あらすじ
1978年ハーバート・A・サイモンは「経済組織における意思決定過程の先駆的研究」を理由にノーベル経済学賞を受賞した。本書は、組織を「情報の授受を媒介とする意思決定のシステムであるととらえている。個としての人間は「限られた合理性」を達成することができるだけだが、本書では、組織の意思決定機能が、そうした限界を超えるための可能性を解いている。
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Posted by ブクログ
世界的に有名な学者、ハーバード・サイモンによる経営学本
学者と書いたのは彼の業績を〇〇学者の・・・といった表現ができない
学際的なものだったから
原著自体初版から改訂を経ている本なのでサイモンによせられた批判に対する反論もしていてる
経営行動についての本であるが人間の意思決定の過程、つまりどのようなシステムが脳で動いているのかという視点で考えている
システム自体の説明をプロセスに分けて考えているのだが、丁寧すぎて全体像を掴み切れないかもしれないし、解説本も殆ど無いので、丁寧に読みたい
Posted by ブクログ
不確実性のなかで、いかに個人が、そして組織が意思決定を行うのか、というのは、私の長年の問題意識なのだが、その際の重要な前提となるのが、人間の認知能力の限界と組織が生み出すバイアスといったもの。という観点から、ハーバート・サイモンの限定合理性という考え方には、大きな影響を受けている。そのサイモンの組織論に関する古典的名著がこれ。
長らく読みたかったのだが、絶版状態が続き、古書も1万円を超える価格で取引されていて手が出なかったところ、ついに新訳で登場。さらには、4th editionをベースとして、大幅なコメンタリーが加えられて、分量的には2倍になっているのではないかな。
と、本の厚さに圧倒されつつ、読み始めたが、これがまたとても読みにくい。ある意味、当たり前というようなことが、非常に厳密な論理で書かれている訳で、また現状分析がほとんどで、処方箋的なものがほとんどないので、結構、フラストレーションがたまってくる。
サイモンの「システムの科学」を以前に読んだときも思ったのだが、著者の知識の広範さと深さは、ほとんど超人並みで、なかなか、当たり前のことを書いているのか、すごく深いことを書いているのか、判別がつかない。
最初に書かれたときには、人間の合理性をベースとする従来の考え方に対するアンチテーゼとして新鮮だったんだろうなー、と思いつつ、今となっては、なかなか、どう読んだら良いのか、難しい本であった。
というわけで、前半の個人の意思決定にかかわる所はそれなりに読んだけど、後半の組織論的なところは、ざっと流し読みしてしまった。。。
ある意味救いは、90年代に書き加えられたコメンタリーの部分で、これを読む事で、最近の理論の発展や現実(コンピューターの進歩)などとの関連性を見出す事ができるし、また書き方もこちらのほうが、ややインフォーマルで読みやすい。