あらすじ
前作から10年。プラムフィールドは大学に、子供たちは個性的な紳士淑女となり、プラムフィールドから巣立っていった――。四姉妹から始まった壮大なマーチ家の物語が、ついに迎える終幕。
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Posted by ブクログ
ジョーとベア先生の学校が舞台となっている本作。
特に印象的なのは、うそをついたナットにベア先生が罰を与えるシーン。先生は、ものさしを持ってナットの前に現れる。ナットは自分が打たれてしまうのではないかと怯えるが、先生はなんとナットにそれを渡し、罰として先生を打つように命じる。ナットはそんなことはできないと言うが、結局打つことになる。このエピソードは、先生の愛を感じるものだった。最近、体罰をやめるべきだという意見が見られるが、このベア先生の教育方法は画期的だと感じた。もちろん、この罰は、ナットがベア先生のことが大好きで、尊敬しているからこそ成り立つものである。
また、この本の中では、メグの夫であるジョン・ブルックが亡くなる。1巻目の最後にカップルとなり、幸せな結婚生活を送っていた2人が引き裂かれてしまう。しかし、彼が亡くなってもメグは弱弱しくならない。3人の子を持つ母親としての強さだと思った。
若草物語は明るい調子の場面が多いが、身近な人物の死もしっかりと描かれている。2巻ではメグ、ジョー、エイミーの姉妹であるベスが亡くなり、3巻ではブルック先生が亡くなり、4巻の初めにはジョーたちの母親が亡くなったことが書かれている。このように死が描かれているものの、物語が暗くならない理由は、至る所に愛が描かれているためであると思う。ジョー、ローリーの祖父のベスへの愛、ベスから家族、知り合いへの愛、メグとジョン・ブルックの愛は、表面的に書かれているのではなく、ひとつひとつがエピソードとしてしっかりと描かれていた(1巻から3巻まで)。
この3巻では、ジョーやベア先生の子供たちへの愛が描かれている。
この本の魅力はそれだけではない。
子供たちの寄宿学校生活を楽しく描いているところも魅力だ。学校につどった子供たちの性格はさまざまである。ひとりひとりの長所・短所が描かれているが、根底はいい子である。ジョーやベア先生、こどもたち同士がお互いをしっかりと見て、尊敬していることがとても伝わってくる。中学時代にこの本を読んだとき、わたしもこの、プラムフィールドの学校に通いたいと思ったものだ。
Posted by ブクログ
プラムフィールドの発展ぶりには驚いたが、3巻の子供たち、そしてマーチ家姉妹のその後が分かって楽しい。上手く成長した子も、やや不穏な気配の漂う子も、皆巣立っていくんだなと、しみじみとした気分になった。特にデミは、産まれたときから知っているので、親戚のおばちゃん気分で応援したくなった。コミカルな描写も多く、全体的に明るくはあるものの、ラストのダンのエピソードが心にしこりのように残って切ない。