログ
久々に飛鳥井千砂さんの作品を読みました。
私自身は、亜希、茗子、三津子の誰とも境遇は異なりますが、やっぱり同じ女性として、それぞれが抱えている悩みや思いに共感できる事がたくさんありました。(でも茗子がコメントでやっていた事は全く共感できないし、許せませんが…)
3人が偶然顔を合わせ、それぞれが本音を語り出した場面はハラハラしましたが、それが合ったからこそお互いが理解し合えて良かった。板前さんの存在も大きかった。
読みながら、色々と考えさせられた作品でした。
Posted by ブクログ
好きな作家さんだが、久々に読んだ。読後感は爽やかだろうと想像出来るから安心して読み始めた。
立場の違う女性3名。専業主婦のワンオペ、夫モラハラ気味のDINKS、バリキャリシングルマザー。人の分類が職と子供の有無で識別されるのもなんだかな…と思うが、実際そう考えてしまう自分もいる。現代の小説。
感覚的には個人のパートの方が多かったが、実際には半ばでもう3人出会っていたので、それだけ亜希と茗子に移入したんだろう。
後半は節度のある大人が互いに考えていた、考えたことをぶつけ合う会話劇。ネットもこれくらい言語化して相手と話し合えれば良いのに。
子供のいない人を馬鹿にしてないとは言えない、自分は子供を望んで現在幸せだから、子供がいなくなったらと思うと耐えられるのかと思う
自分も良い、相手も良い。それが出来るのは、相手への信頼あってこそだよなぁ