【感想・ネタバレ】伊勢と出雲のレビュー

あらすじ

日本の起源につながる記憶が刻まれた地でありながら、それぞれ別物とされてきた伊勢と出雲を、古代朝鮮の文化と鉄をキーワードにつなぎ直す思索の旅の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

昨日の昼過ぎから読み始めて、今日の夕方まで。
新書一冊にどれだけ時間がかかるんだ!っていうくらい苦戦した。
伊勢について、本当に何も知らない自分に愕然。

そもそもこの本、初心者向けじゃなかったわ。
伊勢の内宮の禰宜(ねぎ)荒木田一門について書いてあるのを、私は「荒木田」一門と読んでいたのだけど、読み進むと荒木田二門が出てきた。
つまり、「荒木田一門」と「荒木田二門」というのがあるらしいのだ。

そもそも伊勢といえば、伊勢神宮。
伊勢神宮といえば皇室の氏神が祀(まつ)られていて、皇室の未婚女性が斎宮になるなど、皇室に縁の深い場所。
その伊勢に、それ以前より朝鮮半島からの渡来人が住んでいて、宗教施設が多く残されているなんて思いもしなかった。
新羅からの渡来人にゆかりの場所が、新羅から白木、白城、などに馴化し、白木神社が白髭神社などに変わり、すっかり日本の風景になじんでしまっているのだそうだ。

出雲については、この間『古事記』と『日本書紀』と『出雲国風土記』を読み比べた本を読んだばかりなので、多少はまだ理解できる。
国神である大国主が、天の神・アマテラスの弟、スサノヲに国譲りをする話。
この時大国主の子である建御名方神(たけみなかたのかみ)が抵抗を試みるも、逆に追い詰められて諏訪に逃げ込み、それが諏訪大社の来歴となっているが、伊勢にも伊勢津彦という神がいて、天日別命(あめのひわけのみこと)に追われて信濃に逃げたという話が残っている。
伊勢の民は出雲から流れてきたのではないか、という説もあるらしい。

共通点としてはもうひとつ。
どちらも製鉄の高い技術を持っていたらしいのだ。
これは朝鮮渡来の技術なので、ここから新羅が云々の話になってくる。

そう、この本は、宗教と製鉄の2点から、古代日本と朝鮮の関係を明らかにしてい公ということが書かれた本なのだ。
それがわかったのは、ようやくこの本を読み終わる頃だった。
自分の理解力のなさに、情けなさすぎて泣ける。

日本の神様はいたるところにいる。
自然のなかにもいるし、人間が神さまになることすらある。
それは、神性を持っているからではなくて、そこに神さまの依り代があると考えるからなのではないかと、最近思っている。(あくまでも私見)
樹齢何百年の大木が神さまになるのではなく、そこに神さまが宿る。神さまは別にある。
だから、人の移動とともに、神さまも出雲から伊勢へ、そして諏訪へ、さらには日本中へと広まっていったのではないかな。

出雲の神様を祭る神社は日本全国至る所にあるが、特に東国に多いらしい。
武蔵(埼玉・東京)では半数を超えるそうだ。
国作りが西から東へ広まったように、神さまも西から東へ移動していった結果なのかとかんがえると、わくわくする。

古代史は、よほどの証拠が見つからない限り、仮説の域を出ることはない。
それをいいことに、少し読んでは頭の体操とばかりいろんな仮説を組み立てて(妄想をして、ともいう)、一向に読書が進まなかったのである。
もっと知識があったら、もっと面白いのだろうけど。

ひとつ不満がある。
もっと親切に読み仮名を振ってくれなくちゃ、読めん!
地名、人名、神さまの名前。
固有名詞の殆どに読み仮名が振っていないので、これも読むのに時間がかかった理由の一つである。

十六島を“うつぷるい”とは読めないでしょう?
これが出てくるたびに、一番最初に読み仮名振っているところまで戻って、読み方を確認しながら読むのさ。
こんな難読固有名詞がいくつもいくつもあるのである。
全部に読み仮名振って!お願いだから。

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2018年03月12日

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