あらすじ
戦争孤児が見る夢を、佐々木海人も見る。小さな家を建て、消息不明の母を捜し出して、妹と弟を呼びよせて、4人で慎ましく暮らすという夢を。8歳のころから見つづけてきたささやかな夢だ。そして応化19年6月、ふたたび戦争の季節がおとずれる。──突撃する。蜂起する。俺たちは戦争に勝利する──『裸者と裸者』『愚者と愚者』に続く、〈応化クロニクル三部作〉完結編!
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
途切れてしまった物語をずっと読むの怖くて読めなくて、やっとやっと読んだ。
でも文章は途切れているけど、物語は途切れていなくて、打海先生がもういないのはすごく悲しいけど、もしかしたら結末を知らなくてよかったかもしれないとすこし思った。
三部作、具体的な結末はないけど、私の中で脊髄まで染み込んでほんとうに大きな存在としてたぶん続いていく。
海人幸せになってくれって、言いたい、言えない
Posted by ブクログ
待ちわびた応化シリーズの最終巻。未完で終わってしまったために、上巻(海人編)と下巻(椿子編)の半分を纏めて一冊にしている。
戦争の「終わり」を描いた上巻では、難民問題や戦後の復興へ向けての諸問題が次々と常陸軍と同盟軍を悩ませる。戦争を終わらせようと奮闘する海人たちが、途中でパンプキン・ガールズの面々と遊んでいる場面など、どこか明るいムードは健在。最終決戦の前でも相変わらず生き生きと動く登場人物たちの会話であったり、懐かしい人々の登場であったりと、終わりへ向けて熱い展開が続く。
最後のあづみ救出の場面でようやく戦争が終わったんだなと実感できた。こういうところに描写の巧みさを感じる。
下巻では、戦後の復興の動きが本格化していく過程が描かれている。小さなNGOがアメリカ相手の裁判を起こそうとする話は、戦争を生き延びた人間の強さを感じさせた。
椿子の心中にとても興味があったので、あまりそれが描かれずに中途半端なところで終わってしまって本当に残念。海人、椿子、その他に戦争に関わった人たちの今後が見れないのもとても残念だけど、彼らならその後の人生もきっと大丈夫だと思えた。
シリーズ全体を通して、素晴らしい名作だったと思う。