【感想・ネタバレ】人事で一番大切なこと 採用・育成・評価の軸となる「人事ポリシー」の決め方・使い方のレビュー

あらすじ

企業人事は失敗があってはならないものですが、実際は多くの企業で「人事の失敗」が起きています。とりわけ「“いい人”が採用できない」「採用しても定着しない」という採用の失敗は、日本の企業の大半が経験しています。そして、「成功戦略」は語られても「失敗戦略」が語られないのが人事の世界でもあります。そこで本書では、コンサルティング等を通じて400社以上を見てきた著者だからこそ知っている、「人事のよくある失敗」とその原因を紹介。そして人事の失敗を回避するためにいちばん大切な「人事ポリシー」について、設定・運用の手法まで丁寧に説明します。

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Posted by ブクログ

人事として考えないといけないことの基本が詰まった本だった。考えのベースを作るのにとても分かりやすくて読みやすい良書。

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2024年09月28日

Posted by ブクログ

HRMポリシーの策定の仕方を学びたくて、そもそもHRMポリシーって?ということを知りたく、読んでいる。
HRMポリシーの定義を「経営が従業員に約束すること・求めること」という頭で読んでたら、全然違う話で最初はとまどった。
人事ポリシーとは、色々なフレームごとに一つ一つ検討すべきというものだった(HRMポリシーは、この一つ上にあるものな気がする。)

最後の「おわりに」のところのところにあった言葉が結構しっくりきた。
「人事ポリシーは、もやもやするための1つの切り口かもしれない。「どうモヤモヤするのか」といった切り口。
評価基準は、人を評価するときに「どう悩むべきなのか」の指針、道具。」

自分自身や自分が勤めている会社と照らし合わせて色々考えさせられる内容だった。

モヤモヤポイントは下記。
・事例がないからわかりづらい、経験が浅い人事の人が読んだら、フレームワークごとに議論をして決めることを目的にしてしまいそう。
・人材ポートフォリオで、プライベートを大事にしたいと思ったらオペレーターしかないのか…?コア・スペシャリスト仕事中心のライフ、オペレーティングマネージャーはオペレーター不在の時は代理で仕事対応しないといけない。

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2025年03月08日

Posted by ブクログ

人事で一番大切なことは、
人事ポリシーであり、人事としての軸である。
それがないと小手先だけの方法論に終始してしまう。

わかる、とてもわかる。

人事ポリシーは、会社の理念やビジョンとリンクしているべき。
会社の方針、経営層の意向も含めて。

わかる、とてもわかる。

できているかは別。苦笑
わかっていはいるけれど…が多くて、痛いとこだらけでした。
X理論、Y理論が残っています。

働き方改革、人事制度改革と、
私の会社もいま進めていて、
私もそのメンバーなのですが…
言うが易しで、実際の推進役(私はあくまで一般ですが上司を含め上の方々)は本当に大変…

人事ポリシーがあっても浸透しなければ、
形骸化していくだけで、全く機能しない。

考え方の基礎、ヒントは本書に記載されているので、
折を見て読み返そうと思います。

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2024年08月16日

Posted by ブクログ

人事組織における仕事の重要ポイントを説き、「人事ポリシー」に基づく施策の実行について例示をもって解説されている。人事の熱量が感じられる本。

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2024年07月21日

Posted by ブクログ

▪️人に対する考え方とは、主に次のような要素を指します。
●社員が働く目的、就業観(X理論、Y理論)
●何を大事にして評価するか(成果・能力・行動・職務・年齢・勤続・年功)
●何に対して給与・賞与を払うか(投資/精算)
●代謝概念(長く働くことを求める/代謝を求める)
●求める人材像(リーダーシップ/マネジメント)
●人材育成の方向性(コア/スペシャリスト/マネージャー/オペレーター)
●人材への考え方(資本と考える/資源と考える)・採用の方向性(新卒/中途)
●求める社員の志向性


▪️モチベーションリソースには、大きく分けると4つのタイプが考えられます。
●仕事型
 仕事そのものが好きである。お客様に「ありがとう」と言われると嬉しい。
●組織型
 その組織にいることを誇りに思う。会社が好き。組織での役割・責任でやる気になる。
●職場型
 組織型の一種。そこにいる仲間と一緒に仕事をするのが楽しい。
●生活型
 仕事で得たお金で得られるものがやる気の源泉。家族、趣味、買い物などが目的。

