あらすじ
プロレスに「最強」を復権させる!――かましてなんぼですよ、この世界は
日経小説大賞『散り花』に続く、美しく切ないプロレス讃歌第2章
どんな遺恨も因縁も、リングの上で白黒つける。そうでなければ夢がない。一度リングで“死んだ”男の死闘が、光を失いかけたレスラーたちの心に火をつけた――
札幌での立花と一ノ瀬の試合。週刊リングの寺尾は、一ノ瀬が立花の狂気を引き出したと書いたが、三島の印象は違った。一ノ瀬は立花の世界に引きずり込まれたのだ。この試合で終わってもいいと思わせる快感にも似た昂ぶり。甲斐の世界が対戦相手だけでなく観客をも手玉に取り、会場全体を支配するものなら、立花は二人だけの世界にしてしまう。一ノ瀬はそれに引きずり込まれ、呑みこまれた。立花はなぜジャパンに戻ったのか。総合格闘技への出陣は意外ではなかった。もともとそのスキルはあった。しかし、立花はプロレスに復帰した。(本文より)
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Posted by ブクログ
とにかく面白かった。
衰退してゆくプロレス界の現状と、集散離合するプロレス団体の内部事情をつぶさに描き、実にリアルな内容の小説だった。
50歳を超えたレスラーの新田の去就。
木山道場の立花、三島、森。
敵対団体の不破、甲斐、一ノ瀬など。
登場人物のキャラクターがそれぞれに立ち、それぞれの格闘シーンのリアルさの描写をハラハラしながら読んでいた。
三島が木山の元で栗の大木を斧で切り倒す場面や、対戦相手とのセメントの攻防など、その場面を容易に思い浮かばせてくれるような臨場感があった。
プロレス好きには大推薦です。