あらすじ
『ガリア戦記』は、希代の英雄ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)が自身の征服事業について自らの手で綴り、書物として世に出したものである。こうした事例はほかになく、史上名立たる英雄の中で唯一の例である。二千年前から今日まで多くの読者を魅了してきた世界史上最も有名な戦記であり、現場の出来事をリアルに再現した「活きた」ローマ史ともいうことができる。カエサルといえば、ローマ帝国拡大の立役者。とりわけ、その軍事的天才と悲劇的な最期によって今日でも人気が高い。さらにこの戦記で発揮された文章の魅力は、キケロやモンテーニュ、日本では小林秀雄が絶賛するほどのものであった。本書は、その最大の特徴である「簡潔な独特の文体」を再現することに成功している。カエサルが戦闘においていかなる知略を発揮したか、また、いかに言葉巧みであったかを、読者はつぶさに体験することになろう。『ガリア戦記』が一大古典となった秘密がここにある。さらに本書では、訳者が当時の政治、民族、軍隊等について詳細な解説を付し、適宜地図を挿入することによって、読者の理解を助けている。 「名訳で、カエサルの時代が目の前に蘇る!」――出口治明氏が推薦。
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Posted by ブクログ
ややこしい本を読む方法で紹介された名著である。単なる日記かと思っていたら、解説が100ページあり、漢字にはふりがなが振られ、各章の前には丁寧な地図が掲載されていた。したがって、小学生でも読めるようになっているので、名著をこれで読むのは最適である。
Posted by ブクログ
今から2000年前にカエサルが記したとされる8年に及ぶガリア遠征を記した作品。歴史的にも非常に価値のある書物を現代で読めること自体が貴重な読書体験であると思う。
本文に関しても非常に読みやすく、訳が不自然なところもほとんどない。
部族を抑え込むための根回しや、戦闘時の軍の配置や戦略など非常に細かい部分まで記載されていて興味深かった。
一方でカエサルが強すぎるが故に連戦連勝でスリリングな展開が少ないこと、文章が端的すぎて単調に感じてしまうこと、作品自体のボリュームがあることといった理由から、中盤〜後半にかけて飽きがきてしまった。
ガリア戦記に関しては、塩野七生のローマ人の物語にも記載があるため、そちらの方がオススメ。そこから入ってどうしても原文を読みたくなった人が読むと良いかもしれない。