【感想・ネタバレ】移行期的乱世の思考 「誰も経験したことがない時代」をどう生きるかのレビュー

あらすじ

世界は今、「お金とテクノロジー」に支配されきってしまった感がある。そんな中で、著者の省察では、「日本は、誰も経験したことがない時代」に突入した。どういうことかというと、まず、人口が減少を始めた。このことは、経済という観点から見れば、右肩上がりの経済成長は見込めないということを示し、したがって、日本としては、「経済成長のない未来」を考える必要に迫られた。また、その経済成長にともなって運営される筈の、民主主義ということにも、見直しをせざるを得なくなった。さらには、いつになったら解決するのかわからない、「フクシマ」という問題を抱え込んだ。これらはいずれも、「解き難い問題」であり、それを含んだ未来を我々はいかにして肯定的に考えてゆくべきなのか。これまでの著者の問題意識を総覧した、「平川克美への入門書」というべき一冊である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「経済」というジャンルで一括りにできるかどうか。
現在の我々が置かれた状況では「経済」はいかに生きるかという「思想」と分かちがたく結びついている。

人口の減少、ものづくりから金融・情報サービスへの経済の移行、新自由主義経済の破綻と不均衡…

様々な問題があるがそれらは根本的にすっきりと解決できるものではなく、個別になんとかやりくりしながら粘り強く耐えていくしかないのかもしれない。戦後の高度経済成長という歴史上希有な「幸せな時代」を懐かしむのではなく、リアリスティックに現代を生き抜く逞しい知性と身体性をもつことが必要である。

そんな現状把握に最適な一冊。

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2013年02月03日

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