あらすじ
2025年
第23回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
クロワッサン、フランスパン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパン…
焼きたてのパンの香りが広がる〈日常の謎〉ミステリー!
選考委員絶賛!
「全体を包む空気感が魅力的」――大森望(翻訳家・書評家)
「おいしそうなパンの魅力で読ませる」――香山二三郎(コラムニスト)
「読者のもてなし方を分かっている」――瀧井朝世(ライター)
「決め手は、この味わいの心地よさだ」――吉野仁(書評家)
(あらすじ)
大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でアルバイトをしていた。あるとき、同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして?
疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく……。パン屋を舞台とした〈日常の謎〉連作ミステリー!
(著者プロフィール)
土屋うさぎ
1998年8月、大阪府箕面市生まれ、東京都府中市育ち。大阪大学工学部応用理工学科中退。現在は漫画アシスタント兼漫画家。2023年、『あぁ、我らのガールズバー』で集英社・第98回赤塚賞準入選。同年、『見つけて君の好きな人』で小学館・「創作百合」漫画賞佳作。2024年、『文系のきみ、理系のあなた』で一迅社・第30回百合姫コミック大賞翡翠賞受賞。同年、第23回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、本作で小説家デビュー。
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Posted by ブクログ
新聞広告を見て、このミス大賞であること、タイトルと表紙の絵が可愛くて気になり、本屋で購入。
章ごとにスポットライトが当たるパンがあり、参考文献にもパンの事典などが挙げられていて好きな作品でした。
Posted by ブクログ
謎に関わる5つのパンが登場し、それぞれのパンが作られる工程がとても良い香りを漂わせてくる。
『その瞬間、焼き上がったパンのように、頭の中で描いていた思考が一気に膨らんだ』
オーブンの中で膨れ上がるパンを、頭の中の思考のまとまとまりに例えたこの表現は、初めて読んだときに感心した。
ノスティモの古参バイトのレナ先輩は、最初は常識のない人のように感じられて正直苦手だったが、読み進めていくうちに何とも憎めない、いざという時に頼りたくなる、そんな印象に変わっていった。
コロナの後遺症で味覚障害になってしまったノスティモの社員福尾さんは、独立して婚約者と共にパン屋を経営することに勇気を踏み出せていなかった。
そんな福尾さんの想いを知った店長の言葉に胸を打たれた。
『今は味覚がなくても、これまでに食べたパンの記憶がなくなるわけじゃない。お前の指が、眼が、鼻が、身体全体がーー何万回も捏ねてきたパンを忘れることなどないはずだ』
『ノスティモから盗めるものは、もうないだろう』
パンに対しては誰よりも情熱がある店長ならではの、福尾さんへの激励の仕方はうるっときた。
Posted by ブクログ
パンにまつわる5つの連作ミステリー
日常の小さな違和感から謎が始まり、解けると優しい気持ちで少し前向きになれる。
登場人物もみんな可愛らしい。特にレナ先輩の天真爛漫さが微笑ましい(一緒に働くとなると、ちょっと大変かなぁ〜)
みんなの今後が気になる〜
仕事帰りに、我慢できなくなって、イートインのパン屋さんで、チョココルネとカレーパンを食べた(甘いと辛いの!)
美味しかったぁ~!そして、夕飯を作る気がなくなった。
Posted by ブクログ
大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しつつ、大阪府豊中市にあるパン屋〈ノスティモ〉でアルバイトをしていた。あるとき、同じパン屋で働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのにどうして?
疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく……。パン屋を舞台とした〈日常の謎〉連作ミステリー!
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第一章 焦げたクロワッサン
第二章 夢見るフランスパン
第三章 恋するシナモンロール
第四章 さよならチョココロネ
第五章 思い出のカレーパン
エピローグ
装画 出水ぽすか
・市倉小春(いちくらこはる)
主人公。ノスティモで働きながら漫画家を目指している大学生。
・堂前(どうまえ)
店長。四十代半ば。
・福尾(ふくお)
ノスティモの女性社員。二十六歳。
・由貴子(ゆきこ)
親友。小春にノスティモを紹介した。
・鈴木レナ(すずきれな)
大学四年生。派手な赤髪。
・堀田紗都美(ほりたさとみ)
パティスリーでバイトしている。小春と同じ大学に通う工学部の三年生。
【第一章 焦げたクロワッサン】
親友の由貴子と舞台のライブビューイングに行く予定が、前日に突然のドタキャン。レナ先輩にバイトを代わってほしいと頼まれたと言う。しかしそれは嘘で、本当はライビュではなく東京公演の現地に行っていた。推しのハセピーと繋がって付き合うことになっていたのだった。
【第二章 夢見るフランスパン】
レナがシフトを勘違いし急遽休みとなる。人手が足りないブーランはパティスリーでバイトをしている紗都美をヘルプに呼ぶ。過去にもやったことがあるフランスパンのクープを入れようとしたところ、急に叫ぶ紗都美。焦った素ぶりで離席する紗都美に何かあったのか問うが、答えは返ってこない。その後二人で話しているとき、将来の夢の話になるが、小春が漫画家の夢を語ると急に突き放すような口調に。
紗都美は『香箱チョキミ』というVチューバーとして活動しているが、活動が両親にバレてしまい、反対された。夢を諦めたくない紗都美は、普通の会社に就職できないよう、リストカットをしてしまう。フランスパンのクープが自分のリストカットの腕と重なり、トラウマでパンにナイフが入れられなくなっていたのだった。
【第三章 恋するシナモンロール】
幼馴染の美桜(みお)と道長(みちなが)。高校の制服を着た二人がノスティモにやってくる。カフェスペースでパンを食べていると、美桜が道長のカバンにコーヒーを溢してしまう。そこには道長の所属する野球部のマネージャーが作ってくれたお守りが。事故に見えたが、実は美桜が道長とマネージャーが付き合うのを阻止するためにわざとやったこと。
シナモンロールは、海外では「尊い」という意味を持つスラングとして知られている。
【第四章 さよならチョココロネ】
毎週バレエのレッスンのときにチョココロネを買いにくる常連の凛(娘)と葉子(母)。ある日葉子がひったくりの被害に遭い怪我をしてしまう。凛の目撃情報から犯人を推理する小春。犯人は凛が通うバレエ教室の新人講師だった。
【第五章 思い出のカレーパン】
三十年前に夫が買ってきてくれていたカレーパンがもう一度食べたい、と来店した塩原梢江(しおばらこずえ)。ほとんど特徴のないパンの説明を聞き、休日にパン屋巡りに行く小春・レナ・紗都美。カレーパンは、福尾の婚約者が働いているパン屋で見つかった。