【感想・ネタバレ】ステップのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公である父と娘の日々の成長物語。

登場人物達が、様々な形の温もりを持って接してくれる。その温もりを感じ取れるのも、朋子を亡くした悲しさを持つ、思慮深い主人公ならではのようで、じんわりと胸に来るものがあった。
また、全てが2人の成長に繋がっていて、ステップしていく様が、読んでいて微笑ましく素敵でならない。

ゆっくり抱っこしてもらえなかった幼少期や、学校での嫌な経験や寂しさを経て、
わたしは、世界一幸せな女の子とだと思います。
と書ける美紀ちゃんは、朋子へのメッセージ通り本当に優しい子なんだと思えた。

言葉への微妙な意識や、そっと目を逸らす配慮など、細やかな動作だけでどんな人物なのかが伝わったわり、この作品に出逢えたこと、それがまた小説で出逢えたこと、本当に良かった。素晴らしい本である。

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2023年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

すごく良かった。なんかもう、ずっと泣いてた。

なあ朋子、パパの抱っこはホネホネしてて痛いんだってさ
あんちたたちのママは、しんだらいなくなっちゃうの?
朋子が僕に残してくれた中で最も大切なものは悲しみだったのかもしれない

心揺さぶられる言葉やセリフがあちこちにあって、泣きすぎてひいひい言ってる私を、子供たちが不思議そうな顔で見ていた。

原先生の言葉の端々に引っかかってしまうところや、お母さんは家にいますと言った美紀の言葉を嘘と言われた時の感情の動き方がすごくリアルで、同じ立場ならきっと私もこう思うだろう、そしてそれを口には出せないだろう、と思った。

こういう話でありがちな、性描写や生理が来たときのエピソードなどがなく、作者が登場人物を尊重し、大切に思っているような気がして、そこも好きだった。

義父の『最初で最後の親父の説教』にも泣かされた。
みんなに愛されて優しい子に育った美紀は、おじいちゃんとの別れの悲しみを胸に、それを優しさに変えて一生懸命に生きてゆくのだろう。

この作品に出逢えて良かった。

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2023年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とんびの女の子版みたいな感じですが、こちらは普通のサラリーマンが主人公。

悪くはなかったですが、雑誌連載時の原題は「恋まで、あと三歩。」だったようで、各章にゲストの女性キャラが現れ、主人公が再婚相手としてどうかと悩むあたりが、リアルではある一方、小説としてはちょっとどうかなと思ったりもしました^^;。ただ、娘が保育園から小学1年生に上がった時、信頼する元上司に対して言った愚痴「学校っていうのは、ふつうの子どもや家族のための場所なんですよ」はなかなかにして深いと思いました。

恐らくこの話の肝は義父&義兄との関係にあると思いますが(ちなみに何故か実の両親は一切登場しないです)、それをどう捉えるかによって感想が変わってくるかも??

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2023年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

暖かい小説だった。

「妻」を亡くした夫が主人公。
そしてそこに「お母さん」がいない娘と
「娘」を亡くした義父母、「妹」を亡くした義兄達との10年間を描いた物語。

それぞれの立場が凄くわかる。得に小学校や会社などで「普通」の人達から浴びされる無意識のナイフに傷つけられるのがとてもリアリティがあり、それを乗り越えていく過程に凄く力を貰った。

ただ、途中から楽しめなくなってしまった。
モヤモヤが心に広がり、どうしても読む度にそのモヤモヤが気になってしまい、響く言葉も響かなくなってしまった。以下のモヤモヤは僕が気にしすぎてる事なのだと思う。だから書いてスッキリしたいだけなので読むことはオススメしません。(この本が好きな方は気分を害するかもしれないので)




以下小言。

主人公が好きになれなかった。途中から主人公の行動が自分には理解できなくなってしまった。

小学4年生の娘が家で一人で待っている状況。
残業はまだ仕方がないとして、その後たいして親しくない社員に対して食事を誘う。

「いや、家で娘が待ってるんだから帰ってやれよ」

と思ってしまった。
自分が小学生の頃、夜になっても親が帰ってこないのはとても寂しかった。しかもこの話では娘は独り。母は死別してる。そんな悲しみを抱えてる娘を1人残して、何故親しくない部下(女性)を食事に誘える神経があるのだろう。
そういう事をするなら、義父母と一緒に同居するくらいはすべきだったのではと思ってしまった。もちろんそれが何となく「嫌だ」というのは分かるけど、それなら娘を平気で家に独りぼっちにするな。と思ってしまった。今まで「ひとりぼっち」という事に過敏なくらい描写をしてきた重松清だったからこそ、その部分が気になってしまった。

そしてそこからは、主人公色んな女性にコロッと好きになるなと思ってしまった。妻を亡くすのって、自分の好きな人を亡くす事だから辛いことだし、時間が経つにつれて他の人に気持ちがうつるっていうのも何となく分かるんだけど、、分かるんだけど、なんか節操なく色んな人を「この人が妻だったら」って思ってて。。そこも自分には「うーーん??」と思ってしまった。

娘さんの気持ちや、義父母の気持ちをしきりに出して自分を正当化するけど、本当は自分が「相手が欲しい」んだと言うのが見て取れるし、その部分の描写が少なく感じて、娘に「お母さん」がいないことを、自分が新妻を迎え入れる理由にしてる感じがして
「自分が欲しいだけだろ」
って思ったし、作中でも言及はあったけど、少し娘の気持ちに対して思慮が浅いところがあって、そこが見ていて「うーーーーんんんん」となってしまった。

細かいところが気になってしまってすみません。
とても暖かい小説なのは分かるし、義父母や義兄夫妻、みきちゃんや出てくる他の女性達もみな素敵でした。物語自体も主人公の心境も、共感できるところや琴線に触れるところはありました。ただ、どうしても途中から主人公の行動が気になってしまって、楽しめなかったので、☆3にさせたいただきます。

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2022年12月15日

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