【感想・ネタバレ】ことぱの観察のレビュー

あらすじ

文芸の世界で最も注目を集める作家が挑んだ、言葉の定義をめぐるエッセイ集。

「好きになる」「さびしさ」「つきあう」――。日常で何気なく使っている言葉で私たちは、他人と「本当に」分かり合えているのだろうか。一つ一つの言葉が持つあいまいさや脆さを鋭く見抜き、記憶や経験、痛みや喜びの「手ざわり」からその意味を結び直す。他人や、自分自身や、そのあいだにある関係を観察した日々の、試行錯誤の記録。

【内容】
まえがき
1.「友だち」「遊びと定義」「敬意とあなどり」「やさしさ」「確認」「忘れる」「くさみ」
2.「好きになる」「恋」「ときめき」「性欲」「つきあう」「愛する」
3.あなた「友だち2」「めまいと怒り」「さびしさ」「寝る」「飲むとわかる」「乗る」「観察」

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

とても、よかった。
こんな風に世界を見たり、咀嚼したり、受け止めたりする人がいるのかと。
きっと感受性という言葉ではなまぬるい。
くじらさんは自身のすべてを以て、実体のないもの、ミクロなもの、この世のありとあらゆるものと向き合っているんだろう。
それは凡人の私からしたら感嘆すべきことなんだけど、それゆえにひりひりする思いもたくさん抱えてきたんだろうと思う。
ちなみに、私が読みながら思ったこと。
授業でも使えるし、中~大学入試にも出題されそうだな。
なんと、つまらない人間か…

いずれにせよ、向坂くじら、初読だったけど、俄にファンになりました!
もっと他の作品も読んでみたい。

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2025年08月29日

Posted by ブクログ

何気なく使っている言葉たち。でも人によってその言葉が持つ意味は違うのかもしれない。難しいなあ。
「愛する」「ときめき」「確認」が好きだった。時間が経ってもう一度読み直したい。

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2025年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何か一つの言葉を定義する、という設定で書かれたエッセイ集。「友だち」「遊び」「やさしさ」「恋」など、いろいろな言葉の定義を試みている。
どの回も一つの言葉に真摯に向き合い、過去の経験に照らして熟考し、ああでもない、こうでもないと頭を悩ませている様子が面白い。それも辞書的な通り一遍の定義ではなく、著者の人生、生き方から導き出された生きた定義だからこそ面白いのだ。

「言葉がわたしの中である意味をむすぶとき、そこにはわたしの記憶や、経験や、痛みや喜びの手ざわりが、どうしょうもなくまとわりつく」

その「言葉にまとわりつく形のないもの」をこそわたしたちは交換したいのではないか、という著者の言葉がすごくいいなと思った。
言葉は人の中でそれぞれ違ったふうに生きている。そしてそれを交換し、飲み込んで、またあたらしい言葉にできる!なんて面白くて素敵な発想なんだろう。
もちろん言葉の違い、交換は面白い、楽しいことばかりではないけれども…。この本を読んでいたって、えっ、その定義はどうなの?と思うこともあるし、さらっと語られる著者の奇行にぎょっとしたりもする。でも、そういった摩擦も言葉の成長には必要なのだろう。 

「友だち(訂正)」の、友だちはなるやいなやすぐに不安定な最終地点に立たされる、というのがすごくわかるなと思った。そしてそれを不安に思うあまり、友だちと呼ぶのを恐れることも。痛みを怖がらないでいたい、きちんと怖がりたい、という著者の勇気に元気づけられる気がした。
もう一回、ゆっくり考えながら読んでみたい本。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ


著者は「さきさかくじら」さん。
自身の考える言葉の定義を「ことぱ」と名付け、さまざまな「ことぱ」を観察する。言葉についてこんなに深く考えたことはないなぁ。「Pの魔力」はすごい。Pはかわいい。Pipiもかわいい!言葉を学ぶことと遊ぶことの双方が必要だ。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

よく使うけれど改めて定義するのは意外と難しい言葉を、丁寧に考えて定義していく遊びをしている本。

「友だち」という言葉のハードルの高さ、という部分に共感して購入した。

友だち、遊び、敬意、やさしさは、解釈が面白いと思って読み進められた。

その後の恋愛関係の単語はあまり共感はなくて、「ときめき」は、私は人だけでなくモノに対しても感じるので(例えば、可愛い雑貨を見て心がときめいたり)、人それぞれ感じ方はそりゃ違うよねと思ったりした。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

ことばを改めて定義する、というのは「みんなそう言ってる」「普通はこう」みたいな当たり前をとっぱらって、自分ごとにして深く考える営みだと感じ、他人がそれをしているのを覗かせてもらいたくて読んだ。

くじらさんはもうなんにでも疑問があって深く深く考えていて、普段なんにも疑問をもたずスーッと生きている自分にとっては共感できるエピソードは少なかった。が、人はみんな共通のことばを使っていながら、そのことばの意味合いは人それぞれでズレがあるんだと改めて理解できた。肝に銘じたい。

「つきあう」の定義には共感できた。

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2025年04月28日

Posted by ブクログ

文章のリズムはそんなに合わなかったけど、例えの表現方法がすごく好き
夫にイライラして嫌な面を見せてしまった時に『中トロとか特上の部分だけをあげたいのに』に対して『骨とかかまの部分も好きだよ』(意訳)とか、女性としてみられたいと社員として契約に則った扱われ方をしたいの表現とか
すごい、腹落ち感がある

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2025年04月06日

Posted by ブクログ

「言葉」に自分の定義をつけてみるという面白い発想。本書にあるのは、「友達、遊び、敬意、優しさ、忘れる、ときめき、愛する、寂しさ、わかる」など自分の頭に浮かぶ発想から「定義付け」してみると見事、友人、仲間との「ズレ」「思い違い」「勘違い」「思い込み」などがあることを発見する。特に「恋と愛」「好きになる」「片思い」など自分との感覚と感情のズレは気になるし、面白い発見をする。シンプルはいいが意味が通じなければ相手に伝わらない、分かり易い言葉を使う事への大切さは「言葉の定義」(認知バイアス)に大いに関係してくると思う。
私流の定義は『「恋」は一人で思うもの、「恋愛」は2人で語るもの』と自分なりの定義を持っている。さらに『「結婚」は2人を埋め合うもの』としているがどうだろうか。「観察」と言う一つの行動からもさまざまな発想と疑問、さらに想像から詩集などが生まれるのは素晴らしいと感じる。

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2025年03月30日

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