あらすじ
高校を退学になったばかりの少女チャーリーは、ある盗みをきっかけに姉の恋人と争いになり、抵抗の果てに彼を殺してしまう。その場に居合わせた見知らぬ大学生ナオの提案で、ふたりは死んだ男の車に乗り、死体を湖に捨て、ハイウェイを北へ走り出す。道中謎は尽きない。車を追ってくるのは何者か。ナオが死体処理に協力したのはなぜか。そして、車に積まれた大量の黄金はどこからきたのか――。やがて轟く銃声。炎天下のオーストラリアを舞台に家なき者の共闘を描く、ノンストップのクライムサスペンス! ウィルバー・スミス冒険小説賞受賞作。/解説=杉江松恋
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Posted by ブクログ
本の雑誌のミステリ部門でランクインしていた本。
金のインゴットを巡ってトラブルに巻き込まれていった二人のロードストーリー。登場人物があまり多くないので読みやすいです。驚くようなトリックはないです。それでも2人が現金がない中、どのくらいの違法行為をしながら追っ手から逃れるか、数々のピンチをどう切り抜けるか、が気になり、引き込まれて一気読みしました。
ただ、殴られるシーンが多々出てくるので、苦手な方は読まない方がいいと思います。ハッピーエンドになるだろう、と信じて読まないと辛いものがあります。
何年も前にシドニー(東側)ですが、ワーキングホリデーに行っていました。オーストラリアの壮大な自然を切り拓いてつくられた道路が目に浮かびます。そうそう、郊外には野良カンガルーがいるんですよね。
オーストラリア人って、男性も女性も『クソ』とか4文字ワードなどなど言いまくりだったので、チャーリーが特に口が悪いとは思えませんでした。チャーリーは強がっているけれどもお姉さん思いの熱い子という感じです。
強い女性たちの物語です。姉妹の絆や女性同士の絆を感じられる作品でした。
Posted by ブクログ
創元推理文庫の表紙とタイトルの美しさ、装丁で買っでしまいました。
エマ・スタイルズ『銃と助手席の歌』
No Country for Girls.
チャーリーは17歳。学校を退学させられ、荒れている。姉のジーナの彼氏・ダリルが見せびらかしていた金の延べ棒を1本盗んでしまう。一方、血と傷を負って、明らかにトラブルを抱えたナオがチャーリー宅に助けを求めやってくる。
ダリルの襲撃から身を守るため、誤ってチャーリーは冷蔵庫の上にあったナタで彼を殴り、ダリルを殺してしまう。ナオの対応により、2人は死体を湖に沈め、証拠隠滅を図る。その後、チャーリーの家の入り口に誰かがいるのを発見し、2人は、ダリルの車で逃げ出してしまう。ダリルのトラックに金の延べ棒が詰まったバッグを発見した2人は、それを助手席に隠し、本格的な逃走を開始する。舞台は、西オーストラリアのグレート・ノーザンハイウェイへ 。本当に目的も旅支度もなく、成り行きで。
後を追ってくるものはなにものなのか。黄金はどこからきたのか。性格も立場も違うチャーリーとナオの2000キロに及ぶ逃避行が始まる。
最初は話になかなか入り込めなかったんですよね。チャーリーとナオの2人に感情移入がうまくできなくて。どちらも少しエキセントリックな性格をしているので。ですが、2人はやがて、旅の中で心を開き、触れ合い、過去を話し始めます。そうすることで、2人に読者もだんだん触れ合い、話にのめり込んでいく形になります。
話の展開があまりにも突拍子ないけれど、読後感は良いです。あ、これはロードムービーなんだって。
「やっぱりゴールド・コーストじゃない?
どう思う、ナオ?ガソリンは満タンになってるけど」
「いいんじゃない?」