あらすじ
「これで、満足しましたか?」感情のない笑顔で私は共に戦った王子たちに問い掛ける。
聖女として異世界転移させられた私は――魔王討伐後の帰還を信じて、たくさんの想いを呑み込んできたのに。
「すまぬ、召喚術はあっても帰還術はないのだ」元の世界に帰してくれるというのは嘘だった。
裏切られた聖女は想いを寄せていた王子エルドレットにすら、何も言わず姿を消した。
――四年後、再会した聖女ヒカリとエルドレットは……この世界の仕組みを知る。
これは世界を救った聖女と、世界から彼女がいなくなって初めてその意味に気付いた王子の物語。
大改稿加筆で贈る、小説家になろうで大人気、聖女召喚譚新機軸!
感情タグBEST3
匿名
タグに『残酷』を加えて…
可愛らしい表紙絵に騙されないで下さい。ちっとも可愛らしい話ではありませんので…
第3章までは、文章が硬質で説明調で面白いと感じられず、Web版既読だったものですから、こんなに詰まらなかっただろうか可怪しいな… と思うのと同時に試し読みで読者獲得は厳しそうとも思いました。第3章までは、主人公ヒカリが聖女スキルを伸ばすまでの成長譚ですが、ここまでがこの作品のプロローグ、第4章以降が本編と言っていいように思います。
あとがきにWeb版と導入部分を変え、時系列を整え、王子エルドレット視点を加えた、とありましたが、いっそ新たに加えたエルドレット視点を冒頭に持ってきた方が、時系列的にも、この世界観を読者に理解させるにも良かったような気もしました。主人公ヒカリと一緒に読者にも理解して貰う、ということだったのでしょう。しかししつこく繰り返してしまいますが、導入部で読者の心を掴むというのは上手く出来ていないように感じられました。そこがとても残念なのです。
多くの人に読んで貰いたいと思う大好きな物語なのに、第3章までは誤字や文の捻れ等訂正したいところが5か所ほどあり、なろう系出版物における出版社(たいてい同じ会社)の校正力の低さ(誤字報告機能頼み)にいつものため息が出ました。何故か第4章以降、文章も熟れてきたのか生き生きと感じられ誤字等も見られなくなりました。これは不思議でした笑。
紹介文にもあるように、聖女ものの新機軸に同感ですし、さらに劇中劇のように繰り広げられる悪役令嬢ものもバッドエンドの面白さとその残酷さはもちろんR15です。これは第4章以降の内容ですが、ここが上巻のクライマックスであり下巻への伏線でもあり、Web版でも凄い展開と思いましたが、下巻での展開を知る身としましてはワクワクしつつ切なくて怖くて苦しくもあります。う〜 一段と心を抉るR15シーンがね、まだあるのですよ、本当に凄い構成の物語です。
導入部分は詰まらないと言いましたが、タイトル回収の後は、俄然、面白さが爆上がりし、あっという間に読み終え下巻が愉しみになっています。文句は散々で大変失礼ですが、書籍化は心から嬉しく、物語は★★★★★です。
挿絵はありません。表紙絵のみです。主人公の被る看護帽のようなものがちょっとコミカルに感じられ笑ってしまいました。どうしても高位のお坊様が被るものとデザインが似ていて、何だかな… と思いました。