【感想・ネタバレ】池田純久と日中戦争 不拡大を唱えた現地参謀のレビュー

あらすじ

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盧溝橋事件の勃発当時、現地で不拡大を主張した軍人がいた!
盧溝橋事件(1937年)勃発当時、支那駐屯軍の作戦参謀だった池田純久は、現地で交渉による解決を強く主張して拡大派司令官と衝突し、左遷される。のち、1945年にはポツダム宣言の受諾を決めた「最後の御前会議」に出席するなど、日本の転換点に居合わせた池田純久という人物を、盧溝橋事件前後を中心とした史料と家族の思い出という両面から描き出す。

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Posted by ブクログ

陸軍軍人池田純久を中心に日中戦争の勃発前後を解説する本。池田純久という人物にピンとくる人はあまりいないであろうが、軍官僚としてかなり優秀な人物であり、また当時の軍人には珍しく開明的な思想の持ち主だった。(陸軍大学校卒業のエリートなのに『アカ』という事実無根のレッテルが貼られるほどである)。
当時日本陸軍内部拡大か不拡大かで意見が割れ、彼は不拡大派として現地で奮戦するも結局は拡大派の工作に抗えず最終的には左遷という形で中国を去る。当時の日本人の中国感は総じて「遅れた国」という侮蔑的なものであったが、彼はそのような思想を持たずに真っ直ぐに向き合おうとした節がある。ただし、それが中国人にそのまま受け入れられたわけでもなく、また彼自身にも一般的な日本人の中国感とはまた違った一種の思い上がりがあり、決して全てがうまくいっていたわけではないのだが。
陸軍内の「政治」についても生々しい描写があり、どの時代も組織というものは本質的に変わらないのかもしれないなと感じた。

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2025年03月29日

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