【感想・ネタバレ】サムスンは生き残れるか 逆境の韓国経済のレビュー

あらすじ

アジア最強企業、猛烈に働くエリート集団、ニッポン電機敗戦の元凶――。

そんな言葉で語られてきた韓国サムスン電子が揺れている。主力事業で中国企業の猛追を受け、競争力が静かに低下する。韓国内政の余波で創業家トップが逮捕・拘束される事態に発展し、2024年12月の大統領弾劾によってさらに政治リスクが高まった。

15年間変わらない事業構造、挑戦を避ける大企業病、国内政治によって翻弄される経営、財閥創業家への国民からの嫉妬……。さまざまな逆風によってサムスン経営は立ちすくみ、成長の道筋を見つけられていない。

サムスンの苦境は韓国経済の映し鏡でもある。成長の壁にぶつかり、もがくサムスンと韓国の実態を、電機業界と韓国経済に精通した日経記者が赤裸々に描く。

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Posted by ブクログ

サムスンが日本からどのような技術供与や技術移転を受け、勝ち上がっていったか取材に基づくドキュメントが説明される。後半は、サムスンだけではなく、現代自動車LGも含めて、どれだけ日本からの技術供与を受け産業化に展開されたのか、現在の中国台頭の流れの中で、韓国が自国のポジションを守るためにどのような努力をしてきいたのか、いわば韓国経済1990が語られる。日本から見ると、韓国の反日教育の弊害しか見えてこないが、そもそも韓国側で正しく歴史教育が行われていない事実、それを日本側も認識していない事実が、両国間でいつまでたっても謝罪外交を求める右翼的な政治家とそれを是とする保守系政治家が延命する素地を作っているのだと思う。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

 読みやすく、頭に入ってきやすい。サムスンの姿を描きつつ、韓国経済のまとめと今後の試練について、わかりやすいまとめになっていると思う。
 第1章はサムスングループ3代目総裁の李在鎔(イ・ジェヨン)の10年間を総括。逮捕・収監を経て復帰した2021年までは好業績だったが、急転。スマホでシェア世界一をアップルに奪われたのみならず、全社の収益力がじょじょに低下し始めているという現状があきらかにされる。
 第2章から第4章までは、道半ばの事業構造改革、大企業病、イノベーションの不足、といった側面が語られる。第5章から6章、日本からの技術移転により急速に発展を遂げてきた韓国だったが、今度は自らが中国への技術流出に苦しめられるように。第7章は少子化・高齢者の貧困・過度な競争社会・剥奪感に苦しむ若者・ソウルへの一極集中といった韓国経済全体の課題で締められる。
 サムスンは韓国を代表する企業であり、韓国経済の鏡とも言えるだろう。〈素早く九州したものは、素早く奪われてしまう〉〈サムスングループが迎えた試練、それは韓国国家の試練ともいえる〉〈サムスンの変革は韓国の産業構造の転換と同義でもある〉と、今後の苦境を暗示しながら、〈「パリパリ(速く速く)文化」とも呼ばれる変化対応力こそが日本にはない韓国の強みだ〉と期待を寄せる。

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2025年07月13日

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