あらすじ
早朝のベルリン大聖堂に、深紅の血が降り注いでいた。丸天井の下、頭上10メートルほどの位置に、女性牧師が吊り下げられていたのだ。通報を受けて殺人現場に駆けつけたトム・バビロン刑事は、信じがたいものを目撃する。被害者の首には、カバーに「17」と刻まれた鍵がかけられていた。それはかつて、トムが少年の頃に川で見つけた死体のそばにあった物と同じだった。鍵は10歳で失踪した妹が持ちだしていたのだが、なぜ今、ここに現れたのか。謎を追ううちに、トムは恐るべき真相を暴きだす。圧倒的スピードで疾走するドイツ・ミステリ!
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Posted by ブクログ
個人的には2025上半期一番面白かった!
ここが良い!
・細かいミスリード
・先が気になる構成、描写なので飽きがこない
・設定はシンプル王道なのに、楽しめる
ここは好き嫌いありそう
・シンプル王道、長い
・殺害方法がえぐい
・最後の、犯人クリスティアン(ゼバスティアン)との対峙、戦闘描写が急に雑
・散りばめた伏線があり過ぎる
・ユーリ・サルコフとかいう日本翻訳版が出てない作者デビュー作の登場人物の謎クロスオーバー
・登場人物に魅力が、、、キャラクターで読ませる小説ではない
ミスリードが上手。ヴィーは『アルプスの少女ハイジ』が大好きでぼろぼろ泣いたという過去の章の描写。本当に些細な描写で、大分後になってから、クララとその名前の由来が明かされたから(ページ数だとP93→356)、阿呆みたいに普通に騙された。
ただ、伏線置きっぱなしなの沢山あるから2ヶ月連続刊行にしたのは大正解だと思う。
この作品楽しめた人は、J・D・パーカーの『悪の猿』3部作も楽しめると思う!
Posted by ブクログ
ドイツの作家、マルク・ラーべの刑事トム・バビロンシリーズ。本邦初の作品で、2ヶ月連続刊行と出版社激推しの様子。
大聖堂に吊るされた死体にかけられた17の数字の鍵。この鍵を見たトム・バビロンは戦慄する。それは子供の頃のある冒険に繋がるものであり、行方不明となった妹が持ち去ったものだったからで…
ドイツ発のジェットコースターミステリ。次から次へと意外な展開が起こる。確かに、出版社が力を入れるのがわかるほど。ミステリや警察小説としては若干弱い気がするが、そんなことを気にできないくらいグイグイと引き込まれる面白さ。おすすめです。
暴走気味の刑事トムと、その相方のようなポジションの心理士ジータ。この二人の立ち位置がそこまで描かれるわけではないので、次巻以降か。楽しみ。
Posted by ブクログ
ベルリンの壁崩壊からその後の社会を背景としたミステリは初めて読み大変楽しめた。主人公の悔やむべき過去と苦めの現在が交互に語られ、東ドイツの旧体制を下敷きに重めの展開であるが、地道な捜査から真相を追い詰めるスタイルは好きで、正統ミステリとして読み応えがあった。警察内にも非常な確執があり、人間関係がかなり錯綜するなかでのドラマは面白い。行方不明の妹や犯罪の全体像・もう一人の犯人?など謎がそこそこ残され、次作「19号室」もすぐ読みたくなるが、その気持ちを抑え、4部作の残りの2冊が早く出版されるのを期待している。
Posted by ブクログ
時代というか時間がコロコロ変わるけど、そんなに大きく行き来するわけじゃないから読みやすい。
最後の方の登場人物ごちゃごちゃしてちょっと分かりにくかった。カタカナ苦手過ぎて海外小説向いてない?笑
ジータどんな顔か気になって想像が膨らむ。
Posted by ブクログ
ドイツミステリということで、主人公のトム以外なかなか登場人物の名前が頭に染み込まなくて何度も冒頭の登場人物ページを行き来しながらもほぼ一気読みした。主人公のトムがかなり暴走するのでハラハラしっぱなしだったけど、相棒のジータでかなり救われた。
過去と現在が行き来する書き方でも混乱なく読める。
犯人とその動機は結構強引。
でも作品として妙な魅力あり。
今作では過去で起きた事件のほんの一部が紐解かれただけなので次作も読みたい。
Posted by ブクログ
天使のように吊り上げられた死体。死体の首には17と書かれた鍵。それは刑事のトムが少年時代に川底で発見した死体が持っていたものだった。そしてその鍵を持ってトムの妹ヴィーは失踪した。ヴィーの死を受け入れられないトムは、この鍵がヴィーへと導いてくれるのではという個人的な理由から捜査を進めていく。その中で、かつて死体を発見した時に一緒にいた幼馴染たちのもとにも同じ鍵が送り付けられていたことが発覚する。
一方トムの相棒となったジータは、精神病院に入院するクララという女性とコンタクトをとり、そこに今回の事件と少年時代のトムが発見した死体の一件との関連を見出していく。
凄惨な犯行現場に迫り来る犯人の魔の手と、終始スリリングな展開。ヨーロッパの中でもとりわけ冷戦の影響が大きな影を落とす国ドイツを舞台としていることもあり、ほんの数十年前の出来事であっても得体の知れない巨悪が暗躍している不気味さがある。終盤はやや呆気なかったが、次作に続く大きな謎を残している。