あらすじ
私たちの体を構成する細胞の中で、日々、劇的な変化、大規模な「リサイクル」が起きていることが分かった! からだをつくるタンパク質で言えば、食事を通して摂取する実に3倍もの量のタンパク質を毎日、分解しては、また新しく合成していたのである。こうした細胞内で起きている主な分解方法が、オートファジーである。オートファジーは、細胞内を毎日、きれいに掃除しては、その中身を新しいものに置き換える、重要な働きをしていた。これで、たとえば、シロクマが何日も食べなくても生きているわけがわかった。食料がなくとも、自分の細胞の中のものを「食べて」いた!なぜこうした仕組みが備わっているのか、この仕組みはからだの成長や老化、病気や免疫とどう関わっているのか。いまやオートファジーは、生物学者や医者たちから熱い注目が寄せられている生命現象である。従来の生命観を大きく変える、オートファジーのホットな話題を提供する。
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Posted by ブクログ
皆さんが気になるとこだけ
オートファジーとは→細胞内でおこる掃除、リサイクル。
・掃除?リサイクル?→
細胞内の古くなったミトコンドリア等の部品を分解して
色んなタンパク質に作り変えるみたい。
栄養が無い時にも起きる。(飢餓対策)
・出来ないとどうなるの?→
掃除が出来ないのでゴミ細胞、つまり腫瘍になる。
脳細胞だとボケやパーキンソン病に。
その他、リウマチやクローン病など色々あるかも?
・オートファジーでダイエットできるの?
→殆ど期待出来ない。あくまでゴミ掃除なので、
いざという時の為の貯金である脂肪は対象外。
・飢餓の時にオートファジーが活性化する。
という事は低カロリー環境だと長生きするの?
→細胞レベルではそう。人間の寿命にどれだけ影響するかは不明。
まとめ
オートファジーは難病の解明や老化抑制の夢が
あるという事!!
Posted by ブクログ
「オートファジー」はそのメカニズムを分子レベルで解明されたことで、2016/10に大隅良典氏がノーベル生理学・医学賞を受賞し話題となりました。著者は大隅氏の愛弟子で、2011年刊行時点のオートファジー研究の最前線についてまとめています。この分野が進展してきたのはわずか10年足らずのこと。本書でも「まだまだ研究段階」という旨の言葉が何度も登場します。そんな発展途上かつ注目の集まる研究の最前線に触れられるのは有難い限り。
ヒトの生命を支える必須機能というのはニュースで耳にしていましたが、動植物にも備わっているとは驚きでした。医学はもちろん、生物学・植物学など多方面で大きな影響を与えることとなりそうです。
~memo~
・前提として、体中のタンパク質は分解されアミノ酸に変化する。アミノ酸は人間の呼吸や食物の消化を司る(=生命活動を維持)
・何らかの理由で“絶食状態”となり栄養が補給できなくなった時、細胞内のタンパク質が真核細胞内にいる「リソソーム」によって通常より過剰に分解(=オートファジー)された結果、一時的に飢餓を耐えうる栄養分を得る
・神経細胞など寿命の長い細胞内の不要物を分解→消化する作用も持つ(細胞内が不衛生だと新陳代謝がうまく行われない→神経変性、腫瘍形成などを招く恐れ)
・パーキンソン病の病態解析にもオートファジーが関連しそうだと期待が寄せられているが、オートファジーの持つ浄化機能が裏目に出て、体に必要なウイルスまで攻撃しかねない恐れがある
・細胞内の浄化という観点から、寿命延長効果も期待されている
・正常時の細胞ではオートファジーはほとんど発生しない
・絶食時は神経細胞以外のほとんどの臓器でオートファジーが起こる
・「オートファジー不能マウス」を用意した結果、栄養を取らず飢餓状態にすると約12時間で死亡した
・人間が飢餓状態になると最初は生き延びるものの、絶食が続き体内のエネルギーの蓄えも尽きるとタンパク質が急激に分解され、数日間で死に至ると予測されている(予測のみ。検証は極めて困難)
・植物が飢餓状態になると正常時より早く花が咲き老化が促進される。また、痩せた土地でも同様の状態(種を残そうとする植物に備わった機能)