【感想・ネタバレ】ヘタレ人類学者、沙漠をゆく~僕はゆらいで、少しだけ自由になったのレビュー

あらすじ

「圧倒的な面白さ!」と話題の人類学本、爆誕!

山極壽一氏、松村圭一郎氏、中島岳志氏、小川さやか氏…各界より大推薦!!!

「理解不能な出来事を目の前にすると、相手を否定して自分を守ろうとしてしまう。
しかし異質なものを、異質なものとして見ていても何も生まれない。
偏見や独りよがりな思い込みではなく、『知』に『血』を通わせて、人と接していきたい。
ずっと興味があった人類学の世界。その一歩が踏み出せそう!」
――ジュンク堂書店 藤沢店 小山さん

白と黒ではわけられないこの複雑な世界で、他者とともにあるために――。
今こそ、僕たちには人類学が必要だ。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

面白かった~!
電灯売りの青年の「今」を生きるAal Izz Wellに感動し、土足で踏み込まれることに戸惑い、科学を超えたようなスピリチュアルな出来事に驚く。インドや沙漠社会のいろんな悲喜こもごもに筆者が示す率直な反応に、人類学者も私と同じ普通の人間なんだなと、すごく新鮮で楽しい感動があった。なんとなく可笑しみのある文体も楽しいな~。

今後どこの国に行くにしても、心に留めておきたいと思うキーワードが多々。
自分は日本社会においてはどちらかというと不思議な人生を送っていると思う(し、よく言われる)が、そんな自分でも良いんだなと、ゆらぎまくりの自分を肯定できるような気がした。

なんとなくずっと避け続けてきたインドに、最近呼ばれている気がする。
ようやく行ってみるときなのかもしれない。。

・「失敗」「怒り」によって「ゆらぐ」ことができる。その瞬間は戸惑い、苛立ち、逃げたくなっても、実は「ゆらぎ」の先に、新たな気づきや新たな関係の可能性が開けている。こともある。

・マジョリティでいられる環境から一歩外に出れば、自分は「異物」であり、何なら「穢れ」であるかもしれない。

・異物である自分がそこにいることは、良い意味で誰かの一生を変えるかもしれない。同時に、誰かの一生を負の方向に狂わせることにもなってしまう。それでも出会ってしまう。影響を与え合ってしまう。ゆるがせあってしまう。

・感謝をしないということの文化的意味。昔国語の教科書で読んだ「ありがとうと言わない重さ」を急に思い出した。それはモンゴルの話だったが、人とのつながりと助け合いを大事にする社会として、共通しそう。すぐに借りを返さないことで、あなたの関係性を継続して育むという意思があることを示すというのは、すごく素敵だなと思った。

・世界のあり方を説明する原理は複数あってもいい。

・「全ての原因を突き止めろ」でもなく「考えるな、感じろ」でもなく、「世界と踊れ」。(p.190)
実態と観念、具体と抽象、身体と精神という二分法を超えて、双方がせめぎあい、混ざり合い、溶け合っている。
『宗教は考え出されたものではなく、踊り出されたものだ』
マレット.R
「生きる」と「生かされる」の間で踊りたい。最高だ~

0
2025年10月16日

Posted by ブクログ

タイトルを裏切らない、
ヘタレっぷり!

異文化に触れて自分の考えが
変わるのは、よくある話だが
双方向で相手方への影響にも
自覚的な点がユニーク。

シャーマンやカーストなど
知った気でいる言葉の
現代的なリアルもよく分かる。

続編に期待(著者の結婚式編?)

0
2025年02月22日

Posted by ブクログ

面白すぎた…!
僕らが当たり前と思っている現代社会の当たり前が揺らいでいく
例えば、「感謝する」のは他人との絆が弱いため、いう側面があるなんて…
近年よくある贈与、所有、利他についての素晴らしい本と肩を並べる気がしている

0
2025年02月09日

Posted by ブクログ

筆者がインドのフィールドワークで経験した異文化コミュニケーションをエッセイにした作品。

多様性を認め合うということがどういうことなのか、筆者の経験のお裾分けをしてもらった。

0
2025年09月28日

Posted by ブクログ

とても深い内容だった。価値観の違いを理解する事は想像以上に難しくもあり、意義深い事なのだと改めて感じた。

0
2025年09月19日

Posted by ブクログ

人類学者の20年に渡るフィールドワーク。ヘタレとゆらぎをキーワードに話が進む。
日本では当たり前の「ありがとう」と「ごめんなさい」も、文化が違えば全く異なる。
20年後のまさかの再会の展開も激アツ。

