【感想・ネタバレ】謎は花に埋もれてのレビュー

あらすじ

小さな花屋「フラワーショップ橘」の店主志奈子は、50歳を過ぎて地元の刑事、横山昇司と結婚した。白薔薇、桜、ガーベラ、馬酔木……。物言わぬ花たちが、事件に埋もれた真実を、うやむやにされそうになった死の真相を静かに語ってくれる。不条理な殺人事件をめぐる、六つの愛憎ミステリー。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

好きな作家だったので。

そう、これです。
このひりっとした感じ。

お花屋さんのお話なのだが、
大学時代の同級生の叔母が亡くなったことが、
するりと殺人事件になっていく。
その同級生は気分屋で軽率で、とざっくり切られる。
でも天真爛漫で裏表がないからつきあってられる、
とお花屋さんの志奈子は思っている。
さらに大学の時、部活の監督と不倫をしていて、
当時その叔母が大学に乗り込んだとか、
大学を去らざるを得なかったその元監督とよりを戻してるとか、
どんどん話はきな臭くなっていく。

志奈子の周囲での事件が語られる短編集なのだが、
その短編の中に人生がぎゅっと詰め込まれていている。
その凝縮ぐあいが素晴らしい。
短編の醍醐味が堪能できる。

その志奈子が五十を過ぎて結婚したという設定も自然な感じだし、
その相手が刑事ということも違和感がない。
当然、花を巡って話は進むのだが、
同じ作者の別の長編作品とは全くちがうし、
どの話もとても良かった。

猫が登場していたが、殺人の手伝いをさせられて、
しかも怪我もさせられたのは納得いかない。

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2025年03月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

花をテーマにしたミステリー短編集。すべての物語に共通して登場するのは、小さな花屋。花言葉や剪定、花粉など、花に関する豆知識が織り込まれていて読んでいて楽しい。登場人物たちの心の動きが丁寧に描かれていて、作者の表現力の高さを感じた。とくに印象に残った物語は「家族写真(ファミリー・ポートレイト)」で、心にずしりと響く内容だった。「弦楽死重奏」のトリックも巧み。花屋の猫・ムサシにも意外な物語があったのが良かった。

0
2025年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

基本はフラワーショップの店主とその夫の所轄署刑事が事件の謎を解いていく短編集。
悲しい結末と花言葉、ときには完璧なアリバイを崩す…
予定調和の安心感のある作品も良かったが、変化球な「家族写真」も素敵な作品で、特に「クレージーキルト」が心に残った。
「ある一点に収斂(しゅうれん)していく運命には、抗しきれない」けれど、それは事件や事故だけでなくすべての人の人生に起こっていることで、クレージーキルトが調和していくように受け入れて生きていくしかない…

0
2025年04月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【収録作品】ガーベラの死/馬酔木の家/クレイジーキルト/ミカン山の冒険/弦楽死重奏/家族写真(ファミリー・ポートレイト)

偶然か必然か。運命のいたずらみたいなもので明暗が分かれる。一つ一つは平易なミステリ。花もそこまで専門的な感じで関わっては来ない。
志奈子は探偵役ではないし、事件に積極的にかかわるのは冒頭作くらい。あとは偶然ヒントを出すような感じかな。
実際、夫が刑事だからといって妻が探偵役として知恵を貸す、というのはよほどうまくやらないとわざとらしくなるから、事件に関わるバランスはいいと思う。

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2025年03月22日

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