あらすじ
私たちの体を構成する細胞の中で、日々、劇的な変化、大規模な「リサイクル」が起きていることが分かった! からだをつくるタンパク質で言えば、食事を通して摂取する実に3倍もの量のタンパク質を毎日、分解しては、また新しく合成していたのである。こうした細胞内で起きている主な分解方法が、オートファジーである。オートファジーは、細胞内を毎日、きれいに掃除しては、その中身を新しいものに置き換える、重要な働きをしていた。これで、たとえば、シロクマが何日も食べなくても生きているわけがわかった。食料がなくとも、自分の細胞の中のものを「食べて」いた!なぜこうした仕組みが備わっているのか、この仕組みはからだの成長や老化、病気や免疫とどう関わっているのか。いまやオートファジーは、生物学者や医者たちから熱い注目が寄せられている生命現象である。従来の生命観を大きく変える、オートファジーのホットな話題を提供する。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大隅先生がオートファジーの研究でノーベル賞を受賞される5年前に出版された本である。この本の中では「まだわかっていない」とされていたことの中には、現在では解明されたものもあるのだろう。オートファジーについて、やさしく解説された新しい本があれば、ぜひ読んでみたい。
この本は詳しく分かりやすく説明されており、オートファジーについて予備知識がなくても理解することができた。特に、酵母が生物実験に適している理由を知ることができたのは興味深かった。酵母は一倍体であり、わずか二時間で分裂する。一倍体の酵母には性があり、接合させると二倍体にもなる。この特性を利用して、遺伝子の優性や劣性を調べることができる。酵母って、すごく便利な存在なんだなと思った。
オートファジーが正常に機能しないと、受精卵が成長できず赤ちゃんが産まれないことや、パーキンソン病の原因になることを知り、その重要性がわかった。また、がん細胞がオートファジーを利用していることには驚かされた。腫瘍に血管が通るまでの間、オートファジーによって栄養をやりくりしているらしい。オートファジーの研究が進み、がんの新薬が開発されることを期待したい。
免疫に関する部分は難しく、理解しきれなかった。今度、ブルーバックスの『新しい免疫入門』を読む際には、この本の免疫に関する章も合わせて読みたいと思う。
Posted by ブクログ
オートファジーとは?を学べる1冊。オートファジーの仕組みと役割が様々な例を用いて分かりやすく書かれている。類書で更に理解を深めたいと思わせる1冊。
Posted by ブクログ
2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した「オートファジー研究」。受賞者である大隈良典先生と共に研究してきた愛弟子・水島昇先生が「オートファジーの仕組み」ついて分かりやすく解説した本。
オートファジーは栄養飢餓に応答して誘導される細胞内の分解システムの一つで、真核生物特有の現象です。自分自身、オートファジーに少し関連する研究を行っているため、オートファジー研究の歴史を学ぶ意味で本書を読んでみました。オートファジー研究はここ数年で急速に発展してきた分野で、まだまだ未解明な部分が多いことを実感しました。
Posted by ブクログ
すごい面白かったです!
オートファジーは週刊少年ジャンプで登場したこともあり栄養がない状態で自分自身の食べることで栄養を得るという認識で知っていました。
今回この本を読ませていただいてオートファジーにはそれ以外の役割もたくさんあり、未だ謎多きものなのだと分かりました。
私たちが生きていくいく中で重要な役割を担っているであろうオートファジーについて新しい発見がある事をこれからも楽しみにしています。
Posted by ブクログ
「オートファジー」はそのメカニズムを分子レベルで解明されたことで、2016/10に大隅良典氏がノーベル生理学・医学賞を受賞し話題となりました。著者は大隅氏の愛弟子で、2011年刊行時点のオートファジー研究の最前線についてまとめています。この分野が進展してきたのはわずか10年足らずのこと。本書でも「まだまだ研究段階」という旨の言葉が何度も登場します。そんな発展途上かつ注目の集まる研究の最前線に触れられるのは有難い限り。
ヒトの生命を支える必須機能というのはニュースで耳にしていましたが、動植物にも備わっているとは驚きでした。医学はもちろん、生物学・植物学など多方面で大きな影響を与えることとなりそうです。
~memo~
・前提として、体中のタンパク質は分解されアミノ酸に変化する。アミノ酸は人間の呼吸や食物の消化を司る(=生命活動を維持)
・何らかの理由で“絶食状態”となり栄養が補給できなくなった時、細胞内のタンパク質が真核細胞内にいる「リソソーム」によって通常より過剰に分解(=オートファジー)された結果、一時的に飢餓を耐えうる栄養分を得る
・神経細胞など寿命の長い細胞内の不要物を分解→消化する作用も持つ(細胞内が不衛生だと新陳代謝がうまく行われない→神経変性、腫瘍形成などを招く恐れ)
・パーキンソン病の病態解析にもオートファジーが関連しそうだと期待が寄せられているが、オートファジーの持つ浄化機能が裏目に出て、体に必要なウイルスまで攻撃しかねない恐れがある
・細胞内の浄化という観点から、寿命延長効果も期待されている
・正常時の細胞ではオートファジーはほとんど発生しない
・絶食時は神経細胞以外のほとんどの臓器でオートファジーが起こる
・「オートファジー不能マウス」を用意した結果、栄養を取らず飢餓状態にすると約12時間で死亡した
・人間が飢餓状態になると最初は生き延びるものの、絶食が続き体内のエネルギーの蓄えも尽きるとタンパク質が急激に分解され、数日間で死に至ると予測されている(予測のみ。検証は極めて困難)
・植物が飢餓状態になると正常時より早く花が咲き老化が促進される。また、痩せた土地でも同様の状態(種を残そうとする植物に備わった機能)
Posted by ブクログ
本棚から落ちたのを手に取ったら、偶然にも先輩方の研究テーマだったので、
オートファジーのあらましが分かりやすく解説されている。このように面白い現象が、最近まで見過ごされてきて、そこに注目を集めたのが日本の科学者たちだったのいうのは心強い。
特にマイトファジーで、起源的にマクロファジーに通じること、悪くなったミトコンドリアを認識しているという点が興味深かった。
Posted by ブクログ
細胞内の洗浄、エネルギーリサイクルシステムであるオートファジーという現象をわかりやすく解説している。また、著者が最先端の研究に携わっていることもあり広範に渡る最新の状況を知ることができる。まだまだ分かっていないことのほうが多いものの、オートファジーが生命維持に非常に重要な役割を果たしていることが理解できた。