あらすじ
妻を自殺で亡くしたシングルファーザー、恋人から突然別れを切り出されたOL、不況に苦しみ、鉛のような心と身体をもてあます会社員……思うようにいかない人生に、苛立ち絶望しながら、それでも新たな一歩を踏み出そうとする勇気。苦しんでも、傷ついても、人は夢見ることをやめられない──。平凡な日常に舞い降りたささやかな奇蹟の瞬間を鮮やかに切り取り、かじかんだ心に血を通わせる感動の短篇集。
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Posted by ブクログ
劇的な出来事が起こるわけではない。静かに内側から変わる人々を見ることができる話ばかり。お気に入りの文を残しておきたい。「ガラスの目」の、「今夜は寝るまえに、すごくきれいなコジカの話をしてあげる」。「ミツバチの羽音」の、「キーを打つ音が、ひとつながりのメロディのように歌いだした」。「火を熾す」の「いつも新鮮な空気を送ってやること。炎と人の心は似ているのかもしれない」。いろんな形の再生を見せてくれるのだ。
Posted by ブクログ
妻に自殺で先立たれた夫、結婚を意識していた恋人に突然別れを告げられた女性、権威ある仕事に一生懸命取り組んでいたらリストラを言い渡された父…
こういった困る出来事って、突然訪れるものなんだと思う。
でも、そんなにすぐには這いあがれないから、苦しい。
だけど、悲しみはいつまでも続かない。気づかないくらいの光が差し込む時は、必ず来る。
そんな一瞬を取り出したのが、この本だと思う。
恋愛や家族のテーマもあるけど、ADHDなどの発達障害、金融危機をはじめとした経済的な問題など、時代に応じたテーマが選ばれている。
ほんの少し、心が前向きになれる一冊。