【感想・ネタバレ】占領期日本 三つの闇 検閲・公職追放・疑獄のレビュー

あらすじ

言論の自由を保障する新憲法下の日本で、GHQは、郵便・新聞・放送に検閲を行い占領政策への批判を封じた。
GHQはさらに民主化の名のもと、職業軍人だけでなく、政治家、言論人、経済人ら21万人を公職から追放。
そんな中、復興利権をめぐりGHQ幹部も巻き込んだ贈収賄事件が起こり、内閣が倒れ、政治はますます混乱を極める――.日本人が敗戦国の屈辱と悲哀を味わわされた占領期。今も続く「対米従属」のルーツでありながら忘れ去られようとしている、日米関係の「不都合な7年間」を、克明に描き出す。。

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Posted by ブクログ

占領期の検閲や公職追放について、詳しい出来事を知ることができ、大変有意義な本だった。
戦後80年の転換期の今だからこそ、戦後どのように言論統制があったのかということを知ることの重要性が増していると感じる。これを知らなければ、日本の方向性を的確に捉えることはできない。是非もっと若い人向けの本なども出版されてほしいと思った。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

日米双方が隠したい不都合な事実。占領下の日本での検閲、公職追放、疑獄。
日米関係を追求するなら避けては通れない歴史の闇に迫る。

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2025年04月19日

Posted by ブクログ

アメリカ占領下にあった7年間を3つのテーマで振り返る。
戦争とは、更には敗戦するとはこう言うことなんだな、と考えさせられる。
当時をリアルタイムで知る人が少なくなってきている今がこの様な本を出すラストチャンスだったのかも。

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2025年04月04日

Posted by ブクログ

歴史の授業でもあまり触れられることのない米国占領下にあった日本の歴史について、検閲、公職追放、造船疑獄の 3テーマで、米国の占領政策がいかに稚拙で自己矛盾を孕んだものであったかが克明に描写される。まあ、いきなり東洋の島国の領主になったのだから仕方がないとは言え、公職追放とか(この本では触れられていないが)農地改革とか、たしかにあんまりいい政策ではなかったよな。あの時代に占領軍の圧政にめげず、国家主権を取り戻した政財界の人々は、まさに「気概」があったのだろう。

著者は読売の記者を定年退職してからも類似のテーマで調査報道を続けて、近年は nippon.com で発表している人。定年退職後も意欲をもって精力的に活動しているのは素晴しいことだ。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

思い出したくない過去。太平洋戦争に敗れ、アメリカからGHQが派遣されたのち、占領政策の一環として行われた検閲、公職追放。更には戦後日本の正に国民一丸となって復興に向けた歩みが必要であった時期に政界を揺るがした疑獄。この「検閲」「公職追放」「疑獄」の忘れたい過去を本書はテーマにしている。
時は敗戦後、直ぐに日本の占領政策を開始したアメリカではあるが、敗戦国日本を二度と帝国主義に駆られた危険な国家にしないよう、また二度と軍事国家として立ち直らせない事を最重要の目的として進められるGHQの政策。過去の歴史として学んできたはずの日本人でさえ、それらがどの様にして行われてきたか、実態を詳しく知る機会は少ない。言葉尻だけを捉えれば、今なおロシアや中国では当たり前に行われている様な言論統制や不穏分子の発見とパージの予備調査の様にも聞こえてくる。事実アメリカは日本が再び軍備を整えて二度と歯向かう事の無いように、徹底した検閲と公職追放の日本の刃を一切の妥協なく振り翳している。全ての郵便物を検閲し、要注意人物のやり取りには検閲が知られない様に偽装し泳がせるなど大量の動員により徹底的に実施した。勿論、新聞や書籍の出版などにもそれらは及び、少しでも占領政策に不利になる様な情報を排除していく。ウォーギルトインフォメーションで国民に戦争原因とその責任者を深く植え付けたGHQではあるが、自分たちが有利にその政策を推し進めるためには、一切の妥協は無い。
そして更に恐ろしいのは公職追放にある。戦前から戦中にかけて、政府に関係したものだけでなく、経済界、武道の団体、地方の小さな団体にまでその力を及ぼして、こちらも徹底した人材排除を行なっていく。これにより日本の行末に天皇が不安を覚えて独自外交を繰り広げるところまで行き着く。その結果、ソ連を始めとする反共防波堤の力まで失うことを恐れたアメリカ国内からの批判にまで達する。その後解除はされていくものの、確かに日本の復興に悪影響を及ぼした事は言うまでも無い。アメリカは日本と死闘を演じた当人の国であり、自国に大量の死傷者をだしての勝利であったから、日本の復興に懸念があったのは解るが、行き過ぎると返って自分たちの不利益になる事に気づき始める。
本書の後半には疑獄に関する研究結果が論じられていくが、先の検閲や公職追放を経て日本が再び蘇る兆しを見せる中、今度は国内の勢力同士の争いが起こる。取り締まる側と疑われる側の国家権力同士の醜い争い。果たして本書を読んでいると、敗戦からの復活はこうしたウミの出し尽くしから始まっていく日本の再興の過程を、消したい様な負の側面からじっくり観察する事ができる。それでも復活を遂げ見事なまでに世界のトップレベルまで上り詰める日本。同じく第一次世界大戦から敗戦を経験しながら、今では日本を凌ぐGDPを叩き出すドイツと共に、敗戦や被占領の経験が、どん底に堕ちた両国の復活の要因、共通性にも感じられるようである。
単に歴史を表から眺めるだけでなく、普段目にする機会の少ない裏側から覗き見る事で、今の日本の成り立ちを知る良いきっかけになるのではないだろうか。本書は様々な視点で物事を見つめ、発見から学びを得る良い機会になる。

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2025年03月17日

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