あらすじ
闇を抜け、私たちは羽ばたき続ける――
大切な「誰か」の存在に気づかせてくれる、5つの物語
古い友人。遠くの恋人。業界を去った恩人。すれ違う家族。
途切れかけたつながりを、どうしたら取り戻せるのか。
紅葉の季節に、東北・北海道新幹線で青森、盛岡、仙台へ向かう人々を描く、
心に深く響く連絡短編集。
『桜の下で待っている』で、東北新幹線でふるさとへ向かう人々を描き大きな支持を得た著者。
あれから10年、著者がひらく新境地!
【目次】
ひとひらの羽
遠まわり
あたたかな地層
花を連ねて
風になる
装画/五十嵐大介
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
読んだことをすっかり忘れていたが、そうかこの本は「桜の下で待っている」と対を成すのか!箱館や青森、盛岡など、北海道と東北周辺の東北・北海道新幹線沿線を舞台にした短編5編を収録。
どれもとても読み心地の良い作品ばかりで、ブライトサイドの綾瀬まるっぽいのは、前作同様。登場人物や作品背景のつながりは気付かなかったが、独立して読める1冊。
どの短編も甲乙つけがたいのだが、好きなのは絶妙な男女の距離感を保ち続けた男女を描く「ひとひらの羽」と、家族や親族、職場の人間関係に悩む女性主人公の1日を描いた「花をつらねて」の2作。
実は一番読んでて不愉快(作品が面白くないのではない)だった、最後に収録の「風になる」がタイミング的には絶妙。父親の地盤を継いで国会議員になった女性主人公の話。ネタバレになるがワークライフバランスを崩しまくって業務(というか票固めと党内での存在感確保)に邁進する与党議員の苦労が描かれる。
高市が「ワークライフバランスを捨てる」と発言し、総理大臣になるやいなや、働き方改革を見直せと発言したこのタイミングで読むことになるとは…。
高市早苗の中にも「私ら、こんな働いてるんやからお前らも滅私奉公したらどないやねん」という気持ちがあったのかも知れないなぁ。イヤやけど、出来ればドラムでも叩いて余暇を満喫してくれたらエエねんけど。
Posted by ブクログ
コロナの時期を挟んで久しく会えていなかった人、心の距離があいてしまった人に会いに行く短編集。
北海道や東北を舞台にしており、気になっている地 盛岡が舞台のものもあったので、また呼ばれている気分に。
岩手の由来になった神社が気になる。元編集者の方のブックカフェは存在しないのかもしれないけど、面白い本屋さんやブックカフェが多いイメージだったので、より行きたい気持ちが強くなった。
ラストの国会議員になった知子さんの話を読んだのが、丁度総裁選の日だったので複雑な気持ちに。
馬車馬のように働かなくても、お給料に見合うような真面目な働きをして、悪いことをしないでくれたら、人間らしい生活を送ってほしいと思ってる。
現実の国会議員の方が、実際にお金や時間のやりくりをどうしてるかは分からないけど、社会を良くしていける立場になるために、門戸が広くなってもいいんじゃないかな。
Posted by ブクログ
1番目と2番目の物語がよかったです。
1番目について、恋愛とは違う男女の関係性、これはこれでとても心地よく、2人の今後を暖かく見守りたい気持ちになりました。
意外性とも相まって、なかなか感動的だったのが、2番目の物語。まさかアホウドリの転生とは…。種族を超えて相手を思いやる姿がとても印象的でした。
Posted by ブクログ
短編5作
いつか必ず別れが来る
だからこそのいまがあると、思い知らされる
当たり前のことが当たり前にできることを、これおいしいねえって共有しあえる誰かが居てくれることを、しあわせだなあって思う
作品を読みながら気が付いたらUAの「会いに行こう」が頭の中が流れていて、あのひとやこのひとのことを思い浮かべる
連絡を取る手段はいまや何でもある
Posted by ブクログ
5作の短編集。タイトルの通り、嵐をこえて誰かに会いに行く話。コロナ禍の中、過去の職場の同僚に会いに行く『ひとひらの羽』、どこかはわからないけど、どこかを探しているファンタジー感の強い『遠まわり』、憧れの作家と出会うことを目指し自身も作家となった『あたたかな地層』、認知症で入院している祖母に子を連れて会いに行く『花をつらねて』、議員となったが家族とうまくいかない『風になる』
以下ネタバレ含みます。
どれも本当に立場が違くてわかる!という人も多かった。個人的には、定年退職をしても会いたいと思える同僚がいるって素敵だなと思って『ひとひらの羽』は結構好きでした。結婚せずに好きなものをしっかりと持っている鳴海もかっこいいなと憧れる。
『遠まわり』は最初はどういうことだと思ったら、まさかの前世ウミネコだったということ?!でも素敵な話だった。
全部読んで思うのは、我慢しすぎちゃいけないなということ。会いたい時には会っておくべき!