あらすじ
【紹介文】
消える。消される。
怪談の帝王と山の女王、最恐コンビが総力取材!
【山林】【海川】【史跡】【旅宿】【路駅】【市街】【家屋】
七つのシーンで起きた神隠し現象、謎の怪。
人智を超えた恐怖の異界怪談録。
人が忽然と消え失せる現象、神隠し。
意図的な失踪や犯罪と思いきや、中には神域、異世界に行ったとしか考えられぬ話もある。
自然の中にも街中にも、時には家の中にも異界へ繋がる扉は突如現れ、口を開く。
7つのシーンで起きた神隠しを気鋭の二人がそれぞれ持ち寄り紡いだ珠玉の異世界奇談!
◆第一ノ扉「山林」
・山で鹿を追って迷い込んだ洞窟の先にあったのは…「産火」(若本)
・霧の濃い日に新しい山の主が選ばれる言い伝え。霧に包まれ消えた息子は…「神殺し」(夜馬裕)
◆第二ノ扉「海川」
・波にのまれたサーファーが目を覚ますとそこは白砂利の浜で、懐かしい人に会う…「海底のまち」(若本)
・東北の寒村で七年に一度子供が消える現象と川の中の異世界…「毒水の女神」(夜馬裕)
◆第三ノ扉「史跡」
・史跡公園に現れる幻の巨木。それを見た者は異界と繋がる…「古墳公園」(若本)
・城跡の公園で徐々に透明になり姿を消した彼女はどこへ…「結界城址」(夜馬裕)
◆第四ノ扉「旅宿」
・家族旅行で行った温泉宿。館内を歩くうち奇妙な世界に迷い込んで…「彼方にて」(若本)
・失踪中の友人と互いの旅の軌跡をなぞりあう奇妙な遊び。友人の本当の居場所は…「待ってるよ、よこみちくん」(夜馬裕)
◆第五ノ扉「路駅」
・駅のトイレが奇妙な空間に繋がり出られなくなった男性。元の世界に戻るには…「午前八時十五分」(若本)
・駅の備品倉庫に封印されたロッカー。ある日、中から音が…「あけたら、しめる」(夜馬裕)
・T字路で事故を起こした者は皆、T字の先に幻の道と世界が見えたと言って…「魔の十字路」(夜馬裕)
◆第六ノ扉「市街」
・目覚めるとそこは無人の世界。不安に駆られて学校へ行くと自分の名を呼ぶ少年が…「ねむりのまち」(若本)
・いつもの商店街がループ空間に変じ存在しないお社が現れる…「妻を娶りて蛇の目が三つ」(夜馬裕)
◆第七の扉「家屋」
・からくり屋敷のような祖父の家を探検するうち少年は恐ろしい風景に出会う…「不正解の扉」(若本)
・同じ家に棲んでいるのにすれ違い続ける兄妹…「その存在は、一枚の紙の如く」(夜馬裕)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人が忽然と消え失せる現象、神隠し。
意図的な失踪や犯罪と思いきや、中には神域、異世界に行ったとしか考えられぬ話もある。
自然の中にも街中にも、時には家の中にも異界へ繋がる扉は突如現れ、口を開く。
7つのシーンで起きた神隠しがどれも好きなタイプのお話で、あっという間に読み切ってしまった!!
こうして何気なく過ごしてる日々の中、自分が、家族がいつ扉を開いてしまってもおかしくないなと感じる。
ドキドキ不気味さワクワク感が、ホラーとも違う新たなジャンルで、このタイプのお話もっと増えてほしいな〜!!
Posted by ブクログ
この世界と違う世界を行き来する人の話やあの世界についれていかれそうになる人の話などの怪談集。
あの世に関しては神話にもあるくらいだから日本人にとっては馴染み深いもの。黄泉の国はギリシャ神話にもあるが(冥府、というらしい)、キリスト教世界の天国や地獄とは違うんじゃないだろうか。キリスト教の天国なんて神の領域だから自由な想像すらも許されない感じがする。宗教画の世界が精一杯。雲の上で天使が飛んでるような・・・。それに対して日本の「あの世」のバリエーション豊富なこと・・・。いいところなのか悪いところなのかもよくわからない。人それぞれになってしまうところが、極めて日本らしい。
私は毎日昔話を子供に読んであげているのだが、昔話はあの世から出てくるいろいろなモノたちでいっぱいである。姿形を変えて人を騙しにきて、あの世をちょっと見せたりする。
日本では大昔から、子供から大人まで異形の世界やら霊のいる世界を想像しては楽しんでいたのだろう。真っ暗な夜道、鬱蒼とした裏山、家の小部屋や押入れ、古びた旅館、賑わう街の曲がり角が全て別世界の入り口になる。正直、こんなワクワクできるエンタメは他にないと思う。