0
2025年07月10日

Posted by ブクログ

人類学者の著者が学問を志すきっかけとなったルーツとなった大学生の時のインド旅行について振り返っている随筆。インドという日本とは違う価値観の文化圏において年若い頃の著者が悪戦苦闘している様が面白い。また、年若い頃の己を現在の視点で振り返っているから自分に対する内省見たいのも含まれていてこれにも相槌を打ちながら読んでしまう感じがする。インドと日本の違いで面白かったのは感謝の表し方の違い。日本はすぐに言葉と顔、感情に出して精一杯感謝を示す。でも、インドでは表情にも言葉にも感謝の意は示さない。その代わりに行動などで持って感謝を示す。言葉で感謝を示すのはタブーであるというのが面白かった。

0
2025年04月23日

Posted by ブクログ

ヘタレな僕がインドで様々な体験を繰り返し、得たものは?
キーワードは「ゆらぎ」。
・プロローグ
・本書について、または「ゆらぎ」のフィールドへの誘い
第一部 ゆらぐ自分  第二部 褐色の世界で見たもの
第三部 ゆらぎの世界 第四部 僕がゆるがせてしまった世界
・エピローグ ・あとがきにかえて――旅の終わりに

僕は常にゆらいでいる。
自分の事、人間関係、将来など。
そんな自分を“壊す”人生初の海外一人旅はインドへ。
生まれ育った日本とは、あまりにも違った場所へ。
異世界の中の異物という孤独感。周囲への不信感。
そして辿り着いたジャイサルメール沙漠で、
トライブ(少数民族)の青年と出会い、彼の故郷へ招かれる。
沙漠の人々との交流と生活の中での様々な出来事。
彼らの歩んだ歴史、文化や風習、信仰と儀礼、身体能力、
人々の関係と親族、血族を知る。それらの中での、
失敗と怒りは「ゆらぎの空間」を創造するための入り口。

さすがに自分にとって難解な話はあれど、面白かったです。
フィールド・ノートを中心に語られる探訪記と著者の歩み。
ヘタレではあれど、考え、考察し、整理して理解してゆく。
そして人類学者となり、30年近くインドとの関わりは続き、
ゆらぐ自分を感じ、更に人々をゆるがしてしまう妙。
出会いって偶然であり、必然であるのかもしれないなぁ。
だからこそ、All is well!(すべて良し!)

0
2025年04月11日

Posted by ブクログ

人類学者である筆者が20年におよぶインドでのフィールドワークをまとめた本。
本人がヘタレと表現しているように、立派な人類学者の話ではなく。異文化の中で右往左往する様子が面白く、体を張って理解をしていく過程が興味深かったです。

私たちが考えるあたりまえは日本のあたりまえであり、どこでも通用するものではない。驚くような事例もあって、例えば砂漠の民たちの「ありがとうの不在」の話。理由を聞いてなるほど~と思った。
でもやっぱり私はいやだな。それは私側の常識と思っているもののせいだけど、もしもその場にいたら、理屈を説明されたとしても猛烈な違和感と不快感が伴ってしまうと思う。
ただ、この世の中にはところ変われば、色々な考え方や価値観があるということはわかった。日本にいても時々理解に苦しむ人に出くわす。本当に腹が立つけど、もしかするとその人の中では理屈が通っているのかもしれないなぁと思ったり。

異文化理解や多様性って、言葉で聞くよりも本当はずっと難しくて軋轢を伴うものなのだろうな。読み終えてそんなことを思いました。

0
2025年10月27日

Posted by ブクログ

日本での当たり前が通用しない異文化での右往左往が面白く、自分では経験出来ないことを知れるのは読書の醍醐味で楽しく読めた。マジョリティとマイノリティとはなんなんだろうと考えさせられることも多かった。ただ題名をまとめきれてないやんとツッコミたくなるように、内容の文章もちょっとくどくて読みづらい所もあったのは残念。

0
2025年07月23日

Posted by ブクログ

学生の時にインドに渡航してから現地に魅了され、人類学として研究する過程での色々なお話。なかなか理解しづらい身分制度と差別、冠婚葬祭の金銭感覚など、国外に出ると当たり前がそうでなくなる、マジョリティがマイノリティになることなど楽しく読んだ。多様性を重んじる社会では、このように通常触れ合えない世界や人々の営みを知ることは重要と思う。研究者の若い時代の辛くも楽しい経験、というのにとどまることなく、いろんな知が広がっていくと良いなと思った。

0
2025年07月21日

「雑学・エンタメ」ランキング