あらすじ
人間ではない恋人,語るなの掟,開けてはいけない部屋――幸せな人が,幸せを求めて旅に出るでしょうか.むかしむかし,死の恐怖におびえる人々が夢みて語り継いだ物語が,アニメやゲームのモチーフになって現在にも生き続けています.なぜおとぎ話はあり,私たちに何を語るのでしょう.闇と光の物語の,深層に触れてみませんか.
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
おとぎ話は、伝わっていく中で、様々な歴史的背景や社会的背景を含んでいて、その背景を汲み取るだけで、そのおとぎ話の持つ意味というのが変わっていくるという体験は、まるでミステリーを紐解いているみたいで、中々ない体験だった。
本書では、おとぎ話と近年のアニメなどの作品(鬼滅の刃やヴァイオレットエヴァーガーデン)の類似点などを比較しつつ、おとぎ話と現代で同一のテーマを書き出していることなどが解説されており、大変読みやすかった。
声や腕がなくなることにも主人公の持つ課題を明確化する意味があることや、そもそも主人公も悪女も全員女性であり、本当の黒幕は男性である可能性があるなどの話も、面白く読めた。
Posted by ブクログ
幼少の頃からディズニー映画を観ていて、おとぎ話は好きだったため、タイトルから気になり購入。おとぎ話はメタファーで現実の暴力・理不尽を普遍的に描く。民話は口伝であることが多く、社会背景や必要のない人物の登場や悪役の心理は描かれないことが多い。そこが、映画・ゲーム・アニメなどの映像メディアが発展している現代に生きる私たちから見ると、また違った想像力が湧いてくるのではないかなと感じさせられた。
Posted by ブクログ
おとぎ話はその時代背景や社会的制約を踏まえた子どもたちへの教育的なメッセージだったのか。娯楽的な物語とばかり思っていたから新鮮な気づきだった。きっと日本の昔ばなしにも同じようなメッセージが込められていたのだろう。
なんというか生成されて論理的な部分が抽出された教科書で学んだ現代の我々よりもおとぎ話で育ったほうが情緒が育つような気がする。それは現代ではノイズと言われるのかもしれないけれど…
ただ人の心に土足で入らないとか孤独の先に自立があるとか言葉にしにくい説教くさいことは物語のほうが納得しやすいなと個人的に思う。そう考えると昔ばなしやおとぎ話との接点が少なくなることはさみしいことなのかもしれない。
Posted by ブクログ
おとぎ話がなぜ語られ伝承されてきたか、その時代の背景と弱き者力のない者(多くは女性)のあり様などを読み解いて興味深い。現在のアニメなどの作品にも同じ様に表現されるその原形としての共通する仕組み、また隠された意味や悪女の描かれ方など、とても面白かった。
Posted by ブクログ
おとぎ話を体系立てて解説してくれる1冊。
西洋のおとぎ話中心。
私が日本文学の畑のひとなので、比べて読むのが面白かった。
伝承文学において残酷な描写には意味がある、それを削ってもいけないし、ことさらに強調してもいけない。ということが、伝わるといいよね。
残酷なものに慣れてしまっている時代だからこそ。
Posted by ブクログ
おとぎ話が描く背景、主人公が迎える結末、罪を負う人負わない人、なんでこの人に焦点が当たるのか当たらないのか。
物語の1つ1つの事柄にこんなに深い意味が含まれている可能性があるとはこの本を手に取らなければ気にも止めていなかった、そう思わされることが多くありました。
おとぎ話にはなぜなのか、どうしてなのかがたくさん隠されている。面白いと言っていいのかわからない内容が多いけど、その物語が誕生した事実こそが本当に興味深いと思いました。
Posted by ブクログ
おとぎ話がなぜ後世に残ったのか、なるほど娯楽であるとともに人生の教訓だったのかと理解した。お金を持っている男性は魅力的という点、美しい女性は妬まれるという点は長年共通なのだなという点が妙に頭に残った。
小説はマイナスからプラス、未熟な状態からの成長というギャップが大きければより面白いと作家の中山七里先生が言っていたこととリンクした。昔からここも変わっていないんだな。
読むことを勧めたくなるほどではなかったので、星は3つ。