「仕事型」は、仕事そのものや、お客様の役に立っていることをやりがいに感じるタイプ。
仕事が本当に充実していれば、実はお金や生活のことはあまり気になりません。ただし「仕事型」の人は、仕事にやりがいが感じられなくなると会社を辞めてしまう傾向もあります。
 仕事自体をモチベーションリソースとして維持し続けていく最適なマネジメントの一つは、裁量権を持たせることです。
 あるブライダル企業では、1顧客1担当という制度を行なっていて、1人のプランナーに1つの結婚式をすべて任せることで社員のモチベーションを高めています。
 それはそれで大変な仕事なのですが、その会社では「いい結婚式をつくる」「その日を最高の1日にする」と、目を輝かせ、嬉しそうに仕事の話をしています。
 裁量権が大きくなればなるほど、「仕事型」の人のモチベーションは高まります。

「組織型」は、会社や組織そのものに誇りを持っているタイプ。
 たとえば大手広告会社やテレビ局の社員などがその代表例といえるのかもしれません。
 オリエンタルランドやスターバックスのように理念に共感し、誇りを持って働いていクルラントやスターパックスのる会社のスタッフも、組織の一員であることをモチベーションリソースとしていると思います。
「組織型」の人のモチベーションを高める方法は、会社のミッション、ビジョン、バリューといった理念を徹底的に浸透させ、共感をより高めていくこと。あるいは、組織内での役割や責任などといったステイタスを積極的に与え、組織の一員であることを強く自覚させていくことです。
 会社自体のステイタスを上げることも、「組織型」の人のモチベーションをより高めます。

「職場型」は、自分が所属しているチームや職場が好きなタイプ。
 そこにいる仲間と同じ時間を過ごすことや一緒に働くことが楽しければ、仕事内容にはそれほどこだわらない人も多くいます。「職場型」の人のモチベーションを高める方法は、仲間意識を高めていく施策を打つこと。
 新年会、忘年会、社員旅行、運動会といったイベントやレクリエーションを積極的に行なうことが、「職場型」の人たちのモチベーションを高めるかもしれません。サンクスカードなども効果があります。長らく廃止していた運動会を復活した会社もありました。オフィスにパーやカフェを設置するなど、社員同士の交流を深めやすい環境をつくることも、職場型のモチベーションリソースとなり、仲間意識を高めていく効果があります。

「生活型」は、仕事自体や会社、職場ではなく、休日に旅行に行ったり、映画を観たり、買い物に行くなど、仕事以外の楽しみを生きがいとしているタイプ。
 生活型の人にとっての「いい会社」とは、より多くの収入を得られることや残業や休日出社がないことです。
 ワークライフバランスを重視した効率のよい働き方を実現し、手当やインセンティブをつけることが、「生活型」の人たちにとってのモチベーションを高めるでしょう。
 ここで気をつけなければならないことは、「みんなが生活型ではない」ということです。「給料を上げれば社員のモチベーションは高まるだろう」「インセンティブをつければやる気を出すだろう」という生活型だけでの施策は際限がなく、効果も長続きしません。給料が高く、休みが多い会社が必ずしも高業績とは限りません(そもそも高業績を維持できないはずですね)。前掲の図にあるように、モチベーションによっては、打つべき施策が違うのです。
 何をモチベーションリソースとするかは人それぞれ異なるものですが、企業のポリシーを定めることで一定の方向に導くことは可能です。
 あなたの会社の社員には、何を「やりがい」として働いてもらいたいのか、ぜひ考えてください。


 能力は目に見えませんが、行動は目で見て確認することができます。結果としては成果に結びつかなくても、成果につながる行動をしているのならば評価の対象にできます。
 成果はもちろん大事ですが、成果は「運・環境」によっても左右されます。
 成果だけを判断基準にしてしまうと、評価を誤りやすく、給与額の変動も大きくなりすぎることが多く、社員が安心して仕事に打ち込むことができなくなります。

 
▪️ハーズバーグの二要因理論
・職務満足度事象/動機づけ要因
 達成すること
 承認されること(顧客・組織内)
 仕事そのもの
 責任(任されること)
 昇進・成長

・職務不満足度事象/衛生要因
 経営方針・管理体制
 上司との関係
 給与
 同僚との人間関係
 作業条件(労働環境・時間)

