【感想・ネタバレ】コミック・ヘブンへようこそのレビュー

あらすじ

本書に登場するのは今日も何事もなく生きていくために奮闘する、私たちの周りの特別でない人たち。
24時間営業の地下マンガ喫茶での夜勤中に絶体絶命の危機を経験し(「コミック・ヘブンへようこそ」)、がん患者がかつらを探しに行き(「秋夕目前」)、つらい毎日を送る売れない俳優に奇跡が起こり(「ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期」)、兵役中のボーイフレンドを待つ女性たちが集まったインターネットコミュニティに没頭することもある(「IDはラバーシュー」)。
温かい視線とユーモアを交えながらSF、ホラー、コメディまで、韓国文学界の新鋭作家が放つ傑作短編集。
『ベル・ジャー』『危険なトランスガールのおしゃべりメモワール』が大好評、海外文学シリーズ「I am I am I am」第三弾!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

「シャーリー・クラブ」に引き続き、こちらもキュートな短編集!特に「恐竜マニア期」「IDはラバーシュー」「ミルクメイド」が好きでした。挿絵も可愛い。もっとパク・ソリョンさんの本読んでみたいな。

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2025年02月04日

Posted by ブクログ

【どこに連れ去られるかわからないポップさ】SF、ホラー、コメディー。なんでも書いちゃう作家の短編集。なんていうか、嗅いだことのない匂いがする作品だらけ。まさか、本を読んでいて初めて「えーっ?!」と叫び声を上げました。家にいて良かった...笑。

韓国女子ってパワフルだから大好き。ハン・ガン以来、すっかりハマってしまった韓国文学。果たしてこの沼に、行き止まりはあるのでしょうか。

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2025年02月03日

Posted by ブクログ

登場人物たちの今後の人生の中でふとした時にその日のことを思い出すんだろうなというような一日が描かれたショート作品だと思う
「ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期」と「恐竜マニア期」が好きだった

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

☆3.2
日常のワンシーンを切り取ったような短編集。以下それぞれの感想。

『コミック・ヘブンへようこそ』
嫌味で面倒な社長が監視する半地下の漫画喫茶で夜勤バイトをする主人公。客は一人だけだが、大雨でトイレの水が溢れ床は浸水する。
何とも鬱々としてくる現状とトラブル。停電したところで終わるのでその後の物語の布石か。と思ったがそうでもなく、ぷつんと幕を閉じる締めくくりが停電という明かりが落ちる現象になぞらえられているということか。ちょっと味気ない。

『自分の場所』
読んでて胸糞悪いばかりだった。韓国社会ってこれが前時代的だと分かりながらも横行しているのだろうか?陰湿で頭の悪い嫌がらせをインターン生を巻き込んで実行するチーム長のおっさん、とかいう地獄絵図。長が務まるんかお前に…。
ほんのりと希望が見えるわけでも、こんななかでも生きていきたいと思える小さな欠片を見つけるわけでもない、ジメジメと憂鬱で嫌さしか残らない話だった。

『ほとんど永遠に近いレスリー・チャンの全盛期』
急なSF。急にSF。でも面白かった。未来から来た映画屋とメン・スニョンのやり取りが軽快で良い。
実際にはバラバラにシーンごと撮影しながら、編集で時間の流れを作り上げる映画の作り方が未来では時間転移を使ってより壮大にバラバラな時間(時代)を切り取って映画にしているというのが、ファンタジーなのに順当に時代が進んだ結果のように感じられて面白い。AIじゃなくて生身の人間で…に一部の映画屋とコアな映画ファンがこだわっているというのも『物』のある特撮やホラーにロマンを感じる人々に通ずる(最近観た怪獣ヤロウという映画を思い出した)。
二十三世紀までのこれからの世界のあちこちに名優レスリー・チャンと無名俳優メン・スニョンがひょっこり現れ何某かの映画を撮っているのだとしたら、米粒は大さじ一では済まないどころか茶碗ですら持て余すのだ。確かにそれはほとんど永遠の全盛期と言えるだろう。婉曲表現も含め面白かった。

『ミニョン』
病院で目覚めた女性視点の掌編。〇〇とミニョンの数奇な人生、みたいなタイトルで映画になってそうな物語のイントロ部分という感触。

『秋夕目前』
癌患者のヨンジが従姉妹のスヨンの運転でウィッグを買いにいく話。
あ~〜〜〜二人とも不器用だなぁとつくづく思う。けれど確かに温かい良心が根っこにあって好きな話。ヨンジの父やら周りの大人達やらは作中でヨンジが言うようにほとほと呆れ返る思いだが。女の体裁がどうとか本家って言い方とか韓国で生きていれば割と身近にある常識なのだろうか。癌で髪の抜けた娘のウィッグが欲しいという願いにあんな返答する父親は日本じゃ馬鹿ほどぶっ叩かれそうだ。それでも嫌さばかりではなくこの二人のこれからは読んでみたいと思えて良い短編だった。

『恐竜マニア期』
わがままな姪っ子のおかげでお試しデート中の相手男性の意外な趣味が暴かれ、一気に惹かれていく話。こりゃあ可愛いよ。創作漫画としてTwitterやpixivで描かれていそうな感じ。さっきまで気にも止めなかったジンクスが相手を好きになった途端ふと頭をよぎる締めくくりがなんともショート恋愛漫画っぽさを感じる。
にしても何故『姪』がひらがな表記なのか。最初『めい』という名前の女の子もいるのかと思ったし、読みにくい。

『Love Makes the World Go 'Round』
さっき見かけた覚えのある回転寿司屋が本当にそこにあって、恋人に寿司を食べさせてやりたいと思ったから今そこに店ができたのだろうと考える語り手。なんともロマンチックな。タイトルはちょっとくさいレベルだと思うけど(訳者あとがきによるとパワーパフガールズからきているようだ)。
なんとなく米津玄師のがらくたという曲を思い出す話だった。

『IDはラバーシュー』
韓国独特のゴムシン(兵役に行った恋人を待つ女性)文化のフィールドで、嫉妬や羨望、見栄、焦燥、自己顕示欲や承認欲求が折り重なっていく様子がなんともまぁ醜く空虚。ゴムシンだグンカ君だは韓国特有とはいえSNS上のコメントや批判の応酬は日本と変わらんなぁと思う(訳者さんが上手く表現し直しているのかもしれないが)。
展開の大筋は世にも奇妙な物語にありそうなやつで、形式はラーメンズの小説家らしき存在が思い出される。
このタイプの『憧れの人物→正体の露呈→主人公が継承か?』という展開はもはや一つの型として濫用されている印象があるが、なかなかゾッとくるものやそう繋がるか!と楽しめるものは少ない。
日本にも兵役があったらこうなるんやろな〜と嫌に思った。

『ミルクメイド』
恋人同士らしき二人の会話劇。夢うつつな語らいの雰囲気。

全体としてどれも軽くサクッと読める作品ばかりなので、息抜きに一編読むには良い作品集だと思う。手が出しにくい海外作品への入り口、という狙いもあるシリーズらしく私自身韓国文学に手を出したことなく短編集なら丁度いいや、と借りたものなので狙い通りだったなぁと。
ただ読み応えはないし私にはあまり響くものがなかった。唯一SFは面白かったので同じ作者のSF作品があるなら読もうかと考えている。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

 面白いです♪

ちょっとショートショートっぽい短編が9編。

 SFと言っていいのでしょうか?
 不思議な世界の展開に、笑えます♪

 え! そう来る? そう終わる? の連続です♪

この世界、楽しいですよ♡

カラーの挿絵ページもカワイイです♡

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2025年02月12日

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