あらすじ
「あんたには奇妙な味があるよ。」――江戸川乱歩
敗戦直後、「桜島」を始めとする兵隊小説で戦後派を代表する作家となった梅崎春生は、幼少期から探偵小説に耽溺し、実作も手がけた。
複数のアンソロジーに採用された、梅崎ミステリを代表するユーモアタッチの表題作。
元特攻兵の主題をハードボイルド的手法で描く「小さな町にて」。
戦後文学史上の奇書『柾它希(まさたけ)家の人々』の著者・根本茂男にまつわる実録「不思議な男」。
ほか、全集未収録作品を多数含む、さまざまな技巧を凝らしたミステリ短篇を初めて一冊にセレクトした文庫オリジナル。
〈解説〉池上冬樹
【目次】
Ⅰ
失われた男
小さな町にて
鏡
犯人
カタツムリ
師匠
Ⅱ
春日尾行
十一郎会事件
尾行者
不思議な男
留守番綺談
Ⅲ
鏡――「破片」より
侵入者
百円紙幣
(コラムより)
恐ろしさ身の毛もよだち……
推理小説
『樽』――推理小説ベスト・ワン
好きな推理小説
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
梅崎春生さんのミステリー短編集。
いわゆるミステリーとは違って、何気ないぞわぞわ、不思議話し。
中でも「鏡」は印象深い。
金庫番の老人と偽帳簿作成係の男の話し。
雇い主の金の流れを見ているうちに、自分の不甲斐なさ、理不尽さに嫌気がさしていく。
ある時金庫番の老人をそそのかしてみる。
はたして金庫番は、望み通りの行動に出るが、その一部始終を鏡を通して眺める男。
はたしてそのあと、老人の元に近づく男はどう行動するのか。そこで話しは終わっているので、想像するしかない。
なんだか、ぞわぞわしたまま、妙に怖くなる。
全体的にやはり面白い。
梅崎春生さんの魅力だらけの短編集。