 ここでは詳述しませんが、ハーズパーグによれば、「給与」は、衛生要因(それがないと、やる気がなくなる要因)とされています。逆にいえば、「給与がもりもりあっても、やる気が増えるわけではない」とされています。
 私にも経験がありますが、それなりに昇給してもらったとき、そのときは一瞬やる気が出るのですが、しばらくすると元に戻ります。そういうものではないでしょうか。
 場合によっては、昇給しても「思ったほど上がらなかった」と思われれば、モチベーションを下げてしまうこともあるでしょう。給与が上がってもモチベーションが下がることがあるのです。
 お金以外のモチベーションの要素は、前述のように、仕事型や組織型・職場型などさまざまあります。
 給与が安くても、社員が生き生きと働いている会社はたくさんあります。
「給与を上げていきたい」という思いはとても大切ですが、それだけでモチベーションを買い続けるのは難しいのです。


▪️事業サイクル
・新規領域:新たなチャレンジを試しながら、実現を目指す領域
 リーダーシップ<効果性>
 トライ&エラーを繰り返し成長領域を見出す。
・成長領域:急成長しながら仕組みを構築していく領域
 マネジメント<効率性>
 仕組みを構築する。スピードを加速する。優先順位をつけ、PDCAを高速で回す。
・安定成長領域:仕組みを改善して徹底的に効率化を図る領域
 マネジメント<効率性><改善>
 無駄をなくす。仕組みを回す。
・変革領域:スクラップ&ビルド 事業を見直し改革を行う領域
 リーダーシップ+<改革><効果性>
 捨てる。再構築する。


▪️リーダーシップ/マネジメント ――自社に最適な比率
 よくビジネス現場で使われる言葉に「リーダーシップ」と「マネジメント」があります。この2つは概念が異なるといわれます。
 リーダーシップは、「動きをつくる」ものであり、マネジメントは「無駄を減らす」ものであるともいえます。

 創業・新規領域と変革領域では新たな動きをつくる「リーダーシップ」が重要です。
 これまで通りではダメなのです。しかしこれには「無駄」がつきものです。トライアンドエラーを繰り返すわけですから、失敗と無駄の宝庫になります。
 可能性のある方法を探し続けるのです。100回やってみて、100回とも失敗するかもしれません。壮大な無駄です。しかし、この無駄をしないと、新しいビジネスは立ち上がりません。

 一方、成長期・安定期には効率性(仕組みをつくり無駄を省く)を追求する「マネジメント」が重視されます。やるべきことはある程度決まっているわけですから、仕組みをつくって、無駄を省いていきます。
 安定期におけるミドルマネージャーの「リーダーシップ:マネジメント比率」はおおむね「19」といわれます(比率1というと小さいかもしれませんが、安定期だとしても、一週間のうち丸半日は、「いまやらなければならないこと」ではなく、「新しいこと」「変えること」に取り組む必要がある、ということです。結構大きな比率です。なかなかできるものではありません)。
 上級マネージャークラスでは「2:8」とされます。組織の上位層に行くほど、リーダーシップ要素がより求められます。
 求める人材像をどちらに重きを置いて設定するか。企業ステージを踏まえながら判断する必要があります。


▪️人材ポートフォリオ
・コア
 組織を通じて変革と価値創造を行なう人材。企業や事業の方向性を打ち出し、新たな価値を創造しようとし、それを実現させます。経営層及びその候補とも言えます。コア人材の育成には、多岐に渡る経験が必要であり、ゼネラリスト的にいろいろな事業や部署を経験させながら、マネジメントとリーダーシップの双方を育成していく必要があります。長期的な育成視点が必要です。
・スペシャリスト
 個人として、変革と価値創造を行ないます。社内で育てる場合は、職種間異動を想定せず、1つの専門分野で経験を積んでもらうほうが効率的です。「ジョブ型」に合う育成方式となります。
 ただしスペシャリストをすべて正社員として育てるかは要検討です。社内育成だけでなく、外部活用(弁護士や会計士や、ITエンジニアのフリーランスなど)も多く見られます。
・オペレーティングマネージャー
 組織を運用・管理する人材。店長・職長などです。かつての一般的な日本のサラリーマンの管理職ともいえます。
・オペレーター
 定型的な業務を運用する人材。正社員とは限らず、アルバイトなどを活用する場合も多いでしょう。マニュアルなどの手順があり、想定された結果を出すことを求められます。


 どのような人材に来てほしいか、残ってほしいかによって、採用広報におけるメッセージは大きく異なるはずです。
 ワークライフバランスをアピールしてのコア人材採用は難しいでしょう。コア人材には「ハードワークだが経営を担うチャンスがある」、スペシャリストならば「たいへんな仕事だけど専門的知識・技術を身につけられる」といったメッセージを発することが必要です。


▪️新卒採用の目的の例
 「企業のコア人材に育てるために、複数の部署や地域を経験し、広い視野と高い視点を持たせるための中長期的な育成期間を持つことができる、ポテンシャルが高く、一方で給与水準が最も低い層は新卒だ」といったものでした。数年以上の育成期間に、高い給料は払えません。


 退職率の高い企業の特徴の一つは、社員のキャリアステップが見えなくなっていることです。


 給与未満の働きしかしない人、成長しようとしない困った人には退職勧奨もあり得ます。解雇は難しいのですが、労働契約の合意解約という方法はあります。退職勧奨そのものは違法ではありません。辞めたくない人には、企業が求める行動と成果をきちんと要求しましょう。
 そうした環境が企業も人もより成長させていくのです。


▪️人事部門ポリシーの例
・会社のベクトル(理念・ビジョン・価値観など)と、社員のベクトル(キャリアビジョン・ライフビジョン)をできるだけ合一にしていくこと
・会社で働く人たちは、雇用形態に関係なく、その場を有意義に過ごしてもらいたいということ
・その会社で働くことで、その人が、将来、他社でも働けるようになってもらえること
・会社はそういう人たちが「世の中に価値を提供する」場であって、社員が「何を会社から得るのか」はその次であること
・与えるものと得るものを取り違える人に対しては厳しく当たること
・一生懸命がんばっている人を応援・支援すること。それを阻害する人がいれば戦うこと
・「変えるべきもの」と「変えてはならないもの」をしっかりと見極めること
・流行りものに安易に飛びつかないこと
・人事領域の全体像をつねに意識すること
・とにかく人事は人に対して悩むこと
・他責にならない。人のせいにしないこと。そういう人には厳しく当たること
・「ならぬものはならぬ!」とはっきり言う勇気を持つこと
・裏はあっても影はないこと
・社員をよく知ること、そのための努力をすること
・自分を知ってもらうこと、開示すること
・されど、人はわからない。わかったとは決して過信しないこと
・ルールとしての規程(就業規則等)はものすごく大切。それが人事の憲法。公正さを担保する。しかし、人生ひとそれぞれ。社員が個別に抱えている悩みはさまざま。個に対しては真摯に対応すること

「裏はあっても影はない」というのは、自分で考えて、「けっこう人事らしい」と悦に入ってしまったのですが、「人事担当者がすべて本当のことを話しているわけではない」ということは周知の事実だと思います。すべての情報を伝えられるわけでもなく、すべて本当のことを語るとも限りません。端的にいえば、それは嘘をついていることにもなります。しかしそれはある程度社員もわかっていると思います。その嘘といえるものが、「相手のためである」ものであるなら、やむを得ないときもあると私は考えています。
 その意味で「裏」はあるのです。
 しかし、人事担当者が「自分のための嘘」をついてはなりません。それでは信頼を失います。自分のための嘘は「影」になります。「ダークなサイド」です。難しいことですが、これが社員に伝わっていれば、人事部門はある程度信頼されると考えています。

「規程はものすごく大切、しかし、個に対しては真摯に対応する」というのは、人事規程類は人事としては遵守しなければならないことで、これが大前提ですが、規定されていない事象や、解釈の問題が起こることもあります。個々の事情を踏まえて、どうすればできるだけ社員に寄り添うような対応ができるのか、それを真摯に悩むべきだと考えます。
 もちろんその前提は、「与えるものと得るものを取り違える人に対しては厳しく当たること」「一生懸命がんばっている人を応援・支援すること。それを阻害する人がいれば戦うこと」にある人材に対してです。そのためにも社員個々人を知っておく必要があるでしょう。面談できればよいですが、社員数が多い場合には、自己申告制度などで情報を得ておくこともできるでしょう。評価会議での情報収集もできます。

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2024年03月02日

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