あらすじ
記憶の書き換え、意識のデータ化、潜在能力の活性化……SFに描かれる「脳の未来」は実現するのか? 第一人者が大真面目に検証!
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Posted by ブクログ
情報番組で紹介されていたので手に取った一冊です。
本書は、SF小説に描かれる未来像(サイボーグ化、脳とデバイスの融合、人工冬眠、記憶の書き換え、眠らない脳など)を、現代の脳科学や技術から見て「実現可能か」を検証していてとても刺激的でした。
テーマは大きく、①原理が未解明でまだ不可能なもの、②仕組みは分かりつつも技術が追いついていないもの、③実現が極めて困難なもの、の3つに分かれています。未来を考える面白さと同時に、科学技術と脳研究の進歩が不可欠だと実感しました。
「おわりに」の木星探査のショートストーリーで語られる「体験の価値」は特に印象的でした。どれほど技術が進んでも、自分自身の経験は代えがたいと改めて感じました。
Posted by ブクログ
SF小説に出てくる脳に関しての様々な発想が実際には実現可能なのかを各シチュエーションごとに考察した本です。
目次は以下の通り。
第1章 サイボーグは「超人」になれるのか(『二重太陽系死の呼び声』ニール・R・ジョーンズ)
第2章 脳は電子デバイスと融合できるか(『攻殻機動隊』士郎正宗)
第3章 意識はデータ化できるか(『順列都市』グレッグ・イーガン)
第4章 脳は人工冬眠を起こせるか(『夏への扉』ロバート・A・ハインライン)
第5章 記憶は書き換えられるか(『追憶売ります』フィリップ・K・ディック)
第6章 脳にとって時間とはなにか(『TENET/テネット』クリストファー・ノーラン監督)
第7章 脳に未知の潜在能力はあるのか(『LUCY/ルーシー』リュック・ベッソン監督)
第8章 眠らない脳はつくれるか(『ベガーズ・イン・スペイン』ナンシー・クレス)
第9章 AIは「こころ」をもつのか(『2001年宇宙の旅』スタンリー・キューブリック監督)
ここに挙げられているSF小説以外にも多くのSF小説を引き合いに出しながら、どういった方法で実現可能か?や何故実現が難しいのか?などの考察があります。
SF小説は結構読む方ですが、題だけ知っていて未読のものや今まで知らかなった作品を知ることもできました。
また、人工冬眠には細胞を冷やして活動量を低下させる方法以外にも、脳に備わっていると思われる冬眠のスイッチを入れることでも実現可能でその方が副作用が少ないということや、量子理論に基づいた時間の定義などに関してなど知らないことを知ることもできました。
Sense of Wonder!
科学的に解明されてきていることも多くありますが、それ以上に人の想像力が大きなウエイトを占めるSFのWonderの魅力を改めて実感しました。
SF好きの方は是非ご一読を。
竹